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【書評】「キーエンス 高付加価値経営の論理 顧客利益最大化のイノベーション」延岡健太郎

2025/07/21公開 更新
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「キーエンス 高付加価値経営の論理 顧客利益最大化のイノベーション」延岡健太郎


【私の評価】★★★★☆(80点)


要約と感想レビュー


キーエンスの粗利は80%

高収益企業キーエンスを知るために関連書籍を読んでいます。キーエンスの粗利は80%、そこから固定費(人件費や販促費)を引いた営業利益率は60%以上あります。


他社の粗利は30%くらいですから、10万円の原材料費を使った商品に対して、キーエンスは50万円で売り、他社は14万円で売っているのです。どうしてこれだけ高い価格で売ることができるのか、その秘訣は顧客の課題を解決するソリューション営業にあるという。


常に売上高営業利益率が50%を超えている・・大きな価値を新たに創出することによって世界を豊かにしてきた(p23)

ソリューション営業とは

キーエンスは粗利80%の商品を売るために、それ以上の利益をお客様に提供できると証明する必要があります。したがって、営業は常に顧客企業の生産性向上と利益増加の実現方法を提案できないか考えているという。


そのためには、まず顧客企業の現場を知り尽くすことが必要であり、改善の目的にはじまり、現状のやり方、人数や時間・コスト・課題などをヒアリングします。こうしたしつこい質問が面倒だと思う企業もある一方で、キーエンスを頼りに思う企業が多いのも事実なのです。


結果して、キーエンスの営業は、課題を解決するソリューションの費用対効果の分析結果や比較すべき他社製品などすべての情報を提供してくれるので、顧客担当者は上司への説明が容易にできるというわけです。


キーエンスでは、すべての社員が、日々の業務のなかで常に「顧客企業の利益を大きく高める商品、ソリューション」を探求し続けている(p183)

ソリューション営業を支えるもの

こうしたソリューション営業を支えるのは、付加価値の創造を重要視するキーエンスの仕組みでしょう。まず、会社として売上高は目標ではなく、あくまで顧客の利益に相当する粗利80%、営業利益率を目標としている点です。


またアメーバ経営のように各従業員が1時間働いた場合に生み出すべき付加価値額が決められており、顧客の利益に相当する営業利益を明確にしています。付加価値を重視しているため、付加価値を産まない配達や集金を営業担当者がやることはなく、外部へ委託していたという。


その一方で、営業が付加価値を提供するための販促ツールとしてカタログやデモ機、「お役立ち事例」が整備されています。また、顧客企業の現場に入り込んで、困っている点などを知るために、顧客企業の「工程ハンドブック」や他者商品との比較情報も準備されているのです。


今年度の計画総利益を全従業員の総就業時間で割り、各社員の役割に応じてそれが割り振られる。例えば、A社員の時間チャージは1時間1万円で、B事業部責任者は1時間3万円(p76)

常に付加価値の最大化を目指す

さらに付加価値を上げる施策として、カタログ掲載商品の注文当日出荷を原則としています。常に付加価値の最大化を目指すキーエンスの姿勢に驚愕しました。


そして高い利益率は、その一定割合が、基本給に加算され平均年収が、1600万円から2200万円というのも納得です。まだまだキーエンスをしらべます。延岡さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・営業担当者は、売り上げの成果だけではなく、それを実現したプロセスがともに評価される・・・営業活動の方法や頻度(電話、訪問、デモなど)、顧客企業へのソリューション提案の内容、有効商談数、聞き取った顧客情報、提案するための知識や理解、などである(p54)


・連結従業員数8961名のなかで半数以上が営業部隊だと思われる。一方で、本社にはマーケティングに相当する販売促進Gがあるが、営業部門はない(p139)


・追加されたPLC事業にしても、センサ事業の高付加価値化を広範かつ柔軟に検討・・・センサで検知された不良品をPLCで制御して自動的に排出できれば、センサがもたらす付加価値は倍増する(p176)


▼引用は、この本からです
「キーエンス 高付加価値経営の論理 顧客利益最大化のイノベーション」延岡健太郎
Amazon.co.jpで詳細を見る
延岡健太郎(著)、日経BP 日本経済新聞出版


【私の評価】★★★★☆(80点)


目次


第1章 高付加価値経営による社会貢献
第2章 イノベーションの源泉―顧客企業の利益増加
第3章 生産財のイノベーション―理論解説編
第4章 顧客価値イノベーションの組織
第5章 顧客価値イノベーションを支えるソリューション部隊
第6章 高付加価値の新商品企画・開発
第7章 学ぶべき高付加価値経営


著者経歴


延岡健太郎(のべおか けんたろう)・・・大阪大学大学院経済学研究科教授。1959年広島県生まれ。1981年大阪大学工学部精密工学科卒業、同年マツダに入社、1988年マサチューセッツ工科大学より経営学修士取得、1993年マサチューセッツ工科大学よりPh.D(経営学博士)取得、1994年神戸大学経済経営研究所助教授、同大学教授を経て、2008年一橋大学イノベーション研究センター教授、2018年より現職


キーエンス関連書籍


「キーエンス解剖 最強企業のメカニズム」西岡 杏
「キーエンス 高付加価値経営の論理 顧客利益最大化のイノベーション」延岡健太郎
「付加価値のつくりかた」田尻 望


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