【書評】「天才読書 世界一の富を築いたマスク、ベゾス、ゲイツが選ぶ100冊」山崎良兵
2025/07/10公開 更新

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【私の評価】★★★★☆(89点)
要約と感想レビュー
イーロン・マスクが選ぶ本
電気自動車のテスラ、旧TwitterのX、宇宙企業スペースXのCEOであるイーロン・マスク、アマゾン創業者ジェフ・ベゾス、マイクロソフト創業者ビル・ゲイツのおすすめ本を紹介する一冊です。
まず、イーロン・マスクが影響を受けたのはSFです。イーロン・マスクはSFを読んで、自分も世界を救う救世主になりたいと思っていたという。そのイーロン・マスクの思いが、電気自動車の自動運転、スペースXのロケット開発、ロボット開発への投資に向かわせたというのです。
この本で紹介しているSFは、アシモフの「ファウンデーション」シリーズと、「ガンダムのルーツ」とされるハイラインの「宇宙の戦士」と「月は無慈悲な夜の女王」です。
また、イーロン・マスクは歴史の本を読むことに魅了されると語っています。この本では「ローマ帝国衰亡史」「誰が文明を創ったか」「歴史の大局を見渡す」などが紹介されています。
イーロン・マスクの母であるメイ・マスク・・・「欲しいものは欲しいと言うように」とメイは子どもたちに教えていたそうです(p209)
ジェフ・ベゾスが選ぶ本
アマゾンCEOのジェフ・ベゾスは、本から多くの影響を受けていることがわかります。
まず、ベゾスがアマゾンを創業する決断ができたのは、カズオ・イシグロの小説「日の名残り」を読んだからだという。これは「日の名残り」の中で名門貴族の執事が過去を振り返って思い悩む姿を読んで、自分も年をとって後悔しないよう今やりたいことにチャレンジすることを決断したというわけです。
また、アマゾンのAIスピーカー「アマゾン・エコー」は「スタートレック」のしゃべるコンピューターにヒントを得ています。
経営書については、「ザ・ゴール」をアマゾンの経営幹部にを読むよう勧めています。なぜなら、アマゾンは巨大な倉庫を自前で運営しており、「ザ・ゴール」は在庫の全体最適を教えてくれるからです。また、「ザ・ゴール」では税務会計ではなく、「キャッシュフロー」と「スループット」を把握するスループット会計による全体最適を提唱しているのが素晴らしい点でしょう。
アマゾンは、「地球上で最も顧客至上主義な会社になる」というミッションを掲げ、幹部に読書を推奨し、教科書経営を行っているとわかりました。この本では、ビジネス書として「ビジョナリー・カンパニー」「リーン・シンキング」などを紹介しています。
ベゾスの歩みは「宇宙に行くためにお金持ちになる」という目的・・宇宙に行くには莫大なお金が必要だから・・・起業家として大成功を収める必要がありました(p226)
ビル・ゲイツが選ぶ本
ビル・ゲイツは1年間に50冊以上の本を読むといわれており、毎年推薦書を公表しています。
例えば書籍「RANGE 知識の幅が最強の武器になる」では、幼少期に「幅広い体験や知識を育み、そのあとで専門とする分野を決めて、集中的に取り組む」ことで成果を最大化できると指摘してます。
また、書籍「Measure What Matters 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR」では、経営の最終目的地=目標(O)を決めて、「主要な結果(Key Results)」を設定して毎月のような短期サイクルで見直ししていく手法を紹介しています。
書籍「睡眠こそ最強の解決策である」では、睡眠不足が寿命を短くすることを指摘し、健康にいいとされる8時間の睡眠時間の確保の重要性を指摘しています。
書籍「国家はなぜ衰退するのか」では、韓国と北朝鮮も取り上げ、同じ民族で、もともとは1つの国であったにもかかわらず、「10倍もの経済格差を生み出した」原因を推察しているのです。
サピエンス全史・・私たちが小麦を栽培化したのではなく、小麦が私たちを家畜化したのだ(p468)
本に学ぶ教科書経営
マスク、ベゾス、ゲイツは、SFから商品・サービスのアイデアをもらい、ビジネス書を教科書にして経営を改善していることがわかりました。本は安いので「教科書経営」を実践できれば、もっとも費用対効果の大きい経営改善ができるのではないかと感じました。
厚くて読むのに苦労しました。山崎さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・ティールも指輪物語の大ファンです・・過去や未来を見ることができる不思議な石の名を冠した、パランティア・テクノロジーズというデータ解析企業をティールは起業しています(p134)
・ベゾスは芝居がかったお怒り方をすることが多い・・・「君はものぐさなのかい?それとも単純に無能なのかい?」(p222)
・「われら生きるもの」・・共産党の有力者や彼らと癒着した一部の人々が甘い汁を吸う一方で、庶民は飢えと逮捕や処刑におびえる抑圧的な生活を強いられる世界を描いています(p119)
・「国富論」・・スミスは、自由でやりたい放題んお経済活動を単純に勧めていたわけではありません。自由な経済活動の前提として、道徳や良心が備わった社会を想定していました(p176)
▼引用は、この本からです
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山崎良兵(著)、日経BP 日本経済新聞出版
【私の評価】★★★★☆(89点)
目次
第1章 イーロン・マスクが選ぶ本
第2章 ジェフ・ベゾスが選ぶ本
第3章 ビル・ゲイツが選ぶ本
著者経歴
山崎良兵(やまざき りょうへい)・・・上智大学文学部卒、ニューヨーク大学大学院修了。1996年、日経BP入社。日経ビジネス編集部、ニューヨーク支局、日本経済新聞編集局証券部、日経ビジネス副編集長、クロスメディア編集部長、日経ビジネス電子版編集長を経て、2022年4月から経営メディアユニット長補佐。日経ビジネスで自動車やIT、小売りなどの分野を担当。テスラCEOのイーロン・マスク氏、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏を個別にインタビューし、それぞれの特集記事も執筆した。
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