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「キーエンス解剖 最強企業のメカニズム」西岡 杏

2023/03/22公開 更新
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「キーエンス解剖 最強企業のメカニズム」西岡 杏


【私の評価】★★★★★(90点)


要約と感想レビュー

営業利益率55%、平均年収2200万円のキーエンスとはどんな会社なんだろう?と手にした一冊です。私の職場でもキーエンスの製品を買っていたので、製品が画期的であるのは間違いありません。キーエンスの商品は価格が高いのですが、「世界初」「業界初」というものが多く、「粗利」8割を目安としているという。


商品の企画のために20~30社もの顧客からヒアリングするのが当たり前。「見込み客30社にヒアリングしたところ、20%が購入見込みで、全国で2000社程度が見込み客となるので、利益はこうなる」とデータ積み上げ式で価格を考えていくという。実際、キーエンスの営業は現場に来てデモをしてくれるので買う側としては、ありがたい存在です。著者は、「オムロンの営業者は購買部のそばにいる。キーエンスの営業者は工場のそばにいる」というコトワザを聞いたという。


・週3日ほどある「外出日」には、1日5~10件のアポを詰め込むのが当たり前(p45)


興味深かったのは、キーエンスの管理職の役割です。営業に行く前には、ロールプレイングで部下と一緒に、顧客との商談のシミュレーションを行う。営業マンが営業先から帰ってきたら、外報を使いながら商談の状況と今後の方針について打ち合わせを行う。


営業マンがいないときは、管理職自ら顧客に電話をかけて担当の営業マンがちゃんとニーズを聞いているか、満足いく提案だったか、など確認するという。これはある意味、監視に近いと思いますが、これだけやらなければ、管理職としての責任を果たせないということなのでしょう。


・キーエンスは営業担当者ごとの電話の件数もKPIの一つとしている(p56)


顧客からの注文を受け取ったその日に出荷する「当日出荷」や、現場でのデモは海外でも評価が高く、海外比率は6割となっています。営業のデータをSFA(営業支援システム)に蓄積して引き継ぎが容易にできること、「誰が言ったかではなく、何を言ったか」というように年齢や肩書を意識しない社風、会社の利益が出れば賞与として還元する仕組みが海外事業と整合性が良いようです。


社内監査では、営業マンのETCの実績、外報で入力した客先の場所と携帯の基地局の場所が合っているか、FAX番号に電話をかけて電話件数を水増ししていないかなどをチェックしており、数字で管理するため一部営業マンが不正をする場合もあるようです。


また、「30代で家が建ち、40代で墓が立つ」と言われていることについて、実情はどうなっているのかコメントはありませんでした。これだけ給与が高いので、社員の定着率なども突っ込んでいただくと面白かったのではないかと思いました。西岡さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・あまりの訪問頻度の高さに「こちらが連絡するまで来ないでほしい」と言ったことがある(p23)


・数社に見積もりを依頼した・・キーエンスは即日回答(p23)


・故障を直した後にこう聞くことを忘れない。「他にお困りのことはありませんか?」(p25)


・中小企業の社長に電話する場合には、『現場の方もご同席いただけますか』と最後に一言加える(p59)


・キーエンスでは何かを改善した場合に、その裏を数値や影響がどうなっているかも常に考えなさい、とよく言われていました(p58)


▼引用は、この本からです
「キーエンス解剖 最強企業のメカニズム」西岡 杏
西岡 杏、日経BP


【私の評価】★★★★★(90点)


目次

プロローグ 語りかける化石たち
第1章 顧客を驚かせる会社
コラム キーエンス丸分かり
第2章 営業部隊が「先回り」できるわけ
第3章 期待を超え続ける商品部隊
第4章 「理詰め」を貫く社風と規律
第5章 仕組みの裏に「人」あり
第6章 海外と新規で次の成長へ
第7章 「キーエンスイズム」の伝道師たち



著者経歴

西岡 杏(にしおか あんぬ)・・・1991年、山形県酒田市生まれ。2013年に慶応義塾大学経済学部卒業後、日本経済新聞社に入社。大阪経済部を経て企業報道部へ。電機や機械、素材などの製造業のほか、医療やエネルギー、不動産・ホテルなどの分野を担当してきた。21年4月から日経ビジネス記者。電機・IT・通信を中心に取材する。


キーエンス関連書籍

「キーエンス解剖 最強企業のメカニズム」西岡 杏
「今と未来の利益を増やす社長のための経営戦略の本」椢原 浩一
「付加価値のつくりかた」田尻 望


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