【書評】「インバスケット超入門」鳥原隆志
2025/03/25公開 更新

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【私の評価】★★★★☆(80点)
要約と感想レビュー
インバスケット的思考とは
インバスケットとは仮想の職場で、管理職の未決の箱(インバスケット)に多量のタスクが積み上がったときにどう処理しますか?という仕事力を測定する試験のことです。インバスケット試験対策の本かと思って読み始めたら、インバスケットで高得点を取るための基本的な仕事の基本を教えてくれる一冊でした。
インバスケット試験で大切なのは、制限時間内にすべてのタスクを処理すること。そのためには、優先順位が重要となりますが、まず最初にやるべきこととやらないことに分けるとよいという。やらないに分類しても、関係者に連絡したり、部下に任せることもできるのです。
インバスケット思考・・1よい結果よりも制限時間内に行うことが最も大事・・2技やアイテムは、思う存分使う・・3楽に仕事をすることを最優先に考える(p20)
周囲の人を巻き込む
インバスケット試験は、管理職向けですので、組織の力を使うことが重要視されます。自分一人で対処するのではなく、周囲の人や部下を巻き込んで、組織で対処するのです。
そのためには、説明や指示のメールでは関係者にCCを入れたり、部下に背景や状況、期限や重要性などを伝えたうえで任せるなどの基本的な動きができるかどうかが大切です。もし何でも自分でやろうとすると、「管理職として周りをうまく活用できない」と評価されてしまう可能性があるのです。
計画組織力とは、周りの人を巻き込み、協力して目標を達成する力のことです(p73)
トラブルはまず一報が大切
また、重大なトラブルでは、正確性よりまず一報ということで、関係者全員に情報を周知することが重要となります。つまり「今わかっていることを、とりあえず報告する」のです。
トラブル時には、まず被害を最小限に食い止めるという行動と判断も必要となります。例えば食品会社で食中毒の可能性という一報があったとすれば、商品の発送を止めるという決断をしなくてはならないかもしれません。
トラブル時には、一人で抱え込まず、周囲に助けを求め、組織全体でトラブル解決に対処するようにしましょう。
インバスケット問題でも、「被害を最小限に食い止める」という考え方が重要になります(p113)
インバスケット試験の限界
しかしながら、インバスケットですべての職場での能力を測定できるわけではありません。現実の職場では、相手が人間関係を重視しするタイプなのか、それともルールを重視するタイプなのか、人を見て対処を変える必要があるかもしれません。
部下がミスをしたら、叱責するにしても、1つ良い点を指摘し、2つ改善点を伝えるという伝え方に配慮しなくてはならない場面もあるでしょう。口で指示しても実行しない部下には、口頭で伝えた後、同じ内容を文書で伝える必要があるかもしれません。
インバスケットには、そうした限界があることを理解したうえで、インバスケット試験をうまく活用していきたいものです。鳥原さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・仕事を楽にする・・どうすれば二度とこのような面倒な仕事をしなくて済むのだろう(p23)
・根回しができる人は相手を思いやることができる人なのです(p240)
・「意見を聞かせてほしい」と信頼できる人に意見を聞いてみよう(p189)
・1日に一つ期限が迫っていない仕事に取り組んでみる(p60)
▼引用は、この本からです
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鳥原隆志、ぱる出版
【私の評価】★★★★☆(80点)
目次
CHAPTER1 インバスケットを理解する
CHAPTER2 インバスケットのコツ
STEP1 早く読み理解するコツ
STEP2 優先順位をつけるコツ
STEP3 他人を巻き込むコツ
STEP4 トラブル対処のコツ
STEP5 人を使うコツ
STEP6 意思決定のコツ
STEP7 伝えるコツ
STEP8 生産性を上げるコツ
STEP9 できると思われるコツ
STEP10 上司とうまく付き合うコツ
著者経歴
鳥原隆志 (とりはら たかし)・・・株式会社インバスケット研究所 代表取締役。インバスケット・コンサルタント。大学卒業後、株式会社ダイエーに入社。販売部門や企画部門を経験し、10店舗を統括する店舗指導責任者(スーパーバイザー)として店長の指導や問題解決業務に努める。管理職昇進試験時にインバスケットに出合い、自己啓発としてインバスケット・トレーニングを開始。日本で唯一のインバスケット教材開発会社として、株式会社インバスケット研究所を設立し代表取締役に就任。
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