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【書評】「不安や悩みがすぐに軽くなるアドラー心理学」内藤誼人

2025/06/05公開 更新
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「不安や悩みがすぐに軽くなるアドラー心理学」内藤誼人


【私の評価】★★★☆☆(79点)


要約と感想レビュー


アドラー心理学の特長は勇気

心理学者アドラーの書籍から名言を引用しながら、その内容を著者が2ページで解説していく一冊です。アドラーの心理学の特長は、人に勇気を与えてくれるところです。


例えば、「自分はダメな人間だ」と思いこんでいる人がいたとしましょう。アドラーはその人に対し、「実際にできないのではなく、それをしないですむように、自分にはできないと思いこもうとしているのではないか」と解説してくれるのです。


フロイトの思想に救いはありません・・ショーペンハウエルの哲学は・・「この世には生きる価値なんてないんだよ」・・あまり愉快ではありません・・アドラーの心理学は、人に勇気を与える心理学(p4)

子どもの教育が重要

興味深いのは子どもへの教育でしょう。世の中には、自分は価値ある人間だと思う子どももいれば、自分には価値がないと思う子どももいます。アドラーは自分には価値がないと思う子どもの周囲には、「このろくでなし」「このばかやろう」と子どもに言うような大人が存在しているというのです。


つまり、自分を過小評価する子どもは、「自分にはできない」と思い込まされているだけなのです。「できない」は本当ではありません。


同じように用心深すぎる子どももいますが、現実の危険性よりも過度に危険と感じてしまうと生きるのが苦しくなってしまいます。


子どもの養育とは、将来的に役に立つものでなければならず、こうした自分の評価、危険性の評価などを適正に認識していくことを教えることも含まれるのです。そのためには、適切な教育と子ども本人の努力と勇気が必要なのです。


あなたが自分自身の行動の全責任を負う決心をすることを提案しましょう「子どものライフスタイル」(p226)

共同体感覚を重要視

アドラー心理学では、共同体感覚を重要視しています。共同体感覚とは、家族、一族、国家、全人類、動物、植物、宇宙にまで連帯感、貢献感を感じる状態です。


欧州では個人意識が強く、アドラーの時代は第一次世界大戦で戦禍が絶えませんでしたので、相手のことを思いやる気持ちの重要性を説いたのです。


例えば、仕事では同僚やお客の立場で物事を考え、その求めるところを理解できれば、仕事はうまくいくでしょう。国家間でも、自分の利益ばかり考えず、相手のことを思いやる気持ちがあれば、争いは減るはずなのです。


そういう意味では、日本は欧米よりも共同体感覚が強いので、精神面ではアドラー的な社会なのだと思います。


どうすれば誰かを喜ばすことができるかを考えなさい。「人生の意味の心理学(下)(p151)

羨望は悪いものではない

アドラーは、人間の劣等感や羨望を悪いものとは考えません。その感情をどうとらえて、どう反応するかが重要なのです。


例えば、優秀な人がいたとき、「あの人のように私も頑張ろう」と考えるならば「よい羨望」だし、「あいつは生意気だ」と考えるなら「悪い羨望」というわけです。


人間は本来、羨望や劣等感があるから成長してきたのです。羨望や劣等感を、自分や共同体にとって良い形で活用する勇気が必要なのです。


アドラー心理学をきっかけにした、著者の心理学解説という趣の一冊でした。内藤さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・人前でスピーチができず、舞台恐怖の傾向がある人は、聴衆を敵だと見なしている「The best of Alfred Adler」(p165)


・ほとんど努力することなしに手に入れた成功は滅びやすい「子どもの教育」(p61)


・人と交わろうとしなければ、人づきあいで敗北することはありません「なぜ心は病むのか」(p90)


・あらゆる木々が同じような成長をするわけではない。環境に機械的に反応しているわけではない「The best of Alfred Adler」(p199)


▼引用は、この本からです
「不安や悩みがすぐに軽くなるアドラー心理学」内藤誼人
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内藤誼人 (著)、ぱる出版


【私の評価】★★★☆☆(79点)


目次


第1章 驚くほどハッピーになれる生き方
第2章 息苦しく感じないための、ちょっとした心がけ
第3章 仕事がもっとラクになる心理テクニック
第4章 心のモヤモヤを吹きとばすメンタルを手に入れる
第5章 人間関係がラクになる思考法を身につける
第6章 素晴らしい人生を歩むために必要なこと


著者経歴


内藤誼人(ないとう よしひと)・・・心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役社長。
慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。趣味は釣りとガーデニング。


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