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【書評】「モンスター部下」石川 弘子

2025/10/09公開 更新
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「モンスター部下」石川 弘子


【私の評価】★★★☆☆(72点)


要約と感想レビュー


残業代が出ないなら飲み会出ません

社会保険労務士の著者が、仕事で出会った「モンスター部下」の事例を紹介する一冊です。


上司に対して「残業代が出ないなら、飲み会は出ません」と言う若者がいるいという。言い方は問題かもしれませんが、その人の価値観であり、モンスターではないでしょう。


勤務中にゲームをしている社員や、カラ領収書を使ってキャバクラに通う社員も紹介されていますが、これは懲戒処分対象です。


部下が「おかしい」と思ったことをSNSに投稿して企業を糾弾する事例も紹介されています。SNS投稿は禁止にすべきですが、本当に「おかしい」場合もあり、その場合は、謝罪し改善すべきです。


自民党総裁のテレビの生放送で時事通信社記者の「支持率下げてやる」との発言が流れたのも、SNS投稿と同じだと思います。


中途採用の社員・・勤務中にパソコンでゲームをしたり、遅刻や無断欠勤を繰り返したりした揚げ句、最終的に「バックレ」た(p3)

それってパワハラですよね?

その他の例では、「それってパワハラですよね?」と言われたり、極端な例では「上司だからといって命令するのはパワハラだ」と反論してくる部下もいるようです。パワハラとして告発する証拠として、上司との会話は常にICレコーダーに録音しているという強者もいるという。


こうなると、怖くて指導できない上司もいるわけです。


著者はパワハラについては、指導との線引きが難しいものの、上司は部下に理性的にリクエストすることが必要だとしています。なお、業務命令に従わないのは就業規則に基づき懲戒処分の対象となります。


相手にリクエストする・・パワハラについては、指導との線引きが難しい(p222)

気に入らない年下上司を追い込む古参社員

実際の職場では、このようにあからさまなハラスメントはないのではないでしょうか。もっと、上手に追い詰めるはずです。


例えば、元上司が部下になったり、年上の部下などが、承認欲求から新任上司の足を引っ張った事例。この本で紹介する例では、周囲の人を巻き込んで、年下上司と一切口を利かないようにして、仕事の指示も無視したため、年下上司は相談もできず、眠れなくなったという。


また、新人が自分の意見を言うと、それが気に入らなくて、無視したり、周囲の人に「生意気だ」などと悪い噂を流す古参社員もいるのです。


こうしたモンスター部下は話が通じず、話し合っても平行線で終わることが多いので困るのですが、著者がモンスター部下と対話をすると、承認欲求が非常に強く、「自分の力を認めてほしい」という欲求が隠れているという。つまり、いじめの根本は、自分の能力を認めてほしい!という心の叫びなのです。


モンスター部下に対して、感情的に接したり、ビクビクしたりして対応すると、相手の思うつぼなので、理性的に対応し、言うべきことは言うべきだと著者はアドバイスするのです。それができないから、大変なんですけどね。


部下からのパワハラで追い詰められる年下上司・・一切口を利かなくなった・・・食欲がなくなり、眠れない日が続いた(p150)

いろいろな価値観がある

「モンスター部下」とはいえ、その人にはその人の価値観があり、その人を否定せず、傾聴している著者の姿勢が印象的でした。


私も書類を投げられたり、机を蹴られたり、毎朝、挨拶を完無視されたり、机をバーンと叩かれて脅されたり、嫌そうな顔で「ハア?」と言われたり、「唐突感がありますね」と提案を無視されたり、いろいろ経験をしましたが、その人たちなりの価値観と正義があるのです。


幸い私は病気になりませんでしたが、こうした本を読んで、部下の話を聞き、言うべきは言う、だめなら相談するなど、適切に対応したいものです。石川さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・モンスター部下・・説明したり、言い聞かせても、全く効果がなく、問題がこじれるばかり・・チーム存続の危機だ・・やはり本人との話し合いはどうしても必要だ・・・問題の本質が見えてくる(p211)


・なぜ若手は職場の電話に出ないのか・・20代の人は、家の固定電話にかけたり、受けたりという経験が少なく・・若手は電話が苦手なようで、出たがらない(p78)


・意見の違う人は「空気が読めない」「和を乱す」として、敵のような扱いを受ける。そうなると、意見の交換ではなく、意見の押し付け合いになり、建設的な議論が成り立たない(p221)


▼引用は、この本からです
「モンスター部下」石川 弘子
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石川 弘子(著)、日本経済新聞出版


【私の評価】★★★☆☆(72点)


目次


はじめに 部下がモンスター化する時代
第1章 台頭する自己中心モンスター
第2章 モンスター量産のメカニズム
第3章 低モラル社員の暴走は止まらない
第4章 逆襲のシニア・モンスター
第5章 モンスター部下とどう対峙するか


著者経歴


石川 弘子(いしかわ ひろこ)・・・社会保険労務士、産業カウンセラー、セクハラパワハラ防止コンサルタント。フェリタス社会保険労務士法人代表。1973年、福島県生まれ。青山学院大学経済学部経済学科卒業。企業の労務相談を受けている。産業カウンセラーとして、企業のメンタルヘルス対策などにも携わる


パワハラ関連書籍


「なぜパワハラは起こるのか:職場のパワハラをなくすための方法」宮本剛志
「一流の人は知っている ハラスメントの壁」吉田 幸弘
「パワハラ上司を科学する」津野 香奈美
「モンスター部下」石川 弘子


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