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「一流の人は知っている ハラスメントの壁」吉田 幸弘

2024/07/01公開 更新
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「一流の人は知っている ハラスメントの壁」吉田 幸弘


【私の評価】★★★★☆(82点)


要約と感想レビュー

「なぜ」で問い詰めない

体育会系の職場はブラックとされ、スマホで簡単に録音、録画されて、断罪される時代です。会社としてのハラスメント対策は、常識となっているようです。この本では、仕事で結果を出しながらも管理職として部下に強く当たりすぎて、ハラスメントで三度も降格人事を経験。その後、仕事のやり方を部下をサポートすることに変えて、成果を出せるようになった著者の経験を教えてもらいましょう。


ハラスメントしている上司は、基本的に仕事ができるのですが、成果を出すために余裕がなく、部下に寄り添う気持ちが足りないのです。仕事ができない部下に怒りを感じ、「なぜ」できないのかと問い詰めます。仮にできたとしても「やればできるじゃないか」と嘲笑して部下の自尊心を潰すのです。


上司の立場で考えれば、できない部下を指導しているということになりますが、第三者の目から見ると、ネチネチとできないことを指摘し続け、部下を追い詰めているようにしか見えないわけです。


ロジック・ハラスメント・・「なぜ」で問い詰めない(p93)

部下の褒められる部分をメモ

特に著者は、仕事ができない部下にイライラしたり、怒りを感じることが多かったようです。そこで著者は、イライラしたら深呼吸したり、水を飲んで時間を取り、怒りを表に出さないようにしていたという。


また、「部下の褒められる部分」をメモして、イライラしそうになったら、その手帳を読んで心を落ち着かせていたというのです。


それ以外にも、部下に指示を出すときは、「指示」ではなくて「相談」するように注意していました。常に「〇〇してほしいのだけど、どうかな」と協力をお願いするスタンスにしていたのです。上司と部下の立場というよりも、同じ立場に立って、どうすればいいか、部下と一緒に考えていくということです。


怒りの感情を表に出さないこと・・深呼吸する、水を飲む(p169)

逆ハラスメントが増えている

興味深いのは、最近は年上部下が多いことに原因があるのかもしれませんが、下からのハラスメントも多いと著者が指摘していることです。例えば、少し厳しく言っただけで「ハラスメントではないか」と部下に脅されて悩んでいる管理職が紹介されています。


また、成果を出せないベテラン部下が、成果を出して褒められる若手を陰で攻撃したり、他のメンバーを巻き込んで集団で無視したりするのを著者は見たことがあるという。


このように人間関係があるところに、常にハラスメントの芽はあるわけで、問題があれば相談できる環境が 必要なのだと思いました。特に一人で抱え込んでしまうと、心を病んでしまうことにもなりかねないので、チーム内で対話し一人ひとりが孤立しないことが大切なのでしょう。


逆ハラスメントは増え続けています・・上手くいかなければ他の人の力を借りましょう・・一人で抱え込まないことが重要です(p56)

男性と女性の感覚の違い

最後の方には、男性と女性の感覚の違いについての注意点も紹介されていました。女性も戦力として職場に増えてきていますので、女性の共感してほしい気持ちを理解する必要があるのでしょう。また女性は結婚、妊娠で職場を離れることが多く、通常の人に出世で差をつけられないかを気にしている人が多いとのこと。キャリアプランなどについて、理解と納得できるよう、対話が重要なのでしょう。


ブラックな職場よりは、対話の多い風通しのよい職場で成果を出すのが、会社員としてあるべき姿だと感じました。吉田さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・「なぜその仕事をやる必要があるのか」「どのような背景で仕事をする必要が生じたのか」・・「やらされ感」が出ないようにする(p123)


・「〇〇さんには期待しています。この仕事をお願いします」・・高いレベルの仕事を任せる(p223)


・女性は問題解決は自分でしたい・・それよりもまずは「つらい」というこちらの気持ちをわかって共感してほしい(p237)


▼引用は、この本からです
「一流の人は知っている ハラスメントの壁」吉田 幸弘
吉田 幸弘、ロングセラーズ
【私の評価】★★★★☆(82点)


目次

第1章 良かれと思っているのは自分だけ?相手を怒らせる危険な言葉
第2章 問題が起きる前にまず聞き上手になろう
第3章 ハラスメントにならない頼み方
第4章 ハラスメントしないための心得
第5章 新しい時代のコミュニケーション



著者経歴

吉田幸弘(よしだ ゆきひろ)・・・リフレッシュコミュニケーションズ代表。人財育成コンサルタント・上司向けコーチ。学校法人や外資系企業でリーダーに抜擢されたものの、生来の怒りっぽさからチームをまとめることができず、3度の降格人事を経験する。その後「部下を承認し、補佐役に回るマネジメント」を会得し、敏腕リーダーとなり、 チームの業績を劇的に向上させる。現在は経営者中間管理職の方向けに、 人材育成、 チームビルディング、売上げ改善の方法を中心としたコンサルティング活動を行っている。


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