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【書評】「悩みが消える「勇気」の心理学 アドラー超入門」永藤 かおる

2025/04/24公開 更新
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「悩みが消える「勇気」の心理学 アドラー超入門」永藤 かおる


【私の評価】★★★★☆(81点)


要約と感想レビュー


ライフスタイルと劣等感

アドラー心理学を体系的に説明してくれる教科書的な一冊です。最初に、アドラー心理学の専門用語と体系を復習しておきましょう。


まず、アドラー心理学では性格のことをライフスタイルと表現しています。性格と違って、スタイルなので、変更できるというわけです。ライフスタイル(性格)に影響を与えるのは、身体的なもの、劣等感、家族や周囲の環境です。


ここで劣等感とは、理想と現実のギャップを埋めようとする心理であり否定的なものではありません。ヒトは劣等感をバネに発展してきたのです。ただし、劣等感が強すぎると、劣等コンプレックスとなり、課題から逃げる要因になってしまうこともあります。


アドラーは眼科医時代に、多くの目の見えない患者を診察して、彼らが劣等感をバネに人一倍頑張っているのを見て、劣等感の本質に気付いたのです。


フロイトは・・人間のモチベーションはすべて「性的エネルギー」だと主張したのです。しかし、アドラーは「力を求めて優越であろうとする努力」が人間のモチベーションだと主張しました(p143)

劣等感が人を成長させる

ヒトは理想と現実の差を認識し、そうした課題に立ち向かい、 克服することで発展してきました。しかし実際には、課題を克服する勇気を持っているヒトと、そうでないヒトがいます。
 

例えば、ギャンブル依存症の人は、勝つ確率は低く、収入が減るという現実を直視できていないのです。そうした人でも、勇気づければ困難を克服する活力を持つことができるというのがアドラーの考えです。


ここで、勇気づけとは、ほめることでも、励ますことでもありません。ほめるのは、相手が自分が期待していることを達成したときでが、勇気づけは相手が失敗したときでも可能です。ほめるのは上から目線ですが、勇気づけは、相手と対等なのです。


人は勇気を持つことができれば、成功しても失敗しても成長できると認識し、失敗のリスクも引き受け、チャレンジできるはずなのです。


私たちは、人生の課題と出会い、それに立ち向かう勇気が必要・・勇気づけがなくては、成長することも、所属感を持つこともできません(p46)

今の自分を作ったのは自分

「ライフスタイル(性格)は自分が選んでいる」というアドラーの考え方の反対は、「◯◯のせいで◯◯になった」という考え方です。例えば、「引きこもった原因はいじめにあったからだ」と考える人もいますが、アドラーは「いじめにあったから、それを避けるために引きこもることにした」と考えるわけです。


つまり、過去の「悪い出来事」が原因となって、悪い「結果」が出てしまったのではなく、出来事に対する「非建設的な考え方」が原因となって、悪い「結果」を自ら作っているというわけです。


「〇〇だったから」という考え方は、自分の責任を回避できる楽な考え方です。しかし、「今の自分を作ったのは自分」と責任を受け入れることには抵抗があるかもしれませんが、未来に向けて行動することで、自分の未来を変えられるのです。


気分に流されて悲観的になるより、自分の意思で楽観的になろう(p208)

アドラー流子育て

最後に、アドラー心理学が正しいとすれば、子育てにどう活用することができるのでしょうか。この本では、子どもに体験させることを紹介しています。


つまり、親の干渉なしで子ども自身が自分の行為を決定・実行し、その結末を体験させるのです。例えば、宿題をしない子どもがいたとしても、それを指摘せず、宿題をしないことによるペナルティを子どもに体験させるのです。


または、子どもの行為について事前に話し合い、行為の結末の責任は子ども自身に引き受けてもらうことも効果的でしょう。例えば、ピアノの習い事を子どもがしたいと主張したときに、「1日15分練習する」などと約束させるのです。


このように、自分で決定できるということは、未来も自分の手で変えられるということを学ぶことであり、その責任は自分にあるのです。


アドラー心理学の入門書として、わかりやすいと思いました。永藤さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・資格試験に落ちてしまったとき、「もっと勉強しなきゃ」と考える人もいれば、「自分は勉強なんかしても無意味」と諦める人もいます(p97)


・共同体感覚を持っていれば、苦手な人も同じ共同体に貢献する仲間としてリスペクトすることができるのです(p200)


・怒りは二次感情であり、そもそも怒りを抱く理由となった一次感情が別に必ず存在する・・期待を裏切られた「落胆」の気持ちが生まれ、二次感情である「怒り」になったのです(p184)


▼引用は、この本からです
「悩みが消える「勇気」の心理学 アドラー超入門」永藤 かおる
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永藤 かおる(著)、ディスカヴァー・トゥエンティワン


【私の評価】★★★★☆(81点)


目次

はじめに 人生が好転するアドラー心理学とは
1 悩みを解決し、幸せになるために
2 勇気を持って人生を歩もう
3 アドラー心理学の5つの柱を知って勇気づけを実践しよう
4 勇気づけの技術を上手に使いこなそう
5 幸せを感じるため目指すべきゴール、共同体感覚
6 アドラー心理学を日常生活に役立てよう


著者経歴

永藤かおる(ながとう かおる)・・・心理カウンセラー。(有)ヒューマン・ギルド研修部長。アドラー大学(カナダ・バンクーバー)大学院修士課程在学中。北米アドラー心理学会(NASAP)会員。1989年三菱電機に入社。その後、ビジネス誌編集部、日本語教師、Web制作会社等を経る。企業研修を通じてアドラー心理学と出会い、2011年ヒューマン・ギルド入社。現在、同社研修部長として、公開講座・講演・ワークショップ及び個人カウンセリングを行っている。アドラー・カウンセラー、ELM勇気づけトレーナー、SMILEリーダー、日本語教育能力検定、(公社)日本心理学会 認定心理士、(一社)日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントファシリテーター。


アドラー心理学関連書籍

「生きる意味―人生でいちばん大切なこと」アルフレッド・アドラー
「アドラー心理学入門」岸見 一郎
「自己肯定感を高める、アドラーの名言」桑原晃弥
「定年後の人生を変えるアドラー心理学Adler's Barへようこそ」八巻 秀


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