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【書評】倫理法人会創始者「丸山敏雄伝」倫理研究所

2025/06/06公開 更新
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「丸山敏雄伝」倫理研究所


【私の評価】★★★★★(94点)


要約と感想レビュー


倫理研究所の設立

中小企業の経営者が学ぶ倫理法人会の創設者、丸山敏雄の人生と学びをまとめた一冊です。丸山敏雄は教師として歴史を教えていましたが、社会主義やキリスト教が日本に入ってくるなかで、日本神話と天皇制の歴史をどう教えるのか悩んでいたようです。


そのためか丸山敏雄は、37歳にして大学で日本史を学ぶことを決断し、大学では日本古代史と倫理を学ぶのです。非常にまじめな人であることがわかります


その頃、丸山敏雄は新興宗教団体「ひとのみち教団」と出会い、入会します。「ひとのみち教団」は天照大神(あまてらすおおかみ)を信仰しており、日本神話と倫理を学んでいた丸山敏雄の波動に近いものがあったのでしょう。


しかし、大戦前に不敬罪で多くの宗教団体が弾圧される中で、丸山敏雄も「ひとのみち教団」の幹部として1年間拘留されることになるのです。


戦後、丸山敏雄が宗教家としてではなく教育組織である倫理研究所を設立し、生活改善運動を行っていくことになるのは、こうした経緯も関係しているのかもしれません。


敏雄は、敗戦から間もない昭和20年9月3日の日記に、こう記している。「「夫婦道」起稿。この平和と世界文化建設の大任に入る」・・戦後日本に新しい道義を打ち立てる生活改善運動が始まったのである(p43)

一日一回の継続

丸山敏雄の特長は、一日一回の継続を旨としたことです。つまり、やればできる、そして、できるようになれば、面白くなる。研究のつもりでやれば、ますますよくなって、もっと面白くなると語っています。


例えば、17歳の頃から勉強し始めた書道は、一日一回必ず筆を持つことにしていました。また、幼い頃から始めた日記も、亡くなるその日までその喜びを、悲しみを、憤りを、日記に記録していたのです。


そうした時間を作るために丸山敏雄は毎朝、早起きして、読書や論文の執筆、書道など、朝の時間を勉学の時間として活用していたという。


人生は決して平坦ではない。だからこそ日記は自らを勇気づけるものでありたいと、敏雄は言う・・今日一日どのようによいことがあったか、を記録しておくとよい(p43)

丸山敏雄は謙虚で人たらし

また丸山敏雄は、謙虚で人たらしであったようです。会友が会合から変えるときには、ドアのところまで言って、「今日は、大変ご苦労でしたね。」と声掛けし、戸口のところで、帰る人たちの姿が見えなくなるまで手を振っていたという。


また、手紙はすぐに書き、得意の文筆で先方に着いたら額にされると思って念入りに書いていたというのです。


戦後、昭和21年の夏、三菱重工業の社宅の管理人を務めていた丸山敏雄は、「国の再建のためには、学問をしているだけではいけない。実践することだ」と、仕事でもないのに広い敷地を、毎日、徹底的に掃除していたという。


実践を旨とする丸山敏雄は、謙虚も実践していたのです。


昭和24年8月21日に「万人幸福の栞」の初版本が印刷所から納品された・・財布から紙幣を取り出し、自ら同書を購入した・・天の命により、大自然から授かったひらめきと導きに従い、天に代わって書かせてもらった、自分は一人の代筆者に過ぎない・・といった気持ちが強かった(p65)

苦難は人を向上させる

丸山敏雄の思想には、共同体感覚や課題を解決しようとする勇気という点でアドラー心理学との共通点が多いと感じました。


丸山敏雄は、「人は人、自分は自分と、別々のいきものだと考えるところに、人の世のいろいろな不幸がきざす」と考えていました。これはアドラーの家族・地域・職場など「自分はその一員なんだ」という共同体感覚に近いと思うのです。


また、苦難は人をより善くし、より向上させるために起こるという考え方も、アドラーの自分の課題と解決しようと挑戦する勇気と似ています。


さらに、アドラーの自分のライフスタイル(性格)は変えることができるという考え方は、丸山敏雄の「人を改めさせよう、変えようとする前に、まず自分が改めればよい」という考え方とまったく同じなのです。


丸山敏雄関連本の中では一番まとまっているのではないでしょうか。倫理研究所さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・蔵書のうち340冊余りは伝記類で、次のように敏雄は人にも伝記を読むことを勧めた・・すべてが先輩の尊い体験の報告であり、身をもって行ったよき教訓である・・ただ一貫不断の努力のみが人に成功の栄冠を与えるものである(p161)


・人を感動させる話し方・・まず檀上に上がったら手前のほうから目を向けて・・そして次に右まわりに全部の人の顔を一通り見まわしてから、話を始めろ・・その場の感じに応じてやりなさい(p22)


・敏雄は話について・・具体的に話せ・・準備をよくせよ・・内容を十分研究しておけ・・しかし、同時に「たとえ準備していっても、第一感で感じたことがあったら、それを話せ」とも教えている(p23)


・奥さん、あなたはご主人の言われることを、何でも「ハイ」と聞けますか?(p61)


▼引用は、この本からです
「丸山敏雄伝」倫理研究所
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倫理研究所 (著)、倫理研究所


【私の評価】★★★★★(94点)


目次


第1章 生活の法則、幸せの法則
第2章 丸山敏雄人と生涯
第3章 法則発案者の思考・美学・感性
第4章 倫理運動の軌跡―敏雄が命がけで訴えたもの
第5章 苦難を喜んで生きる―究極のブレイクスルー思考


著者経歴


倫理研究所(りんりけんきゅうじょ)・・・丸山敏雄が設立した民間教育団体。1945年9月3日創立。2013年9月2日一般社団法人となる。会員組織として家庭倫理の会、倫理法人会、秋津書道会、しきなみ短歌会がある。


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