「もしあと1年で人生が終わるとしたら」小澤竹俊
2021/12/06公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(93点)
要約と感想レビュー
ホスピス医である著者は3000人以上の死を見つめてきました。そして、患者さんに人生の期限を伝えると、患者さんは必ず自分の人生を振り返ります。良かったこと、後悔していること、もっとこうすればよかった、もう一度こうしたかった、と患者さんは自分の人生を整理していくのです。
著者はこのように患者さんを見送り続けながら、良い人生とは何か、と考え続けてきました。今、著者が良い人生のために重要と考えるのは、自分を否定しないこと、新しい一歩を踏み出すこと、大切な人を大切にすること、今日一日を大切にする、この4つです。
・もし、あと1年で人生が終わるとしたら?・・・最終的に多くの方が、「良い人生だった」と納得して、穏やかにこの世を去っていかれます(p4)
心に染みるのは、著者も患者さんを見送り続ける中で、「自分に意味があるのか」「自分は無力でしかない」という思いに苦しんだということです。ホスピスでは医師であるにもかかわらず、多くの患者の病気を治すことも、苦しみを和らげることもできないという状況が続くのです。
著者がたどり着いたのは、自分も一人の弱い人間であり、自分も患者さん、家族に支えられている。患者さんを支えているのではなく、自分が支えられているのだ、ということです。患者さんが自分がここにいることを許してくれるのであれば、患者さんのそばにいさせていただく意味があるのではないか、というのが著者の到達した想いでした。
・人はただ生きているだけで、ミッションを果たしています(p25)
人がなかなか死なない、現代社会においてこうした本で、自分の人生の期限について見つめ直す機会は、貴重だと感じました。タイトルの「あと1年で人生が終わるとしたら?」という言葉は、今日一日を大切に過ごすために大きな示唆を与えてくれるでしょう。今日、終わるとしたら・・・1年後終わるとしたら・・5年後終わるとしたら・・・いろいろな思いが心の中に浮かぶと思うのです。
人生は長いようで短く、短いようで長いものです。人生の終わりをイメージしながら生きていきたいものです。★5としました。小澤さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・よく現場で耳にするのは、「もう一度家族と旅行に行きたかった」という声や「もっとチャレンジすればよかった」という声です(p5)
・重大な判断を下していただくとき・・・1一人で決めないこと、2一回で決めないこと、3専門家の言いなりにならないこと(p41)
・ある程度の範囲内であれば・・・「いい人を演じてしまう」のも自分らしさであると考え、受け入れてしまったほうが良いのではないでしょうか(p72)
・あと何回、大切な人と会えるか(p81)
・人は苦しみから、必ず何かを学ぶ(p144)
【私の評価】★★★★★(93点)
目次
1 もしあと1年で人生が終わるとしたら?
2 人間関係や家族について
3 仕事や夢、目標について
4 人生をもっと楽しむために
著者経歴
小澤竹俊(おざわ たけとし)・・・1963年東京生まれ。87年東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業。1991年山形大学大学院医学研究科医学専攻博士課程修了。救命救急センター、農村医療に従事した後、1994年より横浜甦生病院ホスピス病棟に務め、病棟長となる。2006年めぐみ在宅クリニックを開院。これまでに3500人以上の患者さんを看取ってきた。医療者や介護士の人材育成のために、2015年に一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会を設立。
死ぬとき関連書籍
「病院で死ぬということ」山崎 章郎
「ホスピスという希望: 緩和ケアでがんと共に生きる」佐藤 健
「今日が人生最後の日だと思って生きなさい」小澤竹俊
「死ぬときに後悔すること25」大津 秀一
「人生の実力―2500人の死をみとってわかったこと」柏木 哲夫
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