「1年目から現場で稼げる建設職人を育てる法」阿久津 一志
2021/12/03公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(77点)
要約と感想レビュー
左官職人の父親の元で修行し、後継者として左官職人の会社を引き継ぎ、発展させている阿久津さんの一冊です。最初の頃の会社には、経営理念もなく、施工ミスが発生したり、職人のマナーも悪く、リピート率は20%以下だったという。
その後、経営理念を作り、コーチング朝礼を行い、技術や経営の社員教育を行っていくうちに、リピート率が80%以上になったのです。環境や組織によって、いかに人が変わるのか、社長によっていかに会社が変わるのか、わかりやすい事例だと思います。
・私の会社の壁には、「すぐやる。必ずやる。できるまでやる」と書かれた紙が貼ってあります(p35)
毎日のコーチング型朝礼の導入、月1回の『理念と経営』社内勉強会、年1回の伝統左官技術講習会への全員参加など考えうる人材育成をすべてやっている印象です。特に技術力の向上については、職人一人ひとりの努力に頼るのではなく組織として職人を育てるようにしています。
さらに、年に数回、有名な左官企業に出向いて社長や職人にインタビューして良い技術を吸収しているという。このように技術力を高めても多くの人に知ってもらわなければ意味がない、ということで毎日更新ブログで施工現場を記録し、発信しているところも素晴らしい。
・毎月1回・・・月刊『理念と経営』という月刊誌を用いた社内勉強会(p125)
あまり本書の中には書いてありませんが、ベテラン職人の中には、社長の言うことをあまり聞かない人もいれば、会社や社長の悪口を言う人もいたようです。「仕事は見て覚えるものだ」という世界に若い社長がやってきて、コーチング型朝礼やiphoneやipadで撮影して技術練習をはじめたら反発する人がいるのも当然でしょう。
それでも人を育てるという一点を経営理念として実績を出しているところは素晴らしいと思いました。本書の中には書けない苦労があったことでしょう。阿久津さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・後輩職人を潰してしまう先輩職人の特徴は、「威張っている」「上司の意見をあまり聞かない」「会社や上司の悪口を言う」・・「会社の新しい取り組みに否定的で協力的でない」(p85)
・コーチング型朝礼・・・1月間テーマの唱和(全員)・・3今日1日、とくに意識して実践する徳目の発表・・4前日の気づきの発表・・5前日の感謝すべきことの発表・・続いて「職場の教養」という冊子の読み合わせ(p122)
・技能検定の練習・・iphoneやipadで撮影して、映像を見ながら動作を改善していく(p80)
・年1回、1泊2日の合宿で伝統左官技術講習会が開催されるのですが、当社では近年は毎年、この講習会に社員全員で参加しています(p94)
・仕事場がきれいなことは、すべてにおいてよい影響があります(p139)
・Yさんはその日の3時の休憩のときには、カンナを研いでいました・・・仕事のできる職人は常日頃の習慣が違うということです(p129)
【私の評価】★★★☆☆(77点)
目次
1章 今の時代に合わない職人育成・これからの時代に合った職人育成
2章 そうだ! 社内に職人育成道場をつくろう!
3章 技術を伝える技術を磨け
4章 結果を出せる職人・出せない職人
5章 結果を出せる職人になるための9つの習慣
6章 売れる技術を身につけろ
7章 今までの慣習にとらわれない新しい社風づくりに取り組む
8章 ひとつのことを諦めず続ければ、必ずその道のプロになれる
著者経歴
阿久津一志(あくつ かずし)・・・有限会社 阿久津左官店 代表取締役 / 職人ビレッジ 村長 。1971年栃木県生まれ。地元工業高校卒業後、ゼネコンに入社、橋梁や大型建築構造物の設計作図に携わる。退社後、父が経営する有限会社阿久津左官店に入社。6年間左官職人になるための修行をし、一級左官技能士の資格を取得。現場管理や営業、経理を担当した後、2000年に同社の代表取締役となる。2005年会社経営や職人育成の研究をするかたわら、地元大学に入学し経営学を学ぶ。2009年立教大学大学院ビジネスデザイン研究科(RBS)に入学、更に会社経営および職人育成の研究をする。2011年経営管理学修士を取得
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