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「CHANGE 組織はなぜ変われないのか」ジョン・P・コッター

2023/02/28公開 更新
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「CHANGE 組織はなぜ変われないのか」ジョン・P・コッター


【私の評価】★★★☆☆(79点)


要約と感想レビュー

コッター博士といえば、企業変革の専門家です。これまで50年間で600もの企業や団体の改革を調べたという。そこでわかったことは、現代型組織は安定性、効率性を高めることが得意で、変化や改革を苦手にしているということです。たくさんの規則や方針、手続きに縛られ、計画を作ってから動き出すという慎重さがあり、個性的な行動を制約する強い標準化志向をもっているのが現代型組織なのです。


そのためトップダウンで改革を行うと、強い抵抗とストレス(生存チャンネル)が過熱し、改革からの成果が得られないことも多いという。この本では現代型組織での失敗として、次のような事例が紹介されています。


一つ目は、改革が組織のリストラを伴うものであったため、現場の社員が疑心暗鬼から重度のストレスを受けて、動けなくなり、全社的に生産性が低下してしまうパターン。


二つ目は、コンサルタント主導で業務改革を進めたが、トップダウンで進めたため、コスト削減が進まなかった。さらに目標未達の場合にどのような結果となるのか明らかでなかったため、不安になる人が増え、反対意見も出るようになってしまうパターンです。


・生存チャンネルがあまりに過熱すると、人は疲弊し、動転して、・・・問題にもうまく対処できなくなる(p36)


組織改革を推進するためには、多様な人たちが情熱をもって参加することが欠かせません。そのために、会社を分割して、柔軟性が高く俊敏な企業を作って改革や新サービスの開発を進める場合もありますが、著者のお勧めは「デュアル・システム」です。


デュアル・システムとは、既存の組織はそのままで、自発的に改革に取り組む人たちを社内のあらゆる階層から募り、社内にグループをつくり、運動を推進するものです。多くの人材が集まることで、アジャイル・開発の原則の四番目「使う人と開発する人が日々協力する」ことが可能となるのです。


・デュアル・システム・・マネジメントのプロセスを重んじると同時に、大勢の人がリーダーシップを発揮できるようにする(p185)


欧米企業では度重なるリストラで、社員の不信感が高くなり、改革がうまくいかないケースが多いようです。日本では逆に、思い切ったリストラができず、会社がどうしようもなくなって社員の首を切る、というケースが多いように感じます。結局は、社員の心の問題と、ロジックの改革のバランスを取ることが重要ということなのでしょう。そのためには、社員に危機感を持ってもらわなくてはならないし、検討に参加してもらうことで、やらされ感をへらすことが重要なのです。


著者の提唱するデュアル・システムは、ワーキンググループやタスクフォースなどの形で活用されています。コッターさん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・ネットワーク型組織が最もうまく機能するのは、多様な人たちが情熱をもって参加する場合だ(p201)


・大勢の人の行動を引き出し、人々の情熱に訴えかけ、「やらなくてはならない」ではなく「やりたい」に基づく行動を活性化させる必要がある(p216)


・ミドル層の障害・・・部署間の対立により身動きが取れずにいたり、上と下からの要求の板挟みになっていたりするのではないか(p254)


・マネジャーたちはコントロールを手放すことに消極的で、社内の草の根レベルの行動を妨げてしまう(p48)


▼引用は、この本からです
「CHANGE 組織はなぜ変われないのか」ジョン・P・コッター


【私の評価】★★★☆☆(79点)


目次

第1部 序論―新しい「変化の科学」
第2部 本論―加速するためのもっとよい方法
第3部 結論―ニューノーマルを生き抜く



著者経歴

ジョン・P・コッター(John P. Kotter)・・・ハーバード・ビジネス・スクール 名誉教授 ハーバード・ビジネス・スクールの松下幸之助記念講座名誉教授。ベストセラー作家。 マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学卒業。 1980年に史上最年少の33歳でハーバード大学の正教授に就任、リーダーシップ論を担当。 2008年に共同創設者兼会長としてコッター・インターナショナル(現コッター社)を創設、リーダーシップ、組織変革、ビジネス戦略等のコンサルティング・サービスを提供。 研究成果は20冊を超える著書や論文等で発表され、その多くはベストセラーとなり、日本を含め世界各国で翻訳されている。


バネッサ・アクター・・・コッター社 ディレクター。


ガウラブ・グプタ・・・コッター社 ディレクター


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