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ぶっちゃけ「熔ける 日本の会社」井川 意高, 渡邉 哲也

2024/11/28公開 更新
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「熔ける 日本の会社」井川 意高, 渡邉 哲也


【私の評価】★★★☆☆(72点)


要約と感想レビュー


大王製紙の家庭紙事業の黒字化に成功

経済評論家の渡邉さんと元大王製紙会長の井川さんとの対談です。どこかの居酒屋で話されているような雑多な内容となっていました。


やはり興味深いのは、元大王製紙会長であった井川さんの話でしょう。井川さんは大赤字を垂れ流していた大王製紙の家庭紙事業の黒字化に成功していますが、そこには銀行の資金協力があったことがわかります。


この本では愛媛銀行や三和銀行が紹介されています。借金だらけの会社に、井川さんを信じて融資してくれたことに恩義を感じているのでしょう。


坪田さんという三和銀行副頭取・・・1000億円の借金のある会社に、すでに三和は百数十億円も貸し込んでいるわけです(井川)(p72)

短期的視点のサラリーマン社長

経営論でいえば、長期的視点を持った経営者が少なくなり、短期的視点のサラリーマン社長を批判しています。特にサラリーマン社長の特徴として、自分のときだけ良ければ問題ないという無責任さを批判しています。


例えば、マクドナルドの原田永幸さんを目先の資産を売って、自分がいる間だけ業績を盛って、自分の高給だけは取っていたと批判してますが、本当なのでしょうか。


また、ソフトバンクの孫正義さんについては、端末をリースで売ったり、金融の仕組みを利用したビジネスの天才と褒めています。ただし、孫さんが、震災後に再生可能エネルギー買取制度を民主党に作らせて、日本の電気料金を通して日本人のお金をリスクなしで引き出す仕組みを作った点については、批判しています。
 

業界3位のレンゴーの会長である大坪清さん・・創業家の長谷川家をないがしろにして、ずっと会長のままで自分は80歳を超えても好き勝手やってね(井川)(p99)

企業は中国から逃げ出そうとしている

国際関係については、米中貿易戦争の影響や、中国からの嫌がらせのため、日本企業は中国から逃げ出そうとしていることがわかります。製紙業界では、王子製紙が中国に進出していますが、排水の環境基準で難癖つけられ、中国から逃げることもできず、困っているという。


中国から逃げ切った会社は、中国はやめたほうがいいと言えますが、まだ逃げ切っていない会社は言えないので、一般の人は気づかないのだというのです。アメリカ議会でも、中国に依存している製品をできるだけ国内または同じ経済圏内から調達できる環境づくりを国策として進めているという。


中国に関しては・・稼いだ金を日本に持って帰れないわけでしょう・・巨大マーケットと言っても、すぐにコピーされるし(井川)(p119)

お二人の雑談

とりとめのない話ばかりでしたが、会社経営者というのはこういう話をしているのかなと思いながら読みました。また、本書は対話をそのまま本にしたのか、発電設備のところは語句に不自然なところもあり、あまり校正されていないように感じました。


お二人の雑談として読みましょう。 井川さん、渡邉さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・アメリカの納税義務者は、アメリカ人とアメリカの永住権保有者、90日以上アメリカに滞在している人・・海外に住んでいても国籍を保有している限り、海外税率との差額を払わされるんです・・日本はやっていないから、結局海外に逃げちゃってるんです(渡邉)(p200)


・ほとんどの大学は、理事長が私物化しているでしょう・・山口二郎みたいなのが法政大学の教授をやっているんですよ。しかも何億円っていう補助金をもらって(井川)(p211)


・家族を守るため、お国を守るため、天皇陛下を守るためと思って亡くなった方のことを、私は尊敬しますし、頭が下がります。けれども・・絶対にやっちゃいけない戦争でした。負ける戦争ですもん(井川)(p124)


▼引用は、この本からです
「熔ける 日本の会社」井川 意高, 渡邉 哲也
井川 意高, 渡邉 哲也、ビジネス社


【私の評価】★★★☆☆(72点)


目次


第1章 イノベーションが不得手な日本の現状
第2章 銀行化する日本の企業経営
第3章 二進も三進も行かない製紙業界
第4章 王子製紙との合併交渉の内幕
第5章 日本は業界2社、3社体制で生き残れるか
第6章 必要なのはシンプルな制度設計



著者紹介


井川意高(いかわ もとたか)・・・1964年、京都府生まれ。東京大学法学部卒業後、1987年に大王製紙に入社。2007年6月、大王製紙代表取締役社長に就任、2011年6~9月に同会長を務める。社長・会長を務めていた2010年から2011年にかけて、シンガポールやマカオにおけるカジノでの使用目的で子会社から総額約106億8000万円を借り入れていた事実が発覚、2011年11月、会社法違反(特別背任)の容疑で東京地検特捜部に逮捕される。懲役4年の実刑判決が確定し、2013年10月から2016年12月まで3年2カ月間服役した。


渡邉哲也(わたなべ てつや)・・・作家・経済評論家。1969年生まれ。日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務した後、独立。複数の企業運営などに携わる。大手掲示板での欧米経済、韓国経済などの評論が話題となり、2009年、『本当にヤバイ! 欧州経済』(彩図社)を出版、欧州危機を警告し大反響を呼んだ。 内外の経済・政治情勢のリサーチや分析に定評があり、さまざまな政策立案の支援から、雑誌の企画・監修まで幅広く活動を行っている。


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