「拝啓、諭吉様。もし現代の若者が『学問のすすめ』を学んだら」永松 茂久
2024/11/29公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★★(92点)
要約と感想レビュー
現代版小説版「学問のすすめ」
人財育成JAPANで斎藤一人さんの弟子として講演、出版されている永松さんの一冊です。この本は、福沢諭吉の「学問のすすめ」を現代版小説に変換したものです。実は、大分県中津市生まれの永松さんと福沢諭吉にはご縁があります。福沢諭吉は、豊後国中津藩(現在の大分県中津市)の下級藩士の次男として生まれたのです。
東京に出て慶應義塾を設立した福沢諭吉は、出身地の中津にも英語学習を行う中津市学校を開設しました。そして、中津市学校の生徒に対し、学ぶことの大切さを説明した小冊子が「学問のすすめ」なのです。 福沢諭吉の考える学生が学ぶ理由は、社会に出ても学び続けるための基礎体力を身につけるためだという。
市学校の生徒たちに向けて、学ぶことの重要性やその目的を伝えるために書いた小冊子、それが「学問のすすめ」なのだ(p111)
一身独立して一国独立す
江戸時代は上級武士の子どもは上級武士、下級武士の子は下級武士にしかなれませんでした。しかし、明治維新によって学ぶ者が地位とお金を手にすることができる可能性が生まれたのです。
福沢諭吉が学ぶことで目指すのは、一身独立、つまり自立です。自立には経済的自立と、精神的自立があります。経済的自立とは、自分の仕事で生計を立てること。精神的自立とは、他人や物事に影響されず、自分の意思を持つことなのです。
特に精神的自立が重要であり、もしも精神的自立がないとどうなるのか。
ある人は他人の目を気にして、自分に不利な状況に陥ってしまうかもしれません。またある人は、うまくいなかいことを他人のせいにし、社会のせいにして、成功者の足を引っ張る人さえいるのです。
一身独立して一国独立す。これが私が「学問のすすめ」で一番伝えたかったことだ(p121)
志を持つ
学ぶことによる自立の先にあるのは、志を持つことです。
実学を徹底的に極めると、「自分はこの分野だけは人に負けない」状態となり、世の中の役に立つことができるようになります。そして、世の中に役立つことで「これに人生をかける」と思えるような、一生を貫く仕事を発見できるという。すると、今の時代に自分が生きた証拠を残し、次の世代に伝えていくという使命を持つことができるというです。
そのように志を持ち一生懸命やっていると、必ず面白くなってくるし、うまくいっても、逆にうまくいかなくても、いつもいまが出発点だと考えることができるようになるという。
「この仕事で世の中をよくするんだ」と考えながら仕事をする人のことを「志の高い人」と言う(p191)
情報と人材が社会を大きく発展させる
福沢諭吉は明治の混乱の時代において、有益な情報と、さまざまな分野の人が集まる慶應義塾を作りました。情報と人材が社会を大きく発展させる鍵になるとわかっていたということです。そして慶應義塾内に出版社を作るなど、情報を発信する場があってこそ、効果的に学ぶことができ、お金も集まってくることを知っていたのです。
この本で福沢諭吉は、商売成功のコツとして、新しいものを開発するより、いまあるものを時代時代に合わせてアレンジしていくほうがよいと語っています。この本も「学問のすすめ」を現代に合わせてアレンジして小説にしたのだな、と納得しました。
同時に「学問のすすめ」の素晴らしさが、時を越えて心に伝わってきて涙が出てきました。福沢諭吉さんと永松茂久さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・「自分は本当にいまのままでいいのか?」と自分に対して問い続けることだ(p220)
・自分という一番の有望株への投資をケチってどうする・・お金を残す一番早い道、それが自分に投資することだと言っているのだ(p225)
・人はみな、他人との関わりの中で生きている・・だからこそ人に嫌な印象を与えないためには、最低限、自分の表情と話し方には気を遣うべきなのだ(p257)
【私の評価】★★★★★(92点)
目次
第1章 出会い
第2章 学問のすすめ
第3章 中津からあげ
第4章 諭吉さんの過ごした町、中津
第5章 『学問のすすめ』で諭吉さんが一番伝えたかったこと
第6章 日本ご先祖委員会
第7章 福澤式、仕事がうまくいく人の考え方
第8章 慶應義塾
第9章 君よ、もっと大きく、自由に生きよ
最終章 サクラサク
著者紹介
永松茂久(ながまつ しげひさ)・・・株式会社人財育成JAPAN 代表取締役。大分県中津市生まれ。2001年、3坪のたこ焼きの行商から商売を始め、2003年に開店したダイニング陽なた家は、口コミだけで毎年4万人(うち県外1万人)を集める大繁盛店になる。人材育成法には定評があり、全国で多くの講演、セミナーを実施。「人の在り方」を伝えるニューリーダーとして、講演の累計動員数は延べ80万人にのぼる。2016年より、拠点を東京麻布に移し、現在は自身の執筆だけではなく、次世代の著者育成、出版コンサルティング、出版プロデュース、出版支援オフィス、講演、セミナーなど、数々の事業を展開する。
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