人生を変えるほど感動する本を紹介するサイトです
本ナビ > 書評一覧 >

「一生学べる仕事力大全」藤尾秀昭

2024/01/08公開 更新
本のソムリエ
本のソムリエ メルマガ登録[PR]

「一生学べる仕事力大全」藤尾秀昭


【私の評価】★★★★★(90点)


要約と感想レビュー

成功者が語ることは似ている

本のソムリエも読んでいるまじめな月刊誌『致知』の、記事やインタビューから再編集した一冊です。『致知』らしい人選となっていますが、本のソムリエとしては、あまり情報がない富士フィルムの古森さんや、相田みつをさん、森信三さんが掲載されていているところがありがたい。


読んで気づくのは、成功者が語ることが似ているということでしょう。富士フィルムの事業構造転換を主導した古森社長は、絶対間違えないつもりで経営判断してきたといっています。これは、松下幸之助も商売は真剣勝負、絶対に損してはいけないと言っていたことを思い出させます。


経営者として、百の判断をしたら百間違えないつもりで私はやっています・・間違えるのが人間だと言っているようでは経営は務まらない・・ナンバー1が間違えたら会社が傾いてしまう(富士フィルム社長:古森重隆)(p556)

日本人は職人である

読み切って感じるのは、日本人とは経営者も職人であるということです。


サイゼリア会長の正垣さんは、フランチャイズを一切やらない理由として、自分たちの目指す店づくりができないからと言っています。つまり、加盟店を募集すれば、加盟店は楽をしてお金儲けしたいから、商品の値段を高くしようという圧力を受ける可能性があるというのです。


同じように宮大工棟梁の小川さんは、笑われないような仕事をしようと心がけてきたという。だから、仕事は下請けに出さないし、下請けもしない。すべての責任をもって、設計から購買、施工まですべて自分でやるというのです。つまり楽をしたくなったらお終いよ、というのが最高の仕事に固執する職人の矜持(きょうじ)を感じるのです。


世の中に流されそうになることがいっぱいあった・・「そんなことしねえで早いことやって手抜いとけ」と言ったらば、それで終わりになっちゃうから。それじゃいけないんです(鵤工舎舎主:小川三夫)(p677)

人間として何が正しいのか

個人的に印象的だったのは、2022年に亡くなった稲盛和夫氏の2018年のインタビュー記事です。すっかり頬の肉が落ちているものの、経営者時代にはない仏のような笑顔で、昔を回想しています。最初に就職した会社では、ただ一人利益を出す部門を引っ張っていました。赤字会社ですから、職場でダラダラ仕事をして、残業代を稼いでいる人がいたので、残業を禁止したら、組合に吊るし上げられ、暴力を振るわれたという。


それでも稲盛氏は人間として何が正しいのか、会社員として何が正しいのかを説得し続けたと語っています。いるよな~、志を持った人をいじめる人たちが、職場の人たちを巻き込んで吊るし上げる。多くの人が潰されたと思いますが、稲盛氏は潰されなかったのです。


まじめな『致知』らしい一冊でしたので、★5とします。藤尾さん、良い本をありがとうございました。


無料メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」(独自配信)
3万人が読んでいる定番書評メルマガ(独自配信)です。「空メール購読」ボタンから空メールを送信してください。「空メール」がうまくいかない人は、「こちら」から登録してください。

この本で私が共感した名言

・「私は日本一のバレーボールチームを作るためにこの学校へ来ました」・・職員からは、「厳し過ぎる」と批判が出て、二、三週間目に校長先生から「あまり頑張らないでください」と注意されました(古川商業高校女子バレーボール部監督:国分秀男)(p209)


・「いま ここ 自分」という字を書くのに夜中の二時、三時まで、百何十枚も・・自分が納得できないんです。自分の感情が治まらないので、これでもか、これでもかと書くんです(相田みつを)(p520)


・コンベヤーのスピードの最適値はどう考えればいいですか・・最適値?何をバカなことを言っとるんだ。最適や限界というのは前提条件を固定した時に決まる。君たちは前提条件を覆すために採用されているんだ。くらだん質問をするな(大野耐一)(林南八)(p486)


▼引用は、この本からです
「一生学べる仕事力大全」藤尾秀昭
藤尾秀昭、致知出版社


【私の評価】★★★★★(90点)


目次

第1章 信念を持つ
第2章 心を高める
第3章 挑戦する
第4章 道をつくる
第5章 逆境を越える
第6章 人を育てる
第7章 学び続ける



著者経歴

藤尾秀昭(ふじお ひであき) ・・・昭和53年の創刊以来、月刊誌『致知』の編集に携わる。54年に編集長に就任。平成4年に致知出版社代表取締役社長に就任。現在、代表取締役社長兼主幹。『致知』は「人間学」をテーマに一貫した編集方針を貫いてきた雑誌で、平成30年、創刊40年を迎えた。定期購読者数は11万人を数える。有名無名を問わず、「一隅を照らす人々」に照準をあてた編集は、オンリーワンの雑誌として注目を集めている。


この記事が参考になったと思った方は、クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓ 
 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ


ブログランキングにほんブログ村



<< 前の記事 | 次の記事 >>

この記事が気に入ったらいいね!

この記事が気に入ったらシェアをお願いします

この著者の本 , ,


コメントする


同じカテゴリーの書籍: