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「1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書」藤尾秀昭

2022/05/30公開 更新
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「1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書」藤尾秀昭


【私の評価】★★★★★(94点)


要約と感想レビュー

成功者が語ることはほとんど同じ

人間学を学ぶ月刊誌『致知』から365日分の記事やインタビューを抜粋した一冊です。人選は稲盛和夫、柳井正、渡部昇一、原田隆史、安藤忠雄、王貞治、西田文郎、などと私の好きな人ばかりです。最後まで読み通してみた印象は、この本は幕末から明治にかけて「西国立志編」として100万部以上を売り上げたというスマイルズの「自助論」とそっくりだ!ということです。「自助論」もこの本と同じように300人以上の成功者の話を集めたものでした。


自助論」でもこの本でも驚くのは成功者が語ることが、ほとんど同じであるということでしょう。29年間フィリピン・ルバング島に潜伏し続けた小野田寛郎(ひろお)さんは、「日本軍が反撃するまでマニラの米軍基地を牽制するという任務があり、何としても目的を達するという覚悟があるから、どんなに苦しくても歯を食いしばれた」と言っています。古川商業女子バレーボール部を日本一にした国分秀男さんは、着任して「私は日本一のバレーボールチームを作るためにこの学校へ来ました」と宣言したという。成功する人は志が違うのです。


劇団四季芸術監督 浅利慶太さんは、オーディションの時に「十年間辛抱できますか」と質問するというし、ユニクロ創業者の柳井正さんは、「百人いたら九十九人は本気で実行していない。百人のうちの一人になろうと思わない限り、事業というものはうまくいかない」と言っています。困難なことをやりとげた成功者は、大きな目標を持っている。そして、成功するまでやり続ける。どんな苦難にもめげることがないのです。成功した人の話を集めたのですから、当たり前かもしれませんが、楽に成功した人は少ないというのが印象的でした。


悪いことが起こるのは思いがけない善いことが訪れるために必要な前段階なんです(宮本輝)(p45)

成功しながら感謝の心を持つ

このように成功するためには、一つの法則があることがわかります。それを真似ればよいのです。ところが難しいのが、成功してからです。人は成功すると、なぜか調子に乗って傲慢になってしまうのです。私が注目したのは、井原隆一さんが10月1日のところに「人生の大病は、傲(ごう)の一字にあり」というタイトルで一筆書かれていることです。傲(ごう)とは傲慢の傲です。井原隆一さんでさえ、傲慢になってしまうのが人間の性(さが)であり、それを怖れているのです。


成功したのは皆さんが助けてくれたおかげです。うまくいったのは運がよかっただけです。このように口で言っていても、本当に心の中から思い、行動できるのか。成功してから先に、成功を維持するために必要な人としての落とし穴があるということなのでしょう。成功しながら感謝の心を持つというのが、人生の最後の修業なのかもしれないと思いながらこの本を読みました。 


感謝の心を持つ「領収書の人生」を歩め(イエローハット相談役 鍵山秀三郎)(p316)

知覧特攻平和会館に行こう

この本では知覧特攻平和会館の話が二つ紹介されていました。靖国神社にも特攻隊の手紙が展示されていますが、やはり知覧にも行かなくてはと思いました。「国のため捨てる命は惜しからで ただ思わるる 国の行く末」と詠み、出撃していった若者たちは何を思ったのか。ウクライナの地で命をかけて戦っている姿を見ながら戦争はないほうがよいのですが、そうした状況に自分はどう考えるのか。


成功者の言葉だけでなく、先人の生き方を考えさせられる一冊でした。特に苦難にある人、落ち込んでいる人にお勧めの一冊だと思いました。この程度のことで落ち込んでいるのは、恥ずかしいと思わせてくれる一冊です。本の評価としては★5とします。藤尾さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・満州からの逃避行の途中で一番先に首をつったのは、ソ連兵に強制連行されることもなく残された年寄りの男たい。次に、井戸に飛び込んだのは、独身女性。最後に残るのは、いつも私たち母親でしたね(藤原てい)(p84)


・私を死の瀬戸際で踏み止まらせてくれたものは・・・シェイクスピアの箴言「嵐の中でも時間はたつ」という言葉(NPO「蜘蛛の糸」理事長佐藤久男)(p168)


・たとえ、ミスしても、自分はミスしたなんて思わない(岡本綾子)(p260)


・優秀なマネージャーであれば、困難に遭遇すればその迂回策を考えるだろう。うまくいかなかったら、その言い訳を探して、責任逃れをするだろう。そんなマネージャーばかりだから倒産したんだ(日本航空元会長補佐)(p273)


・「念ずれば花ひらく」の詩 誕生秘話・・・父・真民は四十歳の頃、朝三時に起きて大乗寺で座禅し、帰ってきて家族で五人で一緒に朝ご飯を食べ、学校に行くという生活をしていました(坂村真民記念館館長補佐 西澤真美子)(p277)


▼引用は、この本からです
「1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書」藤尾秀昭
藤尾秀昭、致知出版社


【私の評価】★★★★★(94点)


目次

1月1日「人生の闇を照らしてくれる光」五木寛之(作家)
1月2日「人生で一番大事なもの」稲盛和夫(京セラ名誉会長)
1月3日「十年間辛抱できますか」浅利慶太(劇団四季芸術総監督)



著者経歴

藤尾秀昭(ふじお・ひであき) 昭和53年の創刊以来、月刊誌『致知』の編集に携わる。54年に編集長に就任。平成4年に致知出版社代表取締役社長に就任。現在、代表取締役社長兼主幹。『致知』は「人間学」をテーマに一貫した編集方針を貫いてきた雑誌で、平成30年、創刊40年を迎えた。定期購読者数は11万人を数える。有名無名を問わず、「一隅を照らす人々」に照準をあてた編集は、オンリーワンの雑誌として注目を集めている。


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