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「自分の意見で生きていこう―「正解のない問題」に答えを出せる4つのステップ」ちきりん

2025/01/24公開 更新
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「自分の意見で生きていこう―「正解のない問題」に答えを出せる4つのステップ」ちきりん


【私の評価】★★★★★(94点)


要約と感想レビュー


他者と異なる意見に価値がある

外資系企業で仕事をしてきた著者は、常に自分の「意見」を明らかにするよう求められたという。「他者と異なる意見に価値がある」ということが、外資系企業では共通認識だったのです。

 
例えば、新規事業案を議論しているとき、「投資はどれくらいで、自己資金なのか借入金でしょうか。借金をするのはリスクが高いですよね」と発言したとすれば、「余裕資金で投資がまかなえるなら新規事業に賛成という「意見」でよいですか?」と確認されるというのです。つまり外資系企業では、否定したり、質問したりするなら、まず自分の「意見」を明確にするのが礼儀なのです。


日本では「情報がないから意見がいえない」というのが当たり前ですが、外資系企業では「正解が言えないのは知識がないからだが、「意見」が言えないのは思考していないから」と解釈されるという。外資系企業では答えのない問いに、意見と意見をぶつけあわして、よりよい方針を決めることを重視しているということなのでしょう。


自分の意見を否定するなら、まず自分の意見を明確にするのが礼儀だろうと思う(p48)

正解がない問いに答えるために

事ではなく、生活の中での決断を考えてみましょう。例えば、ガンに罹患したとき、「リスクはあるが、手術を行うか」それとも「リスクのある手術は避け、日常生活の質の維持を優先するか」どちらか決断することになります。


手術の成功率は何%なのか?という問いには正解がありますが、手術を行うかどうかには、人それぞれ結果は違うので絶対的な正解はありません。


ある人が「手術をしましょう」と意見を言ったことに対して、別の人が「手術にはいろいろ問題がある」と言っても、これは手術をするのかしないのか意見が不明確で、単なる情報でしかありません。決断するためには、「手術をする」「手術をしない」というポジションを明確にして議論しなければ、何も進まないのです。


「手術をしましょう」「手術にはいろいろ問題がある」こんなことを言っていても、なにも決まらないということはわかりますよね?(p70)

自分の意見を言わない理由

さらに、日本では議論なしで「主治医にお任せ」という人も多いのです。私がびっくしりしたのは、国の審議会で各委員が好き勝手に発言した後で、委員長が「では結論は私に一任ということで」委員会をまとめてしまったのを見たことがあります。
 

実際日本では、意見に対して議論ではなく、質問したり、間違っているところを指摘するだけの人がほとんどです。どうやら、日本では「意見を主張するのは怖い」と考えている人が多いのです。なぜなら、「間違っている」というリスクは常にあるので、断言しないほうが楽なのです。


つまり「否定・反論されたくない」という保身の気持ちでもあるし、論理的に考えるのが面倒だし、曖昧にしたほうが、敵を作らないということもあるのでしょう。


意見を言う人の多くは、「反応しかしない人」にイチャモンばかりつけられ、消耗しがちです(p217)

自分の意見はコレだと断言できるか

日本人が外資系企業に行くと、社内でけんけんがくがく喧嘩のように議論しているのにビックリするというのを思い出しました。打ち合わせが終わると、喧嘩腰で議論していた人たちは、普通に穏やかに会話しているのです。


日本人だと議論になると、「新入社員のくせに百年早い!」などと先輩後輩の立場もからまって、感情的な議論になって、その感情がずっと尾を引くことさえあるで、日本人は外資系企業の割り切りにびっくりするのです。


外資系企業で、意見が言えないなんて、極めて恥ずかしいことだという教育を受けてきた著者は、「世の中の9割の人が異なる意見であっても、自分の意見はコレだと断言できるか?」と考えてきたという。著者のような人が増えて、いずれ日本も、外資系企業のように誰が言ったかではなく、何を言ったかで結論が決まるようになるといいですね。


なぜ日本ではまともな議論にならないのか、はっきりわかりました。それでも日本の議論では、敵を作らないよう気をつけたいものです。ちきりんさん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・日本で「意見を表明する」ことを避けたがる人が多いのは、「他者と異なる意見を表明するのは、他者の意見を否定することになる」と考えているからかもしれません(p232)


・早期退職制度・・・「辞めたほうがいい人もいるし、辞めないほうがいい人もいる」といった・・・両論併記は情報であって、意見ではありません(p291)


・「プログラミングを学んでも、食べていける場合と食べてはいけない場合がある」は、「中立的な意見」だと誤解されることもありますが、この言い方は「犯人は男の場合もあるが女の場合もある」などと同様、実質的にはなにも意味していません(p65)


・スマホでネット上に発言を載せるという行為は、本人の前でそれを呟くのと同じ行為なのです(p114)


▼引用は、この本からです
「自分の意見で生きていこう―「正解のない問題」に答えを出せる4つのステップ」ちきりん
ちきりん、ダイヤモンド社


【私の評価】★★★★★(94点)


目次

1 「意見」とはなにか、なぜ必要なのか
2 「反応」だけではダメな理由
3 SNS時代に「自分」を創る
4 生きづらさから脱却しよう
5 リーダーシップの最初の一歩
6 オリジナルの人生へ
練 「意見」をもてるようになる4つのステップ


著者紹介

ちきりん・・・関西出身。バブル期に証券会社に就職。その後、米国での大学院留学、外資系企業勤務を経て2011年から文筆活動に専念。2005年開設の社会派ブログ「Chikirinの日記」は、日本有数のアクセスと読者数を誇る。


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