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「いじめは「犯罪」である。体罰は「暴力」である。」和田秀樹

2021/12/07公開 更新
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「いじめは「犯罪」である。体罰は「暴力」である。」和田秀樹


【私の評価】★★★★★(94点)


要約と感想レビュー

 2021年2月に北海道旭川で14歳女子中学生が自慰行為を強要されたうえに、わいせつ画像を拡散され、氷点下の旭川で凍死した殺人事件の記事を読んで手にした一冊です。2013年と古い本ですが、学校における「いじめ」という名の殺人事件が多発している状況と原因について分析し、対策案を提言しています。


 大人の世界でもそうですが、殴ってケガをさせるのでなければ、みんなで無視したり、罵倒したりしても、よほどひどくなければ犯罪とはなりません。さらに学校では、傷害、恐喝、強盗、家宅侵入、レイプ、自慰強要、自殺幇助、SNSでの名誉毀損、わいせつ画像拡散は罪に問われないのです。特に14歳以下は心神喪失者と同じように刑法で罰せられることはありません。


・1996年に起こった「旭川女子中学生集団暴行事件」・・・担任が日頃のわいせつ行為で少なくとも三度以上相談を受けたにもかかわらず、生徒指導を徹底していなかった(p101)


 著者は、学校での「冷やかし」や「からかい」を否定しているわけではありません。大人になって、ちょっとした一言で傷つくことはあるはずなのです。そうしたときに、激怒するわけでも落ち込むでもなく「そういう言い方はやめてもらえますか」と口にできるかどうか、コミュニケーションの訓練をしていると見ることもできるのです。


 いじめに対する著者の提案は、アメリカのように学校で細かい罰則を作って、厳格に運用することです。これは非寛容方式と言われ、例えば、遅刻、無断欠席、宿題未提出から武器の持ち込み、暴力、いじめなどについて罰則(居残り、問題児専用学校への転校)が課されます。


 今の学校ではモンスターペアレントもいるし、ちょっと生徒を叩いたら暴力で訴訟となってしまうかもしれないし、出席停止にしたら学習の機会を奪ったと騒がれるかもしれないので、不良生徒への対処のしようがないのです。まじめな学校の先生がうつ病になる前に、生徒がイジメ殺される前に、暴力やルール違反は罰するということを明確にして、学校に規律と正義を取り戻すという提案なのです。


・平成23年度・・・校内暴力の件数が年間5万6000件・・・学校側が出席停止を含む措置を講じた件数・・・中学校18件(p125)


 日本社会は人を殺しても、死体が解剖に回されないので、殺人が認知されにくかったり、イジメ殺しても犯罪にならないとか、心神喪失なら人を殺しても犯罪にならないなど、犯罪者にとって優しい国です。そうした犯罪者が増えないためにも、学校運営から見直しが必要なようです。この本が発行されてから17年ですが、いまだにイジメ殺される人はなくなりません。このような状況で頑張る学校の先生のためにも、よりよい制度改善を望みます。


 年3万人と言われる自殺者が一人でも減ることを祈って、この本をご紹介しました。和田さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・クラスメートからちょっとからかわれることも「いじめ」だという人がいます。その一方で、暴行傷害や金品恐喝などの犯罪も同列に「いじめ」だと扱われてしまう(p35)


・観点別評価が推進され、学力・ペーパーテストが重視されなくなっている・・・先生に好かれようとするあざとい子たち(p49)


・他人の欠点や汚点をあげつらい、いじって嘲笑するというシニカルな笑いが、テレビ番組の影響で子どもたちにも蔓延している(p57)


・監察医の話では、人を毒殺した場合、一人目ならまず捕まらないそうです。そのくらい警察がまじめに動かず、解剖に回さない国なのです(p5)


・弁護士の中には刑事裁判の報酬の低さをわずらわしく感じて「とりあえず罪を認めて精神鑑定を受けなさい。『心神喪失者』ということで無罪になるだろうから」と唆す場合が少なくないといいます。警察も加害者が罪を認めてくれれば書類を作成し解決率を高めることができる(p85)


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▼引用は、この本からです
「いじめは「犯罪」である。体罰は「暴力」である。」和田秀樹
和田秀樹 、潮出版社


【私の評価】★★★★★(94点)


目次

第1章 学校を無法地帯にする5つの病理
第2章 いじめは警察が取り締まれ
第3章 校内犯罪への対処法



著者紹介

 和田秀樹(わだ ひでき)・・・1960年代大阪生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。東京大学付属病院精神神経科助手、アメリカ・カールメニンガー精神医学校国際フェローを経て、「和田秀樹こころと体のクリニック」を設立し院長に就任。国際医療福祉大学大学院教授、川崎幸病院精神科顧問なども務める。


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