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がんになったら治療は受けない「わたしの100歳地図」和田秀樹

2023/12/25公開 更新
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「わたしの100歳地図」和田秀樹


【私の評価】★★★★☆(85点)


要約と感想レビュー

映画制作資金のために医師となる

63歳になった精神科医である著者は、100歳までどんなふうに生きていく地図を描いているのでしょうか。若いとき映画ファンだった著者は、自分で映画を制作するために医者になってお金を稼ごうと思い立ちました。医者になってからも、映画制作資金のために文書を書くアルバイトをしてきたのです。大学教授にもなりましたが、本業に関係ない会議が多く、37歳で常勤の医師を辞めました。大学病院の世界では、多くの医師が教授を目指すのですが、著者は自ら主流コースから外れたのです。


しかし63歳になって振り返ってみると、ある医師が東大の教授になったとたんに勉強しなくなってしまったのを目撃したり、大学病院の教授たちが、定年の65歳後、どうしていいかわからず困っている。逆にやりたいことをやるために出世コースを外れた自分は、いつまでも仕事することができて、自分のやりたいことのためにお金を使い、人生を楽しむことができてることに気づいたという。これは、問題児だった著者を理解し、信じてくれていた母のおかげだと著者は総括しています。


・映画資金を得るためには、医師になってお金を稼げばいい(p31)


血圧と血糖値は高め維持

著者は50代になって血糖値と血圧が上がってきました。標準値は血糖値は空腹100、食後で140mg/dl、血圧は60代で140mmHgですが、著者は血糖値が660、血圧が220まで上がるようになったのです。現在著者は、血糖値を300mg/dl、血圧を170mmHgに薬で下げているという。まだまだ高い数値ですが高齢者医療に取組んできた著者の仮説は、血糖値も血圧も下げすぎると副作用が大きいということです。


血圧を140まで下げると、頭がフラフラしたので著者は170を基準にしています。そもそも血圧を下げると長生きできるというのは、日本で大規模な比較調査をしているわけではなく、信ぴょう性に著者が疑問を持っているのです。また、血糖値や血圧を下げるために、砂糖や醤油を制限した食生活のどこが楽しいのか。そもそも食べたいものを我慢したから長生きできる保証はどこにもないのに、我慢することに意味はない、というのが著者の考え方なのです。


・「奥さんにしょうゆを取り上げられた」「コーヒーに砂糖5杯入れないと我慢できないのに、からだに悪いと止められた」・・善意で言っていることなので、本当に困ったものです(p183)


がんになったら治療は受けない

著者はこれからも自分のやりたいことをとにかく試していくという。そして、これからも働き続けるし、働くことで、心身の健康が維持され、老化を遅らせるというのです。


興味を持ったのは、もし自分ががんになったら、「治療は受けない」としていることでしょう。なぜかといえば、転移するがんはとっくに転移しているし、転移しないがんは転移しないというのが著者のイメージだからです。また、日本の外科医はがんの周囲まで大きく切るので、手術後の生活が劣化してしまう人たちを著者は見てきました。たとえば胃がんだった場合、がんの部分だけでなく、胃のすべてか3分の2くらいを取ってしまいます。患者は食事を多く食べられず、人によっては血糖値が上下して具合が悪くなり、食事が苦しみとなる人生を送ることになるのです。


「延命治療は受けない」「手術は受けない」「抗がん剤は不要」などと医師に伝えて、医師がどう受け答えするか観察するよう提案しています。自分の治療を押しつけるような医師だったら、別の医師を探せばいいというのが著者のアドバイスです。


やりたいことをやってきた著者の話を聞いていて、自分の人生はよく調べて自分で決めていくことで後悔が減るのだと感じました。和田さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・手術の費用とは別にお礼を渡そうとする人がいますが、これは医師からすれば「手術に失敗しても大丈夫な患者だな」と思われてしまうかもしれないので、それよりは自分の病気や薬のことを少し勉強して「失敗したら絶対訴えるぞ」といったオーラを出しておけば、医師からは嫌われるかもしれませんが、そのほうがよほど医師は手を抜かず治療をやってくれます(p57)


・老人ホームの入居者を対象にした調査データ・・たばこを吸っている人と吸っていない人の生存曲線を見てみると、まったく差がありません(p180)


・原付以上運転者の年齢層別免許保持者10万人当たりの交通事故件数・・16~19歳が1039.2件と圧倒的に多く、次いで20~24歳が597.2件、この次に85歳以上が498.4件・・世間の目は高齢者に冷たいのです(p126)


▼引用は、この本からです
「わたしの100歳地図」和田秀樹
和田秀樹、主婦の友社


【私の評価】★★★★☆(85点)


目次

序章 0~60歳までの地図~生まれついての変わり者
第1章 60歳からの地図~第2の人生のスタートはまだまだ先
第2章 70歳からの地図パート1~70代で終わらないために
第3章 70歳からの地図パート2~わたしたち高齢者の手で社会を変える
第4章 80歳の壁を超えてからの地図~死の不安に振り回されないために
第5章 100歳の地図~人生はすごろくゲーム



著者経歴

和田秀樹(わだ ひでき)・・・1960年大阪府生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。アメリカ・カールメニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師、東京大学付属病院精神神経科助手、2004年(平成16年)から国際医療福祉大学教授、2006年(平成18年)から国際医療福祉大学大学院教授などを経て現在、ルネクリニック東京院院長。立命館大学生命科学部特任教授。30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。2022年7月より日本大学常務理事。


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