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雑談の妙「新世代ビジネス、知っておきたい四賢人版マーケティングの心得」成毛真

2020/05/18公開 更新
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「新世代ビジネス、知っておきたい四賢人版マーケティングの心得」成毛真


【私の評価】★★★★☆(81点)


要約と感想レビュー


弱いところを個別に撃破

元マイクロソフト社長の成毛さんが、元自衛隊幹部、精神科医、元パナソニック常務、経産省のOBとマーケッティングについて雑談する一冊。商売というのは難しいようですが、勝つようなやり方をすると勝つわけで、これを戦略というのです。


例えば、戦争に置き換えるなら相手の弱いところを個別に撃破していく。勝ちやすいところから勝つということです。業界は違っても、勝つための戦略は同じなのです。


ある小さなマーケットで最大シェアをまず取る。すると、そのマーケットに関してはもうひっくり返らない規模になる・・・各個撃破を延々と繰り返しながら陣地を広げていった(成毛)(p29)

うまくやる人は間接攻撃する

面白かったのは、仕事や戦争の戦略が恋愛でも活用可能ということでしょう。難しい顧客に直接アプローチして撃沈するのは当然のこと。


難しい相手には、恋愛も同じだという。直接口説くのではなく友人を介する。相手の周辺から攻めていく。いわゆる外堀を埋める。うまくやる人は、間接攻撃するのです。


女の人を口説くとき・・・彼女がいちばん信頼している友達を見つけて、その人に、僕はあの人が好きなんだけど、ちょっと恥ずかしくて言えないやと言って・・「迂直の計」と言うんです・・・商売やるときも同じなんですよ(松村劭)(p27)

業界が違っても共通点あり

対談をそのまま文字起こししたようで、気楽に読める一冊でした。賢い人同士が話すと、業界が違っても共通点を見つけることができ、お互いに学ぶことができるのです。


雑談の大切さを教えてくれる一冊でした。成毛さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・二正面攻撃の原則・・・
 やっつけやすいほうからやっつけろ
 危険なやつからやっつけろ
 身近なやるからやっつけろ(松村劭)(p25)


・マイクロソフトでは必ずプランを二つつくっていました。発表するのは下の線、社内目標は上の線なんですね(成毛)(p50)


・あるお豆腐屋さん・・・どの場所で何時頃、売れたか、全部データが取れる・・・お客さんには規則性があったんです。ならば、その規則性に則って、売る場所と時間を決めればいい・・販売活動はすべて実験(唐津一)(p75)


・賢い将軍は、損害量ではなくて、いまやっている戦術が成り立つのか成り立たないのかというのを見ているんです。これ以上行くと、戦術自体が成り立たないと思ったときには、ぱっとやめてしまう。やめる決断が早いんです(松村)(p53)


・認知的不協和・・・新興宗教に入るときにものすごくお金をつぎ込んだり、難行苦行をした場合、もしその宗教がインチキだったということになると、自分の認知にとってとても都合が悪い。認知的不協和が起こるので、人からいくらインチキだと言われても、頑なに信じ込んでしまう(p133)


・自己愛を満たす消費行動を考えていくと、最近流行りの癒し系産業が思い浮かぶ。アロマテラピー、タラソテラピー、マッサージなどにお金を払うのは、他の誰のためでもなく、自分が癒されたいからだ(成毛)(p145)


・「着物を着るのが本当の日本人なんだよ、この着物は三百万するんだよ」と、女子大生に着物を着せて、そのほうがカッコいいという風潮が世の中に生まれていれば・・・日本中の金持ちが銀座のクラブではなく、京都に行って芸者遊びをしていれば、もっと違ったかもしれない(和田秀樹)(p119)


▼引用は、この本からです。
「新世代ビジネス、知っておきたい四賢人版マーケティングの心得」成毛真
成毛真、文藝春秋


【私の評価】★★★★☆(81点)


目次


0 prologue―いまなぜマーケティングなのか?(成毛真)
1 marketing strategy―なぜ、日本のマーケティングは戦略的でないのか?(松村劭)
2 product marketing―日本のプロダクト・マーケティングはこのままで大丈夫か?(唐津一)
3 marketing psychology―もっとマーケティングに役立つ心理学はないのか?(和田秀樹)
4 political marketing―どうして日本の政治家はマーケティングが下手なのか?(安延申)



著者経歴


成毛 眞(なるけ まこと)・・・1955年北海道生まれ。元日本マイクロソフト代表取締役社長。1986年マイクロソフト株式会社入社。1991年、同社代表取締役社長に就任。2000年に退社後、投資コンサルティング会社「インスパイア」を設立。現在は、書評サイトHONZ代表も務める。


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