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「『闇』の世界権力構造と人類の針路―「力の道」から「命の道」へ 」 中丸 薫

2020/05/17公開 更新
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【私の評価】★★★☆☆(70点)


要約と感想レビュー

 中丸薫さんとは誰なのかというと、満州に生まれ、米国コロンビア大学に学び著名人・指導者にインタビューしてきた人です。肩書は国際政治評論家となっており、貨幣を支配する国際金融財閥の目指す世界統一に警鐘を鳴らしています。


 例えば、1000兆円もの資産を持つと言われるロックフェラー家の宗主のデービッド・ロックフェラーに数回会ったときのことを書いています。「ロックフェラー家の人間は人類に対する責任を持つ。私たちの富、パワー、教育施設、知識は全て人類に貢献しなければならない」とか「世界政府」とか「世界統一」という言葉を発していたという。


・自称国際エリートである国際金融財閥や軍産複合体の目指す「ワンワールド、一つの世界」の実体は、偽りの富としてのペーパーマネーによる支配、及び軍事的威嚇・脅迫を用いた<力の道>による支配である(p47)


 確かにドルの金融支配への挑戦を許さない力、原油・ガスなどエネルギー支配のための力の行使があるのも事実でしょう。通貨発行権を持っている人がインフレ、デフレをコントロールして、世界を支配できるというのも事実なのです。例えば、リビア、北朝鮮、イラクに対する経済封鎖が行われていますが、この三国に共通するのは国際金融財閥の意向に従わない国家政策をとっているということなのです。


 金融の世界では紙幣をいくらでも印刷することができ、利子を支払うために税金を増大させていき、ある時点で経済危機、金融破綻が起きるわけです。それでも金融は利子という使用料を回収し続けられる、カジノの胴元のような有利な立場なのです。著者はアメリカ独立運動が始まった理由は、英国銀行が植民地の貨幣を禁じたことで、北米植民地が不景気に見舞われたことであるとしています。


・貨幣発行権を持っていれば自由自在にインフレを引き起こし、市民の財産を略奪することができる。そのための制度が投機・取引所であり、国際銀行家は16世紀末にヨーロッパ各地で有価証券売買の市場である取引所を設立させ、続々と一般人の財産を巻き上げていった(p156)


 そして世界の紛争の裏では、金融が大きい影響力を持っています。例えば、第一次世界大戦ではそれぞれのロスチャイルド家が英国政府やフランス政府に資金貸与していました。ヒトラーのナチス政権や軍事費を支えたにも、連合国を支えたのも全く同一の国際金融財閥だったのです。著者は偶然に起こる戦争や革命などは存在しないと断言します。戦争にはそれを支える資金が必要なのです。


 必然的に戦争や紛争は国際金融財閥、軍産複合体によってコントロールされているわけです。例えばイラクでいえば、キッシンジャーが「農業援助資金」という名目で、米国からイラクに50億ドルもの送金をしており、800万ドルの「顧問料」をもらっていたという。イラクはこの資金で武器を購入して湾岸戦争の準備が行われたと著者は説明するのです。


 最後に、西欧の価値観では、企業で働く労働者とは奴隷に近い認識であると著者は説明しています。資本家と労働者を分けて考えるのも、奴隷制度のあった西欧諸国ならではの考え方なのでしょう。労働を美徳とする日本とは、相容れない点があるように感じました。

 
 中丸さん、良い本をありがとうございました。


この本で私が共感した名言

・なぜ300年もの間スイスの平和が続いたかといえば、国際金融財閥の金庫の上に座っていたからに他ならない。つまり、スイスに戦争を仕掛けるというのは国際金融財閥に宣戦布告するような行為なのである(p15)


・日米欧三極委員会は多国籍企業にとって動きやすい体制を作りながら、各国の政界、経済界、金融界、知識人、聖職者にも影響を与え、やがては各国を国民ごと支配することを狙っているのだ。その媒体として巧みに利用されるのが輸出入銀行、国際通貨基金(IMF)、信託銀行であるが・・(p28)


・宗教とはイコール組織である、というのが現状である今日、金銭、地位、権力に心を奪われてしまった宗教家が実に多いのは残念なことである。人間の知恵と理性が、長い歴史の過程で宗教の本質を歪めてしまったのだ(p96)


・金融財閥は世界金融の全面崩壊に備えて、各種貴金属、原油、エネルギー源、食糧の独占をすでに図っている(p151)


・ロックフェラー財団の大きな戦略に、世界の農業、食料生産・流通のコントロールがある(p161)


・麻薬貿易の障害となる者は、一国の大統領であろうと、民間人であろうと即刻排除される。麻薬貿易を平然と行う国際金融財閥の力によって暗殺された大統領、著名な政治家の数は枚挙に暇がないが、ここではアリ・ブット、J・F・ケネディ、アルド・モロの名をあげるに留めておく(p178)


▼引用は、この本からです。


【私の評価】★★★☆☆(70点)


目次

第1章 スイスがわかると世界が見える
第2章 ウソと真実を見分ける
第3章 マスコミでは報道されない秘密の世界
第4章 日本はなぜみずからを世界戦争に巻き込むのか
第5章 幻覚から目を覚ませ
第6章 架空の帝国と架空の冷戦



著者経歴

 中丸 薫(なかまる かおる)・・・1937年生まれ。国際政治評論家。コロンビア大学政治学部の東アジア研究所で国際政治学を専攻し卒業。米国財団法人『国際問題研究所』有限会社『国際問題研究会』及び『太陽の会』を主宰。


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