「新宿駅の小さな店ベルクは、なぜいつも満席なのか? 熱狂的に愛されるお店・会社をつくる6つの秘密」中山 マコト
2022/03/21公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(76点)
要約と感想レビュー
タイトルのベルクとは、JR新宿駅にある15坪の小さなセルフサービスの喫茶店です。コーヒー200円、ビール300円とお安く、ビールの飲めるドトールコーヒーのようなお店でしょうか。この安い価格とおいしいコーヒー、ビールで、毎日1500人ものお客さまに愛される秘訣はどこにあるのか、マーケティングコンサルタントである著者の視点で掘り下げていきます。
後半は、ベルクと同じような魅力を持っている次の11のお店を紹介しています。
本のソムリエのいる書店「読書のすすめ」、
音楽家向けマンション「リブラン」、
別府のライブハウス「ヒットパレードクラブ」、
歌舞伎町の上海料理店「上海小吃(シャオツー))、
新宿の大分料理店「とど」、
辛口ラーメンの「蒙古タンメン中本」、
歌舞伎町の「レタスしゃぶしゃぶ吟(ぎん)」、
宮城県塩釜市の「亀喜寿司」、
東京大塚の日本酒しかない「地酒屋こだま」、
化粧品の「再春館製薬所」、
高田馬場のとんかつ屋「とん久」
著者はベルクとこれらのお店に共通する、お客さまに愛される秘訣を、次の6つに整理しています。
・1 毅然としている
2 地元客を大切に
3 全方位対応であること
4 名物がある
5 品質に妥協しない
6 饒舌である(p9)
ベルクは単価の安いお店なのですが、コーヒーもビールだけでなく、ホットドッグ、お好み焼き、ケーキなどのフードメニューも高品質でおいしいのです。お客さまから愛されるのは当然でしょう。
2006年頃にはJR東日本の子会社ルミネから退店勧告を受け、脅しや嫌がらせのような出来事もあったようですが、お客さまが自主的に「ベルクの営業継続を求める請願署名運動」がおこり、2万名もの署名が集まったというのです。その後、駅ビル・ルミネからの刺客としてベルクのすぐ近くにベルクそっくりのお店ができたのですが、ベルクもどきはしばらくすると撤退することになりました。ベルクと間違えて入店して、クレームになるくらい似ていたのですが、形だけ真似ても、ベルクの魂を真似ることはできなかったのです。
・ベルクはなぜ30年間も、この地で営業・・・駅ビルから追い出されそうになったとき、お客さまが立ち上がり、2万人もの撤回嘆願署名が集まった(p33)
この本を読んで、お客さまから愛されているお店は「軸」があることに気づきました。お客さまからどう言われようと、品質は譲れないとか、地元愛は譲れないとか、地道な蔵元愛がすべてなど、強いこだわりがあるのです。もちろんそうしたこだわりを、お客さまに知っていただいて共感したお客さまに買っていただく必要があるのですが、「軸」があるから知ってもらうための努力を惜しまないし、常連客もつきやすいということなのでしょう。
実は「オモウマい店」の原点がベルクにあるのではないかと思いました。こだわりのある高品質のコーヒーやフードがこんなに安価にJR新宿駅で食べられるというのは、ありがたいの一言なのです。中山さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・セブン・イレブンの平均来店客数は1店舗1000人といわれていますから、ベルクの1500がいかにすごい数字か、おわかりいただけるでしょう(p4)
・あなたのお店は、どんな人たちに愛されたいですか?(p38)
・ベルクの新作メニューを開発するとき、業界中の商品をのきなみ試食するといいます(p68)
・魂のこもっていない商品・サービスに、お客さまはだまされない(p90)
・「ヒッパレ」を支えてきたのは地元の別府市民です(p112)
【私の評価】★★★☆☆(76点)
目次
第1章 わずか15坪なのに1日1500人が来店する、愛され続けるお店の秘密
第2章 熱狂的に愛されるお店の6つの秘密
第3章 お客さまに愛されている証拠は「2万人の署名」
第4章 まるでベルク!熱狂的に愛される11のお店・会社に学ぶ
著者経歴
中山マコト(なかやま まこと)・・・マーケティングシンクタンク勤務後、仲間たちとマーケティングコンサルティング会社を設立。2001年に独立し、マーケティング、販売促進、広告制作に携わり、小売業、飲食業、サービス業などの売り上げ強化に手腕を発揮する。また、広告・販促プランナー、コピーライターとして、多くの国内外の有力企業をクライアントとして手がける
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