【書評】「もしかして、適応障害? 会社で『壊れそう』と思ったら」森下 克也
2021/07/09公開 更新

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【私の評価】★★★★☆(83点)
要約と感想レビュー
いじめ、セクハラの問題が多い
深田恭子の適応障害をニュースで知って手にした一冊です。そういえば、雅子皇后も皇室で苦労されています。天皇陛下が「雅子の人格を否定するような動きがあった」と言うくらいですからよほどのことがあったのでしょう。
この本では適応障害を30年間治療してきた著者が、その治療の様子を教えてくれます。最近は残業の多さより、職場の人間関係がうまくいかないとか、いじめ、セクハラの問題が多いそうです。
職場は自分を磨く場所であると同時に、心身のストレスに晒される場所でもあります。時には性格の悪い人から、ターゲットにされ攻撃されることもありえるのです。
・同僚との軋轢・・・あなたを下位の存在としてターゲット化し、貶める行為を次々とぶつけてきます・・・悪口を吹聴する・・あなたを貶めることで自分を優位かつ安全な立場に置こうとします(p123)
いじめ、セクハラからは距離を取る
職場でのパワハラやいじめについて、どう対処すればいいのかといえば、距離を取ることだという。距離を取るというのは、客観的に相手を見て、感情的にならないこと。
その場では、そういうことはやめてください、と相手に冷静に言ったり、そうならないために解決策を話し合うことが大事ですが、それで収まるようであれば問題ありません。
それで収まらなければ、上司や人事に積極的に相談することによって、一対一の問題から部門の問題として共有することが大事だという。場合によっては、相手の言動や態度を記録して、自分の正当性をブレずに主張していくことが大切とのことです。
いじめやパワハラをするような人は、ちょっと怯んだり、弱腰の態度を見せると、それをいいことに反撃してくることが多いので、ブレないことが大事なのです。
・問題同僚に対処する上で最も効果的な方法は、距離を取る・・・上司や人事に積極的に相談する・・・場合によっては、理不尽な言動や態度を記録・・・弱腰でいると、それをいいことにかさにかかって攻めてくる(p127)
離れるだけで解決する
社会人の適応障害について、ほかの精神疾患以上に、薬の使用に慎重にするべきとしているところに好印象を持ちました。薬よりもセルフコントロールが重要ということなのです。薬に頼らすにカウンセリングして、「身体を壊してまで、命を削ってまでやる仕事ですか?」と問いかけて、問題から患者さんが離れるだけで、解決することも多いのです。
もう少し早くこの本を読んでいればよかったと思いました。だれでも一人で困ったり、悩むことがあるでしょう。そうしたときに、悩まないで上司や人事に相談するというのは簡単なように感じますが、それができないから困っている人が多いのです。そうした人にとって、次の一歩、上司や人事への相談を踏み出すきっかけになる本だと思いました。
最近はドライブレコーダーが車に付けられたり、警察がボディレコーダーを付ける時代ですから、職場レコーダーが配備されるかもしれませんね。森下さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・怒りっぽい・・・「ワンマン」・・・自尊心が傷つけられることへの極度の危機感、自己防衛であることがほとんどです・・・愛されなかった、ほめてもらうことが少なかった・・認めてくれなかった親への反発です(p68)
・戦闘モードは長続きしない・・・疲れ果て、やがて戦えなくなってしまいます(p26)
・睡眠時間が6時間を下回って減少すると、抑うつや適応障害の発症リスクが高まります(p38)
・嘘でもいいから感動する、あえて大げさに感動してみる、感動を安売りする・・・適応障害にかかり、心身ともに疲弊してしまうと、物事に感動するという感受性が衰えてしまいます(p207)
【私の評価】★★★★☆(83点)
目次
第1章 「仕事に行けない」にはワケがある
第2章 「もしかして適応障害?」と思ったら
第3章 適応障害にかかりやすい人
第4章 ストレス反応がもたらす症状
第5章 職場というストレスにどう対処するか
第6章 適応障害はセルフコントロールできる―自分の中の打たれ弱さを克服する
第7章 医者とうまくつきあうには
第8章 自宅安静の過ごし方
第9章 復職者としていかに振る舞うか
著者経歴
森下克也(もりした かつや)・・・1962年、高知県生まれ。医学博士、もりしたクリニック院長。久留米大学医学部卒業後、浜松医科大学心療内科にて永田勝太郎先生に師事、漢方と心療内科の研鑽を積む。浜松赤十字病院、法務省矯正局、豊橋光生会病院心療内科部長を経て現職。心療内科医として、日々全国から訪れる、うつや睡眠障害、不定愁訴の患者に対し、きめ細やかな治療で応じている
いじめ関係書籍
「いじめは「犯罪」である。体罰は「暴力」である。」和田秀樹
「もしかして、適応障害? 会社で『壊れそう』と思ったら」森下 克也
「穏やかに生きる術 うつ病を経験した精神科医が教える、人生の悩みを消す練習帳」精神科医Tomy
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