「穏やかに生きる術 うつ病を経験した精神科医が教える、人生の悩みを消す練習帳」精神科医Tomy
2023/11/13公開 更新本のソムリエ [PR]
Tweet
【私の評価】★★★★☆(81点)
要約と感想レビュー
試練にも出口があるはずだ
宝塚歌劇団の劇団員の女性が自殺したという報道を見て手にした一冊です。著者は精神科医として、劇団員の女性のような辛い試練にある人をサポートしてきました。また、自分自身も父やパートナーを同時期に失って、うつ病になったこともあるのです。劇団員の女性のように仕事で試練のときにある人に、著者はどのようなアドバイスをしているのでしょうか。
まず、試練のときは暗いトンネルの中を進んでいるように感じるものです。それでも、一日は同じようにやってきます。周囲を見てみれば、普通の日々が淡々と進んでいくのです。いずれ、出口があるはずだと考えましょう。ただ、劇団員は睡眠時間3時間で先輩にいじめられる日々だったようで、出口は見えにくかったのかもしれません。
・どんなに辛い時期でも、一日は同じように訪れます・・周りはいたって普通の日々です(p137)
試練のときは最悪の事態を想定
劇団員は夢の宝塚に入ることができたのに、先輩からいじめられるという理由だけで、宝塚を辞めるという決断ができなかったのでしょう。どんどん衰弱していく娘に親が「もう行くのはやめなさい」というのに対し、「辞めたら、先輩にどんなことをされるかわからない」と言っていたということです。著者は試練のときは、自分の状況を誰かに知ってもらうことが必要であると言っています。これは劇団員は、両親や歌劇団に助けを訴えていたようです。しかし、何も変わらなかったのです。
著者は試練のときは、最悪の事態を想定し、「会社をやめる」と腹をくくることだと言っています。劇団員の女性も宝塚を辞める決断ができればよかったのですが、先輩から暴力を受けていた可能性もあり、「先輩から何をされるかわからない」という恐怖の中で、宝塚を辞めるという選択肢を奪われていた可能性もあるのです。
劇団員の女性が自殺した今、先輩たちは罪を問われない完全犯罪の殺人者であると言えるのでしょう。多くの同じ組の仲間が辞めている中で、自殺でしか先輩から離れることができなかった彼女の思いを考えると、残念です。
・会社をやめるかもしれない、会社をつぶすかもしれない・・「仕事」は社会のルールの上に作られた幻想(p154)
合わない人には距離を置く
著者は「合わない人には期待せず、距離を置きなさい」とアドバイスしていますが、家庭や家では逃げにくいこともあるでしょう。それでも「逃げる」を含めた多くの選択肢を持つためにもこうした本を読みたいものです。
そもそも周囲の人から浮いている人がいるとして、もちろんその人に原因があるとしても、普通の人は相手の気持ちを考えながら伝えるものです。一人の人を、集団で攻撃し追い込むということは、ある種、変な人間であるとも言えるのです。周囲で一緒にいじめている人も、いじめないと次は自分が変な人からいじめられると思っている可能性もあるのです。そういう人はどこにでもいる可能性があり、獲物を狙っているのです。
・他人の攻撃・・アナタに間違いがあったとしても、果たして攻撃していいのか・・相手がちゃんとした人間であれば攻撃してくることはありません(p82)
日記をつける
人間関係に悩むこともあるでしょう。マイペースな人をうらやましく感じることもあるでしょう。そんなときには、日記をつけてもいいし、人に話すことで突破口が開けることがあるそうです。辛いときには、無理をしないこと、睡眠時間を増やす、仕事の量を減らす環境やカラダをラクにすることで気持ちをラクにできるという。本当に辛いときは、職場の動画や音声を記録してもいいのでしょう。
人間生きていると、いろいろな人と出会い、いろいろなことが起きます。どのようなことがあっても、自分にとって最悪の選択をしないように勉強していきたいものです。Tomyさん、良い本をありがとうございました。
無料メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」(独自配信) 3万人が読んでいる定番書評メルマガ(独自配信)です。「空メール購読」ボタンから空メールを送信してください。「空メール」がうまくいかない人は、「こちら」から登録してください。 |
この本で私が共感した名言
・感情のコントロール・・自分のご機嫌を自分でとる(p19)
・自分の心の中に「今のことに集中集中」と何度も声をかけてください(p26)
・「許せない人のことを考えなくてもいい環境」を作る(p58)
・同調圧力をはねのけようと思うのであれば、アナタが従わなければいい(p102)
・「自分が納得して決断をして生きていく」のが自分軸である(p181)
▼引用は、この本からです
精神科医Tomy、KADOKAWA
【私の評価】★★★★☆(81点)
目次
第1章 感情を味方につければ毎日はもっと楽しい
第2章 自分を大切にする
第3章 人の悩みはほぼ人間関係から
第4章 仕事や職場のモヤモヤを解決する
第5章 家族との関係を見つめ直す
第6章 「試練のとき」をなんとかする
第7章 穏やかに生きる人生の秘訣
著者経歴
精神科医Tomy(せいしんかい とみー)・・・1978年生まれ。某国立大学医学部卒業後、医師免許取得。ゲイである自分に何か答えをくれるかもしれないと精神科医局への入局を決意。精神科病院勤務を経て、現在はクリニックの常勤医として日々数多くの患者さんと向き合うと共に、2019年6月から本格的に投稿を開始したTwitter「ゲイの精神科医Tomyのつ・ぶ・や・き」で現代人の心を癒している。『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)、『失恋、離婚、死別の処方箋 別れに苦しむ、あなたへ。』(CCCメディアハウス)など著書多数。
いじめ関係書籍
「いじめは「犯罪」である。体罰は「暴力」である。」和田秀樹
「もしかして、適応障害? 会社で『壊れそう』と思ったら」森下 克也
「穏やかに生きる術 うつ病を経験した精神科医が教える、人生の悩みを消す練習帳」精神科医Tomy
この記事が参考になったと思った方は、クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓
この記事が気に入ったらいいね!
コメントする