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「動物が教えてくれた人生で大切なこと。」小菅正夫

本のソムリエ 2021/09/28メルマガ登録
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「動物が教えてくれた人生で大切なこと。」小菅正夫


【私の評価】★★★★★(90点)


要約と感想レビュー

 旭山動物園で動物の行動展示を行って、全国から人の集まる動物園に作り変えた小菅元園長のお話です。動物の生態を説明しながら、動物の本能の不思議について紹介する本となっています。


 例えば、カッコウは他の鳥の巣に托卵すると、すぐに南に渡ってしまいます。残された幼鳥は、他の鳥に育てられ、大きくなると自分で南に向かって飛び立つのです。親から教えてもらっていないのに、どうしてカッコウは南に向かって渡っていくのでしょうか。


・巣立ちをしたカッコウは、どうして南へ向かって渡っていくのでしょうか。これはミズナギドリの幼鳥も同じですが、何をきっかけに、何を目印に越冬地へ向かっていくのかが分かりません(p173)


 面白いのは、こうした動物の生態を観察・研究しながら、小菅元園長は坂東元園長など仲間4人で週1回研究会を開催していました。そうした活動の中で、動物園の動物たちが寝て食べるだけという退屈な時間をどうやって減らすか試行錯誤を繰り返した結果が、革命的な行動展示となったのです。


 最初のきっかけは、チンパンジーにエサを与えるときに、簡単にエサを取れないようにしてみました。手の届かないところに蜂蜜やピーナッツを置き、側に木の枝を置いておいて、木の枝を使わないと食べることができないようする。動物園の中で、できるだけ野生で生きているときと同じような行動を取れるような工夫をしていったわけです。


・旭山動物園では、チンパンジーが何もすることがなく極めて退屈な時間を少なくするため、放飼場にいるあいだに、さまざまな給餌器を用意してチンパンジーの活動時間を長くすることを考え試行してきました。実はこれが行動展示の始まりだったのです(p203)


 本書の中で説明しているように数多くの動物の生態、本能の中には現代の科学では説明できないことがあるのだと思いました。そうしたことを著者は旭山動物園でワクワクと観察し、この本の中で私たちに教えてくれるのです。


 著者の小菅さんが動物が大好きなんだな、ということと、その面白さをできるだけ多くの人に知ってほしいという思いが伝わってきました。小菅さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・ベッコウバチの仲間は自分より大きなクモに麻酔をかけて動けなくし、石垣の隙間などに巣を作って運び込み、ウモの腹部に1卵だけ産卵して巣を閉じてしまいます・・・どのようにして記憶しているのでしょうか(p21)


・どうして「自分はタイである」とか「自分はマンボウだ」と思って生殖相手を見つけることができるのでしょう(p23)


・クマは着床遅延によって、出産時期を調整することができるのです(p61)


・動物園の飼育係の勤務時間を夏は8時から18時まで、冬は9時から15時までに変更してくれるよう市役所の人事課に申し入れました・・・「勤務時間の季節変更は、地方自治体法上不可能です」という無味乾燥な回答しか出しませんでした(p117)


・ハシボソミズナギドリは、1年をかけて太平洋を右回りに一周する・・・ヒナは親が渡っていったルートを追うように、アリューシャン列島を目指して飛び続けるのです・・その指令はどこからくるのでしょう(p166)


・私たち人間が、学校や仕事場での成績を気にして、他人よりも少しでも上の地位に昇ろうとする習性は、チンパンジーやニホンザルとも共通していると思われます(p95)


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▼引用は、この本からです
「動物が教えてくれた人生で大切なこと。」小菅正夫
小菅 正夫,河出書房新社


【私の評価】★★★★★(90点)



目次

1章 動物の誕生に学ぶ
2章 動物の親と子に学ぶ
3章 動物の夫婦に学ぶ
4章 動物の性愛に学ぶ
5章 動物の争いに学ぶ
6章 動物の負け方に学ぶ
7章 動物の勝ち方に学ぶ
8章 動物の時間術に学ぶ
9章 動物の季節感に学ぶ
10章 動物の教育に学ぶ
11章 動物の老い方に学ぶ
12章 動物の死に学ぶ


著者紹介

 小菅正夫(こすげ まさお)・・・1948年、北海道生まれ。北海道大学獣医学部卒。獣医師として旭川市旭山動物園に就職し、1995年、園長に就任。「行動展示」や「夜の動物園」などの企画を成功させ、動物園として有料来園者数日本一を達成。一時、閉園の危機にあった旭山動物園を再建した。2009年に定年退職。全国で講演活動を行なっている。北海道大学客員教授、中央環境審議会野生生物委員会委員


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