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「世紀の大博打 仮想通貨に賭けた怪人たち 」ベン・メズリック

2021/05/06公開 更新
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「世紀の大博打 仮想通貨に賭けた怪人たち 」ベン・メズリック


【私の評価】★★★★☆(84点)


要約と感想レビュー

 暗号通貨ドージコインやビットコインなどが高騰しているとニュースで報道されているので手にした一冊です。この本ではウィインクルボス兄弟が、フェイスブック創業者ザッカーバーグから和解金として6500万ドルを勝ち取るところから始まります。


 ザッカーバーグはウィインクルボス兄弟から見れば、二人が考え出した大学生同士をつなぐソーシャルメディアのプログラミングを手伝っていたオタクでしかありません。そのオタクが知らないうちに同じようなソーシャルメディアを作り上げ、大学生だけでなく世界中にメンバーを広め、大金持ちになってしまったのです。


・キャメロン・・・とタイラーとディビヤは、フェイスブックはこの三人のアイデアから生まれたものだと心から信じている。最初はハーバード・コネクション、のちにConnectUと解明したウェブサイトは、大学生がオンラインでつながることを目的としたソーシャルネットワークだった(p18)


 ウィインクルボス兄弟の印象は、頭が良いということです。
 例えばフェイスブックからの和解金6500万ドルのうち4500万ドルは弁護士の助言を無視して、株式の形で受領しています。


 また暗号通貨ビットコインを知ったときにはビットコインの価格変動が大きいことを考慮して、単にビットコインを買うだけでなくビットコイン取引会社に出資する形で投資しています。さらにビットコインを1%保有に向けて1100万ドル以上かけて購入していく中で、ビットコインの秘密鍵を3つのデータ(シャード)に分割し、それぞれを別の銀行の貸し金庫に保管しています。


 その後、出資していたビットコイン取引会社ビットインスタントやマウントゴックスが破綻した後に、セキュリティを高めたビットコイン交換所ジェミニを創業していることも先見の明があります。次から次へと手を打ちながらもセキュリティに関しては徹底して手堅い管理を行っている点が素晴らしい。


・今のところビットコインは動きが激しい。ビットコインを買うのは博打を打つようなもんだ。それに、ギャンブラーになっても身代は築けないのはみんな知ってる。だから・・・賭博場を買うのさ(p75)


 タイトルではウィインクルボス兄弟のビットコインへの投資は大博打と表現されいますが、兄弟は博打とは思っていないでしょう。なぜなら仮にビットコインが政府により廃止されたとしても、全財産の半分も投資していないので影響は小さいし、それも想定内のことだからです。それ以上に、仮にビットコインが既存の銀行を通じた通貨や金(ゴールド)の代替えとして承認されれば、巨大な資産を持つことになる可能性があることに賭けているのでしょう。


 たった10年間の仮想通貨の拡大と仮想通貨が現実化できる時代に生きていることを実感させてくれる一冊でした。日本人は平均としては優秀なのでしょうが、アメリカの冒険心をもった超優秀な人間の考え方に嫉妬しました。メズリックさん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・世界で初めてビットコインで品物が購入されたのは、2010年5月22日だった・・・ヘニヤックスは、パパジョンズのピザ二枚と引き換えに1万ビットコインをジャーコスに支払った(p83)


・ビットコインを大量に所有するのは、麻薬密売人、麻薬の買い手、ネットの掲示板などでそれを知ったアーリーアダプターのギーク・・・ビットコインを流通させるには、そして、ビットインスタントがアップルになるには、大勢のアメリカ人を暗号通貨業界に取り込まなくてはならない。そのためには、広告塔が必要だ(p123)


・元トレーディングカードの交換所で、ユーチューブにネコの動画を投稿して名をあげた変人のフランス人が運営するウェブサイトであるマウントゴックスに、大量のビットコインを預けておくつもりはなかった。マウンドゴックスは、いつ火事になってもおかしくないゴミ箱だ(p137)


・ペイパルはいまだに、従来の銀国システムという銅線上で動いている。それは、人々の決済手段を変えた。が、世界は変えられなかった。ビットコインは本質的に、ペイパルが捨てたものを拾ったのだ(p225)


・ビットコインがそうした将来の敵を撃退するには、急成長することだとタイラーは考えていた。銀行や政府がそうと気づく前に抹殺できないほどのレベルに成長しておけば、強調するしか方法はなくなる(p227)


・税金は本質的に武器で脅す強盗である。軍で兵役に就けば、強制殺人同然のことをするはめになる(p166)


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▼引用は、この本からです
「世紀の大博打 仮想通貨に賭けた怪人たち 」ベン・メズリック
ベン・メズリック、文藝春秋


【私の評価】★★★★☆(84点)



目次

第1幕
1 虎の檻
2 水中で死す
3 傷ついた善人たち
4 最初にあぶくありき
5 地下室
6 希望のない場所で愛をさがす
7 2012年8月30日
8 チャーリー
9 コネティカット州ステップフォード
10 買い手市場
11 逆銀行強盗
第2幕
12 火花
13 マイアミ市街地、ベイフロントパーク
14 旅回り
15 空の上
16 ビットコインの王
17 翌朝
18 大都市
19 楽園のこちら側
20 統一戦線
21 ドアの奥
22 ビットコイン2013
23 主流に加わる
第3幕
24 ある海賊のお話
25 その次の日
26 転落
27 街の反対側
28 ハーバード出身者
29 審判の日
30 旗揚げ
31 デュマからバルザックへ
エピローグ 彼らはい・・?


著者経歴

 ベン・メズリック(Ben Mezrich)・・・1969年、アメリカ、ボストン生まれ。ハーバード大学卒。ノンフィクション作家、小説家。


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