【書評】「小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則」ジェイソン・フリード, デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン
2025/08/19公開 更新

Tweet
【私の評価】★★★★☆(85点)
要約と感想レビュー
経営方針は身軽でいること
著者の会社は3人からスタートして、自分たち用にプロジェクト管理ソフト「ベースキャンプ」を作ったら大ヒット。現在は、社名を「ベースキャンプ」に変えて社員20名以下、ほとんどの社員はリモートワークで直接会うことはあまりないという。
著者の経営方針は、「身軽でいること」です。外部資金を調達することもなければ、社員をたくさん雇うこともしません。現在のサービスから入ってくるキャッシュ利益を使って、サービスを使いやすいものにバージョンアップしていくだけなのです。
そもそもネットビジネスは、何か設備に投資する必要もなく、人もリモートワークできるのです。小さい組織で、儲かる範囲で、成長していこうという考えと理解しました。
身軽でいること・・・ミスをおかしても、すぐに直せる・・自分の考えを変えることができるのだ(p66)
まずは作り始めよう
小さい組織であるということは、動きが早いということです。計画策定、打ち合わせより「まずは作り始めよう」というのが著者の流儀です。
だから財務の見通しとか五か年計画などありません。年度計画ではなく、今週することを計画するのです。次にやるべき最重要課題をリストアップして、優先順位をつけて取り組みます。
もちろん小さい組織ですので、やれることは限られます。やりたいことを半分にして、一つひとつをしっかり作り込むことを重視しているという。
まずは作り始めよう・・一番重要なのは、始めることだ・・「時間がない」は言い訳にならない(p41)
生産性向上はひとりモードで
小さい会社ですので、それぞれのメンバーが最大のアウトプットができるように配慮しています。作業中に邪魔が入る環境ではメンバーの生産性は上がりません。メンバーがひとりモードに入れる環境が必要です。
そのため、打ち合わせはメンバーの時間を制約するので、できるかぎりやらないようにしています。打ち合わせをやるにしても、「このミーティングには、彼らの仕事から一時間引き離す価値があるだろうか?」と常に考えているという。
そして、人はギリギリまで雇いません。まず、自分でやってみて限界が来たら人を雇います。自分でやったから、仕事の内容もわかるし、どんな人が必要なのかもわかるというのです。
最初の三年は、メンバーの一人が顧客の対応をすべて一人でやっていた。その後ようやく専任の担当者を雇った・・・まずはやってみること・・得た知恵は何倍もの価値となって戻ってくる(p200)
顧客や記者との交流
小さな組織ではありますが、顧客の声が正しくメンバーに伝わらなければ、製品開発の方向性を間違ってしまいます。だから、年、2,3回メンバーが顧客とかかわりを持つようにしているという。
また、ネット会社らしくプレスリリースよりも、個別に記者にアプローチして自社の特長や情熱を伝えるようにしているという。商品の品質と口コミで、「ベースキャンプ」は数百万人を超える顧客に使われているのです。
ネット時代には小さな組織でも持続的に利益を出せるビジネスが増えていくのでしょう。フリードさん、ハンソンさん、良い本をありがとうございました。
無料メルマガ「1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』」(独自配信) 3万人が読んでいる定番書評メルマガ(独自配信)です。「空メール購読」ボタンから空メールを送信してください。「空メール」がうまくいかない人は、「こちら」から登録してください。 |
この本で私が共感した名言
・サービスのビジネスは、大きな運営資金を必要としない・・外部の資金はできるだけ少なくしよう・・資金を調達すれば、あなたのビジネスでははくなるだろう(p53)
・ビジネスの全面に密に関わるべきだ。でなければ、他人の手に自分の運命を預けることになる。それは危険なことだ(p200)
・仕事のはずみを保ちモチベーションを上げるには目標に向かって小さな勝利を達成し続ける習慣をつけることだ。たとえ小さな改善でも、いいはずみを与えてくれる(p119)
・世界にささやかに貢献している・・自分の努力に価値があると感じる必要があるということだ。顧客に「私の人生をよくしてくれた」と言ってもらいたいはずだ(p34)
▼引用は、この本からです
Amazon.co.jpで詳細を見る
ジェイソン・フリード, デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン(著)、早川書房
【私の評価】★★★★☆(85点)
目次
まず最初に
見直す
先に進む
進展
生産性
競合相手
進化
プロモーション
人を雇う
ダメージ・コントロール
文化
最後に
37シグナルズについて
著者経歴
ジェイソン・フリード (Jason Fried)・・・世界が注目するソフトウェア開発会社「ベースキャンプ」(2014年に「37シグナルズ」から社名変更)の創業者兼CEO。同社はオープンソースのウェブ開発フレームワーク「Ruby on Rails」の開発元として有名で、プロジェクト管理ツール「ベースキャンプ」は数百万の企業で採用されている。先鋭的な経営方針でも知られる
デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン(David Heinemeier Hansson)・・・「Ruby on Rails」の開発者で、ベースキャンプ共同経営者。「Ruby on Rails」は世界数十万のプログラマに愛用され、多数の有名サイトの開発にも使われている。また講演者としても活躍中
小さなチーム関連書籍
「小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則」
「小さくはじめよう 自分らしい事業を手づくりできる「マイクロ起業」メソッド」斉藤 徹
「実験思考 世の中、すべては実験」光本 勇介
この記事が参考になったと思った方は、クリックをお願いいたします。
↓ ↓ ↓
この記事が気に入ったらいいね!
コメントする