【書評】「実験思考 世の中、すべては実験」光本 勇介
2025/05/23公開 更新

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【私の評価】★★★★★(92点)
要約と感想レビュー
高校生のとき転売ヤーで荒稼ぎ
ネットショップ作成サービス「STORES,jp」、前払い買取アプリ「CASH」、後払い旅行アプリ「TRAVEL Now」を立ち上げた著者の思考を教えてもらいましょう。
著者は高校生のとき、当時流行っていた裏原宿系ブランドのTシャツを開店前に並んで購入。ネットで5倍の価格で転売して小遣い稼ぎをしていました。転売ヤーですね。
大学生になると、ネットの翻訳者が集まる掲示板に「翻訳の仕事あります」と投稿して、翻訳者をリスト化。それから、立派な翻訳会社のようなホームページを作って、企業から500万円くらいの大規模な翻訳の仕事を請け負って、20人に15万円づつ支払って翻訳していたという。今でいう「クラウドソーシング」をやっていたのです
また、海外留学経験者を集め、「この人たちに相談できて、留学もオーダーできる」」というサイトを作って、20%の利益を載せて留学の手配を請け負っていたという。
このように大学生でありながら、ゲーム感覚でビジネスを立ち上げ、「おもしろい!」と楽しみながら稼いでいたのです。
いまでいう「翻訳のクラウドソーシング」のようなことをやりました。日本中の翻訳者をインターネットでリスト化したのです(p31)
簡単にネットショップを作れるサービス
広告代理店で修行した後、独立すると、「カーシェアリングサービス」「自分だけのシューズが作れるサービス」「自分だけのワンピースが作れるサービス」「ネットショップ作成サービス」などを立ち上げています。たった5人の会社で、5つの事業を回していたというのです。著者にとっては、ビジネスのネタはいくらでもあるので、「実験」として立ち上げたのです。
その結果、5つ目の事業であるすぐにネットショップが作れる「ストアーズ・ドット・ジェーピー(STORES,jp)」がヒットし、これに集中することにしています。
なぜ、これだけ起業できるのかといえば、著者は常に世の中の不便なことを抜き出し、「これ、こうなったらもっと便利なのに」「ぼくだったらこうするな」と「起業のネタ帳」に書いているという。著者は、新しいビジネスの仕組みを考えるのが好きなのです。
そして「実験」と称して実際に商売をはじめてしまうのが、著者のすごいところです。
なんで病院の診療日は、みんな揃いも揃って月曜から金曜までなのだろう?・・ぼくがもし病院をやるなら、深夜と土日に開いている病院を考えます(p103)
日本初カーシェアリングを立ち上げる
著者は起業のネタには困りませんが、悩んでいるのは、タイミングが早く事業が大きくならないことです。現在は当たり前の「カーシェアリング」は著者が15年前に日本で最初にやっていたのです。ただ、早すぎたのです。
よく言われるように「時代の半歩先」くらいのサービスでないと、大衆が追いついてこないのです。そこで、著者は大衆の感覚を知るために、流行っているものや、メジャーなサービスや新しいモノを知るようにしているという。
流行るものにはかならず理由があり、それが大衆の感覚だからです。
事業は「市場選択」と「タイミング」が大切だということを過去の経験から学びました(p66)
衣食住は無料になる
この本にも新しいアイデアが入っています。この本は、原価の390円が定価で、本の最後にあるQRコードから読者が本の値段を決めてお金を支払うという仕組みになっているのです。私が1万円を支払おうと思ってQRコードを読んでみたら、すでに1億円が集まって、集金が終了していました。すごいですね。
著者は今後AIが発展していけば農作業も、服作りも、人件費0円に近づき、「衣食住は無料」という世界も可能になると予想しています。そして、誰も働かなくなれば、みんな暇になって、その暇をつぶすためのスポーツや演劇やカラオケやゲームのようなサービスが流行るというのです。
アイデアの幅広さに驚愕しました。★5とします。光本(みつもと)さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・アメリカには、24時間ノルウェーの川のなかをライブ配信するというサービスがあります。月額5ドルほどで数百万人ほどのユーザーがいます・・ノルウェーの川のなかのサーモンが見られる(p131)
・「月末締め」で「翌月末」に店舗の売上を振り込んでいました・・管理画面上に「スピードキャッシュ」というボタンを設置・・そのボタンを押すと、翌日に売上が振り込まれる・・その代わり3.5%の「早期払い手数料」をもらいます(p69)
・駅の自動改札機も人を疑うための機械・・仮に100%信用してみたらどうなるでしょうか?・・改札機を取っ払うのです・・改札機がないほうが儲かるかもしれません(p87)
・お客さんがお金を払わずにツケで食べることができるサービスで、食事代を通常の20%高くなるように設定します(p168)
・「無料のお弁当」にしたら10倍の20万個はすぐに配れる。毎月20万人に物理的にリーチできるのは、それだけで非常に価値がある(p174)
▼引用は、この本からです
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光本 勇介(著)、幻冬舎
【私の評価】★★★★★(92点)
目次
はじめに すべてのビジネスは「実験」だ
CHAPTER1 ぼくはこんな「実験」をしてきた
CHAPTER2 ぼくの「実験思考」のすべて
CHAPTER3 こんな「実験」がやりたい
おわりに まだまだお金が足りない
著者経歴
光本 勇介(みつもと ゆうすけ)・・・10歳から18歳までデンマークとイギリスで過ごす。2004年青山学院大学卒業後、オグルヴィ・アンド・メイザージャパン入社。2008年ブラケット(現ストアーズ・ドット・ジェーピー)を設立し、代表取締役兼CEO就任。2013年ブラケットをスタートトゥデイ(現 ZOZO)に売却。2016年MBOを実施し、ブラケット取締役会長に就任。2017年株式会社バンクを設立し、代表取締役兼CEO就任。2017年「CASH」をリリース、その後DMM.comへ全株式を売却。2018年MBOを実施。2019年9月、株式会社バンクを解散。2019年10月、後払い専用旅行代理店アプリ「TRAVEL Now」を株式会社エアトリへ事業売却。2020年4月、「CASH」をBuySell Technologiesへ事業売却。2020年10月には有料写真SNS「FOLLOW ME」をUUUM株式会社へ事業売却。
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