【書評】「中小企業診断士になって「年収1億」稼ぐ方法」長尾 一洋
2025/04/29公開 更新

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【私の評価】★★★★★(95点)
要約と感想レビュー
コンサルは時間の切り売り
著者は中小企業診断士として億単位の売上を上げているという。その秘密は何なのでしょうか。
まず、経営コンサルタント業界の現況を確認しましょう。中小企業向けのコンサル会社は、一人のコンサルタントが15社程度担当し、月に1回の訪問で30~50万円程度の費用を請求するという。
コンサル会社と同じ業態ですが、中小企業診断士は月1回の訪問で、月額顧問料は10万円程度です。それなのに、「月に一度しかこないのに税理士さんより顧問料が高いですね」などと嫌味を言われることもあるという。
そして、月額顧問料契約の場合、訪問日が月初に集中するため顧問契約は10社程度が限界で、仮に月額20万円だとしても月に200万円、年間2400万円にしかならないのです。コンサルにしろ中小企業診断士にしろ時間の切り売りでしかなく、時間と単価が制約になるのです。
仮に一日20万円の研修を20日間実施できたとすると、月の売上は400万円、年間では4800万円にしかならない(p68)
ノウハウをパッケージ化する
もちろん、年収1000万円もあれば十分ではないか!という人も多いと思います。しかし、著者は、ただ「食えればいい」と言っている人間に企業は指導できないと経営コンサルタントに厳しいのです。
したがって、時間の切り売りという制約をなくすためには、ノウハウをパッケージ化した商品を作る必要があるという。例えば、著者の場合、最初に作った商品は人材採用のパンフレットで、安く汎用性があるものを売りまくったという。
著者のお勧めは、パッケージ商品の素案ができたらセミナーを開催することです。セミナーでのお客様の反応を見ながら、商品を改良していくのです。
また、本を出版することもブランド化に役立ちます。著者の場合、日報を活用して社員を育てるという書籍を出版することで仕事が拡大していったという。
自分自身のノウハウをパッケージ化(客体化)した「売り物」が必要です(p94)
商品を拡充し人材を採用する
商売が拡大していくと、自分ひとりだけでは業務を処理しきれず限界がきます。そこで、人材を採用しながら、事業を拡大していくことになります。
商品を拡充して、人材を採用し、新規開拓の営業活動を継続していくのです。そうする中で、より高いレベルのテーマの商品やより優良なクライアントが増えていくという。
コンサル事業が拡大すれば、事例が蓄積され、さらに知見が増えていくという良い循環が起きるというのです。
経営コンサルタントの本当の要件、真の優位性とは何か。それは、圧倒的な事例の蓄積にあります・・この豊富な事例の引き出しを増やし続けるために、何より重要なのが新規開拓営業です(p100)
コンサルとシステムを融合させる
著者の会社では、コンサルティングとアプリ・システムとを融合させ、コンサルタントが300社から500社を担当しているという。つまり、効率的な業務をコンサルするだけでなく、そのノウハウを織り込んだ自社アプリやシステムを提案することで、お客様はアプリやシステムを使うだけで、効率的な仕事ができるという仕掛けなのです。
さらに、コンサルティングも動画やオンラインに置き換えることで効率化を進めているというのです。社員であるコンサルタントとしては仕事が面白くないかもしれませんが、会社としてはかなり儲かりそうです。
コンサルするのではなく、仕組みとしてシステムを売ると理解しました。長尾さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・自社の事業領域を明確に定め、他社との差別化を図ることが成功への鍵となる・・独自の事業領域を確立せよ(p48)
・デジタルツールの開発は、外注するものではなく、多少時間がかかっても、自社内で開発する・・・変化する市場に素早く対応する(p169)
・安っぽい提案をしてはいけません。安い仕事は、安いクライアントを引き寄せることになるからです(p107)
・これまでリアルで行っていた研修やコンサルティングの内容を次々と動画コンテンツ化しています(p201)
▼引用は、この本からです
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長尾 一洋(著)、KADOKAWA
【私の評価】★★★★★(95点)
目次
序章 中小企業診断士は経営コンサルティング唯一の国家資格!?
第1章 中小企業診断士業というものは存在しない
第2章 中小企業診断士として億を稼ぐと決意する
第3章 営業を制する者が中小企業診断士を制す
第4章 中小企業診断士として成功するためのポイント
第5章 前向きなテーマで顧客開拓し、理想のクライアントを見つける
第6章 デジタルで標準化を実現し、人的リソースを最大化
第7章 デジタルと人間が交わる瞬間、ビジネスが一気に加速する
第8章 中小企業診断士こそが、日本を元気にする
終章 新しい経営と組織づくりで、「年収1億」のその先へ
著者経歴
長尾 一洋(ながお かずひろ)・・・株式会社NIコンサルティング代表取締役。中小企業診断士。自社開発のITツール「可視化経営システム」は、1万5千社を超える企業に導入され、営業力強化や業務改革をローコストで実現している。また、兵法『孫子』の知恵を現代企業の経営に活かす孫子兵法家としても活動。
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