【書評】「小さくはじめよう 自分らしい事業を手づくりできる「マイクロ起業」メソッド」斉藤 徹
2025/08/06公開 更新

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【私の評価】★★★★★(91点)
要約と感想レビュー
新規事業フレームワーク
社会人向けオンラインスクール「hintゼミ」を運営している斉藤さんが、スクール立ち上げで使った新規事業フレームワークを教えてくれる一冊です。
まずは、自分の強みを活かした売れる商品・サービスのアイデアを考えます。自分には何も特技はない!という人でも、会社員としての技能と人脈があるはずですし、生活者としての興味と人脈もあるはずなのです。
また、仕事に限らず、長い時間をかけてやってきたことは経験に裏打ちされた資産になっている可能性があります。そうした自分の資産を掘り起こすのです。著者はアイデアの発想ツールとして、マンダラートを提案しています。また、自分と対話の補助として、「ChatGPTとの対話」も推奨しています。
こうしてアイデアを出したり、アイデアを絞ったりしながら、自分がワクワクする商品・サービスに絞り込んでいくのです。
熟練者・・集中して、1万時間ほど続けていると・・「達人」と呼ばれる域に達する・・1つのことを地道に続けることで、それまで見えなかった世界が見えてくる(p59)
顧客へインタビューしてみよう
あなたの考える商品・サービスのアイデアは、本当にお客さんの課題を解決するでしょうか?顧客課題フィット(CPF)と言われますが、あなたの考える顧客の課題が本当に存在するのか、顧客へインタビューしてみましょう。
例えば、「何が一番大変ですか?なぜ大変なんでしょう?」などと顧客に質問してみます。「その課題を解決しようと、やってみたことはありますか?」と聞いてみてもよいでしょう。
顧客に質問しているうちに、本当は何に困っているのか?最初に買ってくれそうな人はだれか?また、ライバルになるであろう既存の商品・サービスの存在もわかってくるのです。
なお、インタビュー人数はスピードと精度を考慮して、5人くらいが望ましいと著者はアドバイスしています。
CPF(顧客課題フィット)・・・課題を理解する・・・PSF(課題解決フィット)・・解決策を決定する・・MVP(MVP開発)・・・定性的に検証する・・定量的に検証する(p31)
プロトタイプを作る
次の段階は、プロトタイプ(MVP:最小機能製品)を作って、顧客にインタビューをします。顧客課題フィット(CPF)で考えた、最初に買ってくれそうな人にインタビューすると効果的だという。
プロトタイプを体験してもらい、もっとこうしてほしい点、最低限必要な機能、いくらなら支払いたいかなどを確認するのです。そしてインタビューの結果に合わせて、プロトタイプを改良していけば、売れる商品・サービスが完成するわけです。
PSF(課題解決フィット)インタビューの対象者・・・特にアーリーアダプターの特性を持つ人を中心にすること(p165)
はじめの100人をつくる
最後の段階は、はじめの100人をつくることです。著者の推奨は、自分を信用してくれる人、一緒に育ててくれる人、途中のステップでインタビューした人などに声をかけることです。
また、LinkedInが初期ユーザーを、知り合いでビジネスで成功している人に限定したように、有力者に限定するのも選択肢となります。
標準的な内容でしたが、「hintゼミ」での事例や、ChatGPTの使い方など、わかりやすく、かつ具体的な内容でした。★5とします。斉藤さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・自分も関わる人も「幸せ」な事業をつくる(p12)
・IKEAの想定顧客が持つ典型的なジョブは「明日までに新居の家具を揃える必要がある。明後日からは仕事だから」というものだ(p134)
・PMF(製品市場フィット)・・・「もし、この製品サービスが使えなくなったとしたら、あなたはどう感じますか?」と顧客に質問(p201)
▼引用は、この本からです
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斉藤 徹 (著)、ディスカヴァー・トゥエンティワン
【私の評価】★★★★★(91点)
目次
Chapter0(マイクロ起業メソッドの全体像) 幸せ視点で事業をつくる
Chapter1(0 to 1)アイデアを生み出す
Chapter2(CPF)顧客に共感し課題を発見する
Chapter3(PSF)課題に対する解決策を考える
Chapter4(PMF)市場が受け入れる製品に育てる
著者経歴
斉藤徹(さいとう とおる)・・・起業家、経営者、研究者、教育者。ビジネス・ブレークスルー大学教授。株式会社 hint代表。株式会社ループス・コミュニケーションズ代表。1985年に日本 IBM入社。 1991年にフレックスファームを創業し、ベンチャーの世界に飛び込む。その株式を上場企業に売却し、2005年にループス・コミュニケーションズを創業。 2020年からはビジネス・ブレークスルー大学経営学部教授として教鞭を執る。2018年に開講した社会人向けオンラインスクール「hintゼミ」受講者は1500名を超える。年間講演も100社を超える。
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