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【書評】「だから僕たちは、組織を変えていける --やる気に満ちた「やさしいチーム」のつくりかた」斉藤 徹

2025/08/01公開 更新
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「だから僕たちは、組織を変えていける --やる気に満ちた「やさしいチーム」のつくりかた」斉藤 徹


【私の評価】★★★☆☆(78点)


要約と感想レビュー


hintアカデミーの教科書

著者は、幸せ視点のチームづくりの技術を学ぶ「hintアカデミー」を運営しています。この本は「hintアカデミー」で教科書として使われており、一般的な良い組織を作るための理論がまとめられています。


この本が目指す良い組織とは、信頼関係があり、各自の自主性を尊重し、役割が明確で,失敗から学ぶ組織です。反対に悪い組織とは、人の心を軽視した数字重視で、現場は数字づくりに奔走し、顧客より社内が優先され、社内手続きで意思決定が遅く、全社利益より部門利益が優先される組織です。


なお、日本的経営については、近江商人の三方よし経営や、家族的組織経営を紹介しつつ、過労死という陰もあるとしています。


サーバント・リーダーシップ・・信頼を築き,部下の自主性を尊重する・・役割を明確にし,失敗から学ぶ環境をつくる(p55)

生産性の高いチームの特徴

生産性の高いチームの作り方については、グーグルの実験が最もわかりやすいものでしょう。グーグルは4年間にわたって180チームを調査対象として、どのような人間関係がチームの生産性を高めるのか分析したのです。


その結果は、当たり前のようですが、「心理的安全性がチームの生産性を高める」という結論でした。メンバーからの評価や人間関係のリスクを感じないチームの生産性が高かったのです。


反対に、心理的安全性が低くなるのは、リーダーが成果達成の圧力をかけられている組織です。圧力が高ければ高いほど,リーダーが管理的になり、メンバーのやる気を低下させるという。成果を求められるほど,成果を落としてしまうというのが「責任感の罠」なのです。


同じように、優秀な成績をあげて,挫折を知らずに抜擢された上司は,部下に厳しい言動をする場合が多く,無意識に場の安全性を壊しているケースが多いという。


5つのチーム成功因子・・1心理的安全性⇒2相互信頼⇒3構造と明確さ(具体的で取り組みがいがあり,かつ達成可能な内容であること)・・・(p92)

心理的安全性を高める上司の特徴

心理的安全性を高める上司の特徴は、「傾聴」と「支援」です。例えば、資料作成が遅れている部下がいたら、「どこまで進んでいる?」「困ったことあったら言ってね」と声をかけるのです。


また、組織内に安心感を破壊するような暴言を放つ人がいた場合には、上司は簡単な質問をして,相手の答えを熱心に聞くのです。そうした対応によって、メンバーは何を言っても聞いてもらえるという安心感を持つようになるというわけです。


「傾聴」こそが,両者の心に橋をわたす姿勢であり・・・人間は「自分のことを理解してもらいたい」と熱望する生き物だ(p227)

「hintアカデミー」で学ぶべき

教科書ということで、いろいろな本の内容を集積した内容でした。著者の体験などは含まれておらず、消化不良になりました。「hintアカデミー」の内容は素晴らしいようなので、この本で基本を学びつつ、参加者と講師の間で意見交換することで、経験などをシェアするのでしょう。


日本の空気を読む組織の中で悩める人への情報として、よくまとまっていると思います。基礎的内容ということで、★3としました。斉藤さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・最も成功するのは「主体性を持つギバー」(原著では「他者志向型のギバー」)であり,最も成功から縁遠いのは「自己犠牲のギバー」である(p186)


・オックスフォード大学では,教授たちが集まって,午後の紅茶を楽しみながら雑談する習慣がある・・ゆったりとした気持ちの中で雑談することが,クリエイティブな発想につながることを,経験的に理解しているからだ(p95)


・共感をつなぎ,影響の輪を広げよう・・ガンジーは・・農民一人ひとりと対話し続けた・・・「ティッピングポイント」があるからだ。アイデアや社会的行動が,ある閾値をこえると,野火のように広がってゆく(p270)


・日本人は世界で一番不安を感じやすい遺伝子を持った民族なのだ(p274)


▼引用は、この本からです
「だから僕たちは、組織を変えていける --やる気に満ちた「やさしいチーム」のつくりかた」斉藤 徹
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斉藤 徹 (著)、クロスメディア・パブリッシング(インプレス)


【私の評価】★★★☆☆(78点)


目次


第1章 時代は変わった。組織はどうか? 〜僕たちの違和感は、どこから来るのだろう
第2章 これからの組織は、「統制」から「自走」へ 〜僕たちが目指す、理想の組織とリーダー
第3章 強がりの仮面を外そう 〜安全な対話で、関係の質を変える
第4章 チームを動かす、北極星を見つけよう 〜意味の共有で、思考の質を変える
第5章 アメとムチを捨て、好奇心を解き放とう 〜内発的な動機づけで、行動の質を変える
第6章 たった一人から、影響の輪は広がる 〜だから僕たちは、組織を変えていける


著者経歴


斉藤 徹(さいとう とおる)・・・起業家、経営者、研究者、執筆者。株式会社hint代表。株式会社ループス・コミュニケーションズ代表。ビジネス・ブレークスルー大学経営学部教授。1985年、日本IBM入社。1991年に独立しフレックスファームを創業。2005年にループス・コミュニケーションズを創業。2020年からはビジネス・ブレークスルー大学経営学部教授として教鞭をふるう。2018年に開講した社会人向けオンラインスクール「hintゼミ」開講。


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