「ドイツ人のすごい働き方―日本の3倍休んで成果は1.5倍の秘密」西村栄基
2024/12/23公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(78点)
要約と感想レビュー
ドイツの職場の特徴
日本商社のドイツ駐在員として、ドイツ在住歴17年の著者が教える「ドイツ流仕事術」です。ドイツ人の働き方の特徴は、17時には退社するということです。その分、早朝出社する人が多いのです。早い人は7時前から出勤し、午後3時頃には帰宅するという。
さらに、残業は基本的にゼロ。夏休みは3週間から1か月のバカンスを取るというのですから、うらやましい限りです。
朝早く働き始め、夕方には颯爽と仕事を終える(p4)
残業ゼロの理由
これだけ休みが多く、残業がないのに、なぜ仕事が回るのでしょうか。
その秘密は、1月に年間の休暇計画を立て、職場でバックアップできる体制を調整することにあります。全員がバカンスを計画しているので、だれでも仕事をカバーできるように仕事はマニュアル化され、書類は決まったところに整理・整頓され保存されているのです。
さらには、日常の仕事でも問題が起きると、上司に相談しバックアップしてもらえるという。そして終業時間が来ると、問題は上司に任せて帰宅してしまう人もいるというくらいの割り切りなのです。
ドイツでは、仕事に行き詰まったり、大きな問題が発生したりした場合、気軽に上司に相談するのが普通です。勤務時間内に解決できないときは、上司に丸投げして帰宅することも!(p150)
ドイツ流仕事術の良い点
この本で紹介しているドイツ人の仕事の流儀を、良い点と悪い点に分けていきましょう。
良い点としては、整理整頓が基本となっている。議事録はあらかじめテンプレートを使って速報版を作成し、会議後に合意。常に活発な議論が行われる。重要でないものは8割の完成度で終わらせる。「カフェ」エリアがあって、立ち話でワイガヤができる。病欠は有給休暇に含まれないなどでしょうか。
悪い点は、役割が決まているので、「それは私の仕事ではありません」が普通で、管理職がその仕事をどのメンバーに渡すか調整しなくてはならない。あまり悪い点は書いてありませんが、管理職が給与相当の実力と人間力を持っていないと勤まらないということなのでしょう。
同僚や顧客・取引先から真っ先に聞かれるのは、「あなたは、何の専門家ですか?(何ができる人ですか?)」(p71)
ドイツ流と日本流仕事術
私も20年前に、スイスの国際企業に6か月研修として在籍したことがありますが、著者の言う通りの仕事の仕方であったと思います。いかに長時間頑張ったではなく、どれだけ成果を出したのかが評価される雰囲気だったのです。
おかげさまで私も30代から残業はほとんどやらずに、早朝時間を活用してきました。日本流もドイツ流も良い点、悪い点がありますので、良いところを真似ていくとよいのだと思います。
なお、ドイツ流を日本でやってみても評価されるかどうかは職場によって違うことでしょう。自己責任でお願いいたします。西村さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・トラブルを「個人のミスの尻拭いする時間」」ではなく、「システムやプロセスの改善の機会」と捉える文化がある(p169)
・議論のプロセスにおいて、ホワイトボードを活用することが一般的です(p105)
・ランチ後の散歩が、午後の仕事の効率を上げてくれる(p30)
・駅に改札がない・・・抜き打ちで係員がチェックに入る(p48)
【私の評価】★★★☆☆(78点)
目次
序章 ドイツ企業の1日
第1章 抜群の生産性を生む ドイツ社会の仕組み
第2章 ラクしてるのに成果が出る「ドイツ式働き方」
第3章 メンバーの能力を引き出す「ドイツ式マネジメント」
第4章 ドイツ式×日本 ハイブリッドワークスタイルのススメ
著者紹介
西村栄基(にしむら しげき)・・・自動車向け半導体部品を取り扱う商社のドイツ支社に勤務。国立大学理系修士課程修了。大前研一氏が学長を務めるBBT(ビジネス・ブレークスルー)大学大学院でMBA(経営学修士)取得。2つの会社での海外駐在で計17年間ドイツに在住、欧州向けビジネスに30年間にわたって携わっている。最初の勤務先では30代前半で5年間のドイツ駐在生活を経験。そこで衝撃を受けたドイツ流の働き方を帰国後の職場で実践、自走型人材を育成することに成功した
ドイツ人の働き方関連書籍
「GDPで日本を超えた!のんびり稼ぐドイツ人の幸せな働き方」熊谷徹
「ドイツ人のすごい働き方―日本の3倍休んで成果は1.5倍の秘密」西村栄基
「ドイツ人はなぜ「自己肯定感」が高いのか」キューリング恵美子
「住んでみたドイツ8勝2敗で日本の勝ち」川口 マーン 惠美
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