「OODA式リーダーシップ 世界が認めた最強ドクトリン」アーロン・ズー
2025/01/06公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(75点)
要約と感想レビュー
日本はPDCA・アメリカはOODA
著者はアメリカの大学卒業後、IT企業のコンサルなど行い、電通に入社しています。著者の日本企業の印象は、年功序列でマネジャーはいるが、リーダー不在。そして決定が遅いというものです。
つまり、手続きが厳格に決まっており、大人数での会議が多く、文章がなければ仕事は進まず、決定に時間がかかるというわけです。日本の仕事が継続的改善が特徴のPDCAループだとすれば、著者がアメリカで学んだリーダーシップはOODAループだという。
OODAループはその瞬間、どう動くのが最善か意思決定を優先するものです。アメリカ軍やIT企業の風土に、合ったものなのでしょう。
OODAループ・・・元アメリカ空軍大佐・・ジョン・ボイド氏が提唱した意思決定プロセス・・「観察(Observe)」「判断(Orient)」「決定(Decide)」、さらに「実行(Act)」(p9)
リーダーの役割
リーダーの重要な役割は「変化に対応する」ことです。変化を観察し、判断し、決定し、実行を指示するわけです。
特にアメリカや中国では個人の自己主張が強いので、チームを束ねるためにリーダーは「意義」という接着剤でチームをまとめるという。つまり、その仕事が目指すビジョンと、その仕事をする理由(バリュー)を明確に示すのです。
リーダーは意義を共有し、メンバーの強みを見つけ、フィードバックしながら、メンバーをまとめるのです。
ポジティブなフィードバックはなるべく早く、ネガティブなフィードバックは真剣にする(p53)
良いリーダーの特徴
分析が得意なリーダー、メンバーを動かすのが得意なリーダー、人間関係を築くのが得意なリーダーなど、多種多様なリーダーがいるという。部下を支援する謙虚なリーダー、変革が得意なリーダー、異文化に対応できるリーダー、敬意を持ちながら言うべきことを言うリーダーなど持ち味が違うのです。
しかし、頼りにならないリーダーは似ています。皆で決めた形にして、結果に責任を取らないリーダー。トラブルが起きた時に、逃げ出すリーダーなどです。良いリーダーはこうした頼りにならないリーダーの逆を行き、メンバーの強みを発揮させる人なのでしょう。
弱くて頼りにならないリーダー・・「みんなで決めよう」・・トラブルが起きたときに・・逃げ出す・・失敗したときは・・責任を取らない(p32)
経営層への根回し
アメリカでも問題を経営層に認識してもらうための根回しは、「イシュー・セリング(Issue Selling)」と呼ばれ、存在するようです。現場での課題は現場でしかわからないことも多いので、アメリカでもボトムアップへの期待はあるわけです。
日米の仕事の価値観の違いを感じることのできる一冊でした。もう少し著者の電通での仕事の雰囲気を感じられるとうれしかったのですが、消化不足でした。ズーさん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・中国では、友人との食事で割り勘をする文化があまりない・・華人は様々な方法で人間関係を維持する技を持っている(p44)
・ビジネスで成功する秘訣は、「気前がよく、面倒見がよいおじさん社員」と「世の中に敏感でスピード感がある若手社員」のチームワークなのだ(p46)
・ご飯や、安全に暮らせる家はお金がないと手に入らない。だが、それ以上の幸福はお金では買えない(p207)
【私の評価】★★★★☆(75点)
目次
第一章 科学的に考えるリーダーシップの定義
第二章 軍事戦略から紐解く「戦略」の要素
第三章 ビジネスにおけるOODAの存在意義
第四章 日本でOODAを活かすための変革とは
著者紹介
アーロン・ズー(Aaron Zhu)・・・電通/事業開発プロデューサー。南カリフォルニア大学卒業。在学時は米空軍ROTCに所属。専門は警察学や諜報など。大手IT企業や外資スタートアップの社外顧問を経て、早稲田大学大学院でMBAを取得。電通に入社後、事業開発やブランド・エクステンションに従事。グッドデザイン賞、厚生労働省医政局長賞など受賞
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