「歯科技工士の仕事: 手に職をつけて、人々の笑顔をつくる」村田彰弘
2024/10/07公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★☆☆(79点)
要約と感想レビュー
八重歯は海外ではドラキュラ
アメリカで歯科技工士としてセラミック技工技術を学んだ著者が教える「歯科技工士」の世界です。欧米では、歯並びが悪いとイメージダウンが避けられないので、子どものときから大金をかけて矯正するのが常識となっています。
日本では八重歯は「かわいい」ですが、海外では「ドラキュラ」とバカにされるわけです。「歯科技工士」の著者としては、もっと歯にお金をかけてほしいというのが本音なのでしょう。
日本人への歯への意識は本当に低く、先進国の中で最低(p28)
5年で8割が辞める歯科技工士
ところが日本の「歯科技工士」は、5年で8割が辞めてしまうと言われています。その理由は、悪い労働環境、安い工賃、立場の低さにあるという。つまり、長時間労働で低賃金、歯科医から無理な注文をされるなど地位が低いというのです。著者も独立して注文がなく、値切られて、最初の売上を立てるためにしぶしぶ通常の半額くらいのダンピングをしてしまったという。
このように"絶滅危惧種"の歯科技工士も、最近は、ベテランが引退し、腕のよい職人が不足しているという。さらにデジタル化と機械化によって死後tの効率化が進むことで、待遇もよくなってきているというのです。日本の歯科技工士もアメリカのように、腕が良ければ、高い単価でも仕事が来る業界になるのでしょうか。
拒否できなかった私が「ダンピングはするな」・・経験をしているからこそ、強くお伝えしたいのです(p161)
海外の安い補綴物は避ける
著者の警告するのは、海外製の安い補綴(ほてつ)物を使うことです。安かろう、悪かろうで、どうしても価格を下げるために不純物の入った粗悪な材料を使っている可能性があるというのです。歯医者さんに行ったら、どこで補綴(ほてつ)物を作っているのか聞かないといけませんね。
著者の歯科技工士業界を良くしたいという思いが伝わってくる一冊でした。まずは、歯間ブラシとフロスで虫歯予防ですね。村田さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・歯科技工士は、「歯」を作ることによって「笑顔」をつくる仕事です(p7)
・労働省は・・腰が重く、歯科医療で使う器材や材料の認可がとにかく遅いのです・・その最たるものが、歯科医療のデジタル化です(p43)
・デジタルでできたものを人の手で微調整して100点に持っていくもの(p171)
【私の評価】★★★☆☆(79点)
目次
第1章 日本の歯科技工業界の現状と課題
第2章 歯科技工士の実態と過去・現在
第3章 変わりつつある歯科技工士業界
第4章 歯科技工士になるために知っておいてほしいこと
第5章 歯科医療を支える柱になるための心得
第6章 業界の未来を変えるために必要なこと
著者経歴
村田彰弘(むらた あきひろ)・・・株式会社LAZARUS 代表取締役/歯科技工士。1976年生まれ。バンドマン生活を経て、歯科技工士免許を取得。「日本一の歯科技工所を作る」という思いを胸に、2010年、株式会社LAZARUS(ラザロ)を設立する。自身の技術を磨く中、海外と日本における歯科技工士の立場や労働環境の違いを目の当たりにし、日本の歯科技工士の地位向上、環境改善を目指すように。後進の育成にも情熱を注ぐ。
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