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「人事の超プロが明かす評価基準」西尾 太

2024/04/09公開 更新
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「人事の超プロが明かす評価基準」西尾 太


【私の評価】★★★☆☆(72点)


要約と感想レビュー

出世できるのは協働できる人

人事評価については、自分の会社しか知りませんので、勉強のために手にした一冊です。世の中には、評価基準さえない会社が多く存在するという。特に中小企業では、社長が主観的に評価を決めている場合が多いのでしょう。


中小企業が大きくなっていく過程で、人事評価制度を作っていく必要がありますが、成果主義をどの程度入れるのか、相対評価がいいのか、絶対評価がいいのか、360度評価はどうかなど、悩むことも多いのではないでしょうか。


どのような人事評価制度であっても会社組織で出世する人は、困った人の反対だと思いました。つまり、そこそこ仕事をして成果を上げ、周囲とうまく協力できる人です。


いくら能力が高くても、一匹狼のように一人で行動し、他の部署と対立してでも仕事をよくしようとする人は敵を作りがちなので、評価されない会社が多いのではないでしょうか。


困った人・・仕事をしない、成果を挙げられない、周囲とうまく協働できない(p31)

絶対評価や成果主義には副作用も

この本では「絶対評価」を基本にすべきと書いていますが、本当でしょうか。営業のような数値で成果が見える化できる職場では問題ないかもしれませんが、それ以外の職場では評価基準が作りにくいのではないでしょうか。


絶対評価や成果主義を導入する場合、問題となるのは、どう定量的に測定するのかということだけでなく、副作用も考慮しなければなりません。実際、富士通や三井物産など成果主義を導入した企業では、ノウハウを教えないなど、社内の人間関係が悪化し、大幅な見直しすることになっています。


絶対評価や成果主義の導入については一部の部門や部分的に導入するなど慎重な対応が必要だと感じました。


経理であれば、経費削減やコスト管理。法務であれば、契約書のチェックや現場からの問い合わせ対応にかかる日数を「中2日から中1日にする」(p98)

評価する人に評価される行動が必要

著者がいうように、会社人事では評判の悪い人間や、成績のよくない人が、部長になったり、役員になったりします。その一方で、人をバカにする、悪口をいう、足を引っ張る、上司にはゴマをするが部下には威張り散らすような人が閑職に行くこともあります。


結局は、人事は人が決めているので、評価する人に評価されるように行動しなくてはならないのです。


新入社員が業務改善を提案したいのであれば、「新入社員のくせに何を言っているんだ」という上司なら言わなければいいし、「誰がいうかではなく何を言うかが大切」という上司なら提案すればいいのです。


日本では年齢で人を評価しがちですので、若い人は信頼を得るところからはじめるべきなのでしょう。アメリカでは年齢より実力を評価する傾向にありますので、自分の提案をどんどんしていけばいいというわけです。


人事評価に不満のある人も多いと思いますが、実はそれほど評価はおかしくないのかもしれません。西尾さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・「どうしましょう?」ではなく、「こうしたいのですが、いいですか?」と提案する(p183)


・部下を持つ立場になったら、人を育てることや昇給させることが重要(p36)


・360度評価・・上司に食事に誘われて御馳走されたり・・仲良しグループから「お互いに良い評価しようね」を誘われた(p70)


・社内外の人的ネットワーク・・「〇〇さんのためならやってあげよう」と一肌脱いでくれる人を一人でも多く作っていきましょう(p117)


▼引用は、この本からです
「人事の超プロが明かす評価基準」西尾 太
西尾 太、三笠書房


【私の評価】★★★☆☆(72点)


目次

第1章 なぜあの人は「評価されるのか」「されないのか」
第2章 「人が大きく成長する制度」
第3章 何が評価を決めるのか?
第4章 絶対的、評価基準「45のコンピテンシー」
第5章 評価ポイントは年齢によっても変化する
第6章 これから待ち受ける「4つの選択肢」



著者経歴

西尾 太(にしお ふとし)・・・人事コンサルタント。「人事の学校」「人事プロデューサークラブ」主宰。フォー・ノーツ株式会社代表取締役社長。 1988年 早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。いすゞ自動車労務部門、リクルート人材総合サービス部門を経て、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)にて人事部長、クリエイターエージェンシー業務を行なうクリーク・アンド・リバー社にて人事・総務部長を歴任。2008年フォー・ノーツ株式会社設立。これまで9000人超の採用、昇進面接、管理職研修、階層別研修を行なう。「年収の多寡は影響力に比例する」というのが持論。


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