【書評】「いちばんやさしく教える 民泊の始め方」坂本貴洋
2025/06/18公開 更新

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【私の評価】★★★★☆(83点)
要約と感想レビュー
民泊には需要がある
外国人の民泊でのトラブルが多発しているようですが、それだけ需要と供給があるということです。この本では、「自宅の空き部屋を有効活用したい」「空き家となっている実家を活用して,少しでも収入を得たい」という人への民泊をはじめるためのマニュアルとなっています。
まず初期費用としては、許認可手続きを行政書士に依頼する費用、消防設備の設置費用,家具家電の購入費用,内装のコーディネイトや撮影に係わる費用など100万円から150万円くらいとのこと。仮に不動産を所有しておらず、物件を借りる場合、敷金・礼金などを加えると150万円から200万円となります。
著者が運営している大阪市内戸建て2DK,広さ約50m2,最大収容人数8人で月平均10万円ほど利益なので、1~2年で投資回収という計算になります。ただ、商売ですので、物件によって利益が出るかどうかはわかりません。著者の最初の物件は家賃は安かったのですが、立地が悪く稼働率が上がらず、十分な利益が上がらなかったという。
不動産を所有している場合は、家賃がかかりませんので、利益は出やすくなり、投資回収期間も短くなります。
類似物件の予約状況から,「稼働率」を予測する(p59)
民泊の始め方
民泊を始めるには3通りあります。1つ目は年間提供日数180日以内で、住宅宿泊事業法(民泊新法)で行うもの。2つ目は、2泊3日以上の滞在が条件となりますが、国家戦略特区法(特区民法)で行うもの。だだし、エリアが限定されています。
著者のお勧めは、365日運営できる「特区民泊」または「旅館業」の許認可を得ることです。旅館業(簡易宿所営業)の許可は、保健所に申請し、構造設備基準や衛生措置基準で審査されます。
許認可が取れれば、集客は「Airbnb」「Booking.com」「Agoda」などの宿泊予約サイトに登録するだけです。
どんな部屋やサービスを提供すればお客さまに喜んでもらえるのか、どこの業者に清掃などの業務を代行してもらうのか、クレームを受けたらどう対応して改善するか、考えながら、宿を運営していくことになります。
「Airbnbに登録するだけで予約が勝手に入ってくる(p148)
民泊運営のコツ
ここからは著者の教える民泊運営のコツを見ていきましょう。
まず、お客様はスマホで情報収集しますので、部屋のインテリアはプロのコーディネーターに依頼するほうが,時間を節約でき,売上アップにもなるという。費用は5~8万円です。
また、宿泊予約サイトに掲載する写真もプロのカメラマンにお願いしたほうが、お客様から見て魅力的な写真を掲載できるという。
ベッド数については、民泊は一人当たりではなく一部屋当たりで金額が決まります。最低でも3人以上泊まれる部屋にすると、お客にとってホテルより割安に見えます。
価格については、お客様は常に周辺の宿泊先と比較していますので、毎日、周辺相場に合わせて調整するとよいという。
なお、備品は差別化に影響しませんので、クレームがない程度に最初は必要最低限なものとし,運営しながら見直すことで十分です。
売上はプライシング(値付け)で決まる・・周辺相場と見比べて毎日調整しよう(p164)
クレーム対策
近隣住民からのよくあるクレームは「騒音」「ゴミの出し方」「ゴミやタバコのポイ捨て」です。これらの点については、お客様に繰り返し周知する必要があります。こうした注意点、よくある質問は,日英中韓4か国語で宿泊マニュアルに記載して周知するようにします。
また、お客様からよくあるクレームは、「2階以上の物件だが,エレベータがない」「鍵がひとつしかないため,別行動ができなかった」などであり、事前に告知しておく必要があるということです。
民泊を極めていくと、空き部屋を民泊として借りて、運営する部屋を増やしていくことになります。ここまでくると、ほとんど旅館業のプロということになります。坂本さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・許認可申請は行政書士に依頼しよう・・20~30万円・・手続きのスピードアップを図り,できるだけ早く開業する(p114)
・オーナーが民泊利用を認めてくれる物件は数が少ないのが現状です(p95)
・シミュレーションを作成して,利益が出そうなら即申込みを入れて部屋を押さえる・・内見に行きます。同時に,該当区域を管轄する保健所と消防署へ事前相談に行きます・・物件の賃貸契約締結前であれば,無料で申込みをキャンセルできます(p91)
▼引用は、この本からです
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坂本貴洋(著)、秀和システム
【私の評価】★★★★☆(83点)
目次
第1章 副業するなら民泊一択のワケ―新たな民泊バブル到来!
第2章 絶対に外さない物件の選び方―民泊は物件で9割決まる
第3章 民泊物件の探し方・借り方―良い物件は激戦必至
第4章 儲かるお部屋の作り方―ゲストの心理を知れば楽勝
第5章 予約が埋まるサイトの作り方―集客不要で手間要らず
第6章 ゲスト対応のやり方―トラブルがあっても準備があれば安心
第7章 ギリギリまで長く稼ぎ続けるコツ―民泊バブルの波に乗り続ける!
著者経歴
坂本 貴洋(さかもと たかひろ)・・・株式会社マスジーアイ代表取締役。大学卒業後、楽天に入社。新卒の売上全国2位として表彰される。2017年1月、株式会社マスジーアイ設立。民泊新法施行に合わせて、アパマングループと合弁で別会社を設立、後に丸紅の傘下に入る。コロナ禍で壊滅的な打撃を受けて解散。その後は自身の会社にて不動産事業に参入し、民泊と不動産の領域で事業を拡大している。民泊運営の管理部屋数は延べ1300部屋を超える。現在は自社物件の経営だけでなく、運営代行や民泊物件のプロデュース、コンサルティング等の支援事業も行っている。
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