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「経営中毒 社長はつらい、だから楽しい」徳谷 智史

2025/02/10公開 更新
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「経営中毒 社長はつらい、だから楽しい」徳谷 智史


【私の評価】★★★★☆(88点)


要約と感想レビュー


商品が売れないと資金ショートする

独立起業すると何がおきるのか?経営コンサルタントとして1000社以上支援してきた著者が、自らの体験も含めて教えてくれる一冊です。


まずよくあるパターンは商品が売れず、資金ショートすることでしょう。著者の経験でも、最初に考えた商品が、順調に売れ続けてうまく行ったケースをほとんど見たことがないという。ユーザーの反応を見ながら、作り上げていくというのが実際なのです。


商品が売れないと、資金がどんどん減っていきます。資金がなくなると人が離れていくという。著者の会社も1年で、一人を除いてスタッフがいなくなってしまいました。銀行から融資してもらうのも大変だし、投資家に投資してもらっても間違うと乗っ取られてしまいます。儲かれば3割以上は税金に取られるし、社長は資金繰りが大変なのです。


社長になると、給料日の感覚が180度変わる(p34)

メンバー内で方針で揉める

次によくあるトラブルは、メンバー内で方針で揉めることです。二人で共同創業すると、だいたい方針で合意できず、分裂するという。責任を持つ創業者は、一人が望ましいのでしょう。


また、社員から不満が出たときに、社長のやり方を否定する幹部社員もいます。そうすると、あっという間に組織は崩れていくという。だから、いくら優秀であっても「価値基準の違う人」をメンバーに入れるべきではないという。そうしないと、社長の批判を始めたり、社内外でトラブルを起こすのです。


ただ、会社が大きくなっていくと、必然的に中途採用が増えて、「しんどいときに頑張ってきたのに、後から入ってきた人がなんで上司なのか」と古参メンバーからの不満はどうしても出てくるというのです。


経営メンバーは何が原因で揉めるのか。一番の原因は、会社の舵の取り方、つまり意思決定をめぐるケンカです(p88)

組織が部分最適で動く

社員が増えて100人に近づいてくると、中間管理職を置いて組織化することで、社長の目が届かなくなり、トラブルが起こるようになります。機能別組織にすると、それぞれが部分最適で動き始めるのです。さらに、他の組織の批判をはじめます。製品が悪いからだ、いやいや営業力がないからだなどと会議で衝突するのです。


著者のアドバイスは、社長として「絶対譲れないこと」と「譲ってもいいこと」をはっきりさせることです。組織が大きくなると、いかに社長の思い・信念を社員一人ひとりに理解してもらうのかが課題となります。ビジョンや事業計画を明確にして、動いてもらうしかないのでしょう。


信念を持って言い続ける。それに周囲の人たちが共鳴し、目標達成のためにベストを尽くす。そうやって、金やモノなどのリソースも集まってきます(p187)

打開策を考えて行動し続ける

独立起業すると、商品の失敗、仲間の裏切り、資金ショート、事業の乗っ取りなどの問題と直面する可能性があります。ただ、苦しい時期を耐え抜いていると、思いもよらない奇跡がやってくるという。そのためには、常にあきらめずに打開策を考えて行動し続けるしかないというわけです。


著者の体験も含めてわかりやすくまとまっていました。徳谷さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・投資家は「未来」を見ますが、銀行は「過去」を見る(p69)


・著名なスタートアップの社長は、最初はプロダクトの影も形もなく、「1枚の紙」だけで営業をしていました・・お客さまの反応を参考にして、少しずつ改良を重ねプロダクト設計を磨き込んでいきました(p206)


・「あったらいいな」と「お金を払ってまで使いたい」は天と地の差がある(p234)


・たった一人でも「熱狂的なコアユーザーを見つけ出すこと」(p209)


▼引用は、この本からです
「経営中毒 社長はつらい、だから楽しい」徳谷 智史
徳谷 智史、PHP研究所


【私の評価】★★★★☆(88点)


目次

はじめに 社長はつらい?それとも楽しい?
第1章 「資金繰り」は最初に直面する、社長共通の悩み
第2章 会社は99.9%、「人の問題」で崩壊する
第3章 営業VSエンジニア、中途VS古参・・組織の崩壊はとつぜん起きる
第4章 最初に考えたプロダクトはなぜうまくいかないのか
第5章 「事業の売却」から新たな経営がスタートする
第6章 「24時間悩み、365日決断」難しいがクセになる経営判断
おわりに あなたは孤独な社長ではない


著者紹介

徳谷智史(とくや さとし)・・・(エッグフォワード株式会社 代表取締役社長/GOLDEN EGG Ventures 代表パートナー) 京都大学卒業後、大手戦略コンサルティング会社入社。海外法人の立上げとアジア代表を経て、エッグフォワードを創業。企業向けには、大手からスタートアップまで、1000 社超の企業変革コンサルティングを手掛ける他、出資×コンサルティングのVC スキームで「スタートアップ共創のエコシステム創造」を目指す。個人向けには、2 万人を超えるビジネスパーソンの意思決定・キャリアを支援。 NewsPicks キャリア分野プロフェッサー、PIVOT「社長改造コーチ」。趣味はハンドボール・サウナ。


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