「契約が継続する独立系コンサルタントの働き方」林田康裕
2025/01/20公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★★★☆(87点)
要約と感想レビュー
お客様が求めているのはノウハウではない
著者は営業支援コンサルとして独立しますが、最初はお客様の利益を上げることだけにしか目が向いていなかったという。そのため、最初は成果が出るものの、成果が出なくなると契約解除が続いたのです。
そうした中、一部のお客様は契約継続してくれたので、そのお客様に「なぜ継続してくれたのですか」と著者は聞いてみました。するとわかったのは、実はお客様が求めていたのは、「教えてくれる」ことではなく、「歩調を合わせて支援してくれる」ことだったのです。
よく考えると、お客様が行動していなかったり、自分の専門の営業支援以外の課題が話題になっても、著者はそうした自分の専門分野以外のお客様の声を聞き流していたという。 お客様が求めていたのは、著者の専門的なノウハウではなく、目の前の仕事の課題を一緒に考えて解決してくれるコンサルだったのです。
「教えてくれる」、「わかってくれる」より「歩調を合わせて支援してくれる」(p134)
長く付き合いたいのは何でも相談できる人
そもそもお客様である中小企業の経営者は、自分の考えで経営したいから商売しているのだし、常に他者からの助言を求めているわけではありません。また、経営者が「教えてほしい」と言ったとしても、多くの場合は「3割くらいはわかっているけれど、あと7割がわからない」など、ある程度はわかっているのです。
つまりお客様となる経営者が求めているのはノウハウではなく、経営者のなりたい未来を実現させること。その経営者がどういう人と長く付き合いたいと考えるかといえば、「何でも相談できる人」なのです。
「私たち自身がどういう人と長く付き合いたいと思うか?」・・「何でも相談できる人」がそばにいてくれると心強い(p13)
経営者の伴走者となる
したがって、著者が気をつけているのは、経営者の伴走者となることです。経営者の伴走者とは、まず、経営者の気持ちをわかってくれる人であり、経営者が気づいていない重要な問題を遠慮なく伝えてくれる人です。
だから著者は、契約の最初の段階でお客様にこの伴走者としてのコンサルの姿勢を伝えるようにしているという。
具体的には、商売においては、「正解」があるわけではなく、行動しなければ成果は出ないこと。コンサルとして経営者が気づいていない点を第三者的立ち位置から伝えること。そして、方法論ではなく、全体最適の視点でお客様の意向や環境に合った支援をするということです。
また、経営者が取り組むべき課題が 明確になっていなことが多いので、対話の中で、最近どのようなことを考えているのか、どのようなことが現場で起こっているのかを聞き取り、何から取り組んでいくことを伝えるという。
コンサルタントが自分の専門分野を提供することは、部分最適に過ぎません。クライアントが望むのは全体最適です(p52)
課題だけをそのまま伝える
だからコンサルの場では、著者は、「課題があるからこうしましょう」とは言わないという。言うとしても、目に見えた課題だけをそのまま伝えるのです。言い方にしても、「私にはこのように見えますが・・」とか、他社の事例を匿名で伝えるようにしているという。実は経営者は答えを持っており、ただ、背中を押してもらいたいだけなのかもしれません。
確かに私の経験でも、高額の報酬をもらっているコンサルタントは人当たりが良く、褒め上手で、言い方も丁寧で断定調で言う人は少なかったと思います。著者のコンサルタントは接しやすい人間、なんでも話せる人間でなくてはならないというスタンスは王道だと思いました。林田さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・クライアントが望むゴールにたどり着くための方法は、私たちが提示すること以外にたくさんあります。クライアントが、前のめりで取り組めることが何より成果への近道になります(p24)
・いきなり、「〇〇するにはどうしたらよいか」と、方法を考えません。まず、今やっている行動は「何が問題なんだろうか」と、問題軸から考えます・・より本質的なところから考える(p120)
・私の専門は〇〇です・・しかし、ご商売をしていると、想定していないさまざまな問題が起こることが多くあるかと思います。私の専門分野以外のことに関しても・・共に考え、共に解決策を見出すお手伝いならできますので、ご相談したいことは何でも仰ってください(p147)
・決めたことが進まない時・・・実際に行動に移し、そこで見えてきたことを再度お話合いしませんか(p71)
【私の評価】★★★★☆(87点)
目次
序章 最初にお伝えしたいこと
1章 コンサルタントは何を求められているのか?
2章 契約更新の成否を分ける、コンサルタントのマインドセット
3章 ひとつ目の顔 コンサルタントとしての顔
4章 2つ目の顔 事業主としてのコンサルタント
5章 クライアントとの距離感
6章 継続的な価値を見出してもらうために日々行っていること
7章 クライアントはコンサルタントをどう見ているのか
著者紹介
林田康裕(はやしだ やすひろ)・・・1974 年、和歌山県生まれ。1997年、関西外語大学学外国語学部英米語学科卒業。大学卒業後、地元百貨店に入社し外商部勤務。その後、輸入商社、保険業など転職を繰り返し、外資系メーカーに約10年勤務。営業チームのマネジメント、戦略策定に携わる。2013年にコンサルタントとして独立。従業員30名以下の中小企業をはじめ、美容室や治療院などの店舗ビジネスの支援、及び士業やコンサルタントとして活躍して行きたいと考えている人たちへのコンサルタント支援をおこなっている。
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