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「論点を研ぐ 戦略コンサルタントが明かす「問題解決」の実際」則武 譲二

2025/02/11公開 更新
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「論点を研ぐ 戦略コンサルタントが明かす「問題解決」の実際」則武 譲二


【私の評価】★★★★☆(83点)


要約と感想レビュー


戦略コンサルタントとは

戦略コンサルタントとはどんな仕事をしているのか?と手にした一冊です。戦略というとカッコいいのですが、仕事の仕組みの改善ということだと思いました。


コンサルでの流れは目次のとおり、同質化する→前提を自覚→前提を問い直す→核心を突く→再構築するとなります。


同質化という日本語に違和感がありますが、クライアントとの同質化という意味で、現状の認識を共有化するということでしょう。つまり、短時間にクライアントと同じレベルの情報と認識と知識を持つように努力するということです。


マクロ環境を押える・・スタートアップの動きやベンチャーキャピタルの資金の流れを見たり、企業の発表や学会などを確認(p33)

抜け・漏れがないか整理する

コンサルティング会社に相談したということは、クライアントは何かに困っているか、現状の課題にうまく対応できていないということです。したがって、クライアントの現在の検討や取り組みの中に、思い込みや前提の間違いがないのか問い直す必要があります。


そのために、クライアントの考える前提の裏側に眠る「ファクトやロジックをサルベージ」するのです。(ひどい日本語ですが、原文ママ)


具体的には、論点の構造を確認したり、対策の基となる仮説を書き出し、7つの論点で整理し直し、抜けている前提がないか確認するのです。抜け・漏れがないか整理することで、見えてくるところがあるのでしょう。


7つの観点・・事象の定義・・プレーヤー・・セグメント(顧客や事業、プロダクト)・・バリューチェーン・・マネタイズ(価値)・・シチュエーション・・時間軸(p118)

凝り固まった前提から抜け出す

このように現状のクライアントの前提を整理したら、漏れがないか?、妥当性があるか?あえて違う考え方をするとどうなるか?という「3つの質問」で問い直します。問い直すことで、ヒアリングや市場調査で違和感を持ったところに、大きな隠れた問題を発見することがあるという。


紹介されているプロジェクトケースでは、クライアントの「X社との提携」という前提自体が間違いであったケースや、新商品の不具合の原因は、品質管理の問題ではなく、安く受注していたことが原因だったケースが紹介されています。


このようにクライアントが気づいていない視点を提供するのが、経営コンサルティング会社の価値なのでしょう。


知らず知らずのうちに「囚われている」前提から抜け出すのが、非常に難しい(p192)

隠れた真因を発見する

多くの企業が、バイアスや凝り固まった前提をベースに検討を進め、課題を解決できていないことがわかりました。


組織が大きくなると関係者が多くなり、本当のことを言えないとか、言っても何も変わらないとかの理由で、一部の人が真因を知っていてもそれを拾ってもらえず、コンサルタントが介在することで真因が日の目を見ることもあるのではと感じました。


そういう意味ではコンサルティングとは、第三者の視点を組織に持ち込む面白い仕事ではないかとも感じました。私も良い本をサルベージしていきたいと思います。則武さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・前提の正誤はマーケットが教えてくれる(p33)


・あえて「真逆」の見解にも触れる・・現時点の仮説や通説とは「真逆」のことを言う関係者の方針や取組みについても、あえて把握しておく(p99)


・メーカー経営陣との徹底した会話(p65)


・反対勢力と見なしていた部門長たちの発言内容を「実は一理あるのではないか」と振り返ったり、・・小さな発言を拾い上げたりした・・実は重要な前提の存在を示唆さいているのではないか」と常に問いかけながらホワイトボードに書き連ねていった(p247)


▼引用は、この本からです
「論点を研ぐ 戦略コンサルタントが明かす「問題解決」の実際」則武 譲二
則武 譲二、日経BP


【私の評価】★★★★☆(83点)


目次

第1部 なぜ今、「論点を研ぐ」か
第2部 ブレークスルーを起こす「論点を研ぐ」技法
 第1章 技法の全体像
 第2章 ステップ1「同質化する」
 第3章 ステップ2「前提を自覚する」
 第4章 ステップ3「前提を問い直す」
 第5章 ステップ4「核心を突く」
 第6章 ステップ5「再構築する」
第3部 プロジェクトケースに学ぶ、技法の実践


著者紹介

則武 譲二(のりたけ じょうじ)・・・ベイカレント・コンサルティング常務執行役員。京都大学卒業後、ボストン コンサルティング グループ(BCG)などを経て現職。主に、全社戦略・事業戦略の策定および実行、新規事業の立ち上げ、DX、マーケティング・営業改革などのテーマに従事。経営研究機関ベイカレント・インスティテュートの所長も務める。


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