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【書評】「情報戦の教科書-日本を建て直すため『防諜講演資料』を読む」神谷宗幣

2025/12/16公開 更新
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「情報戦の教科書-日本を建て直すため『防諜講演資料』を読む」神谷宗幣


【私の評価】★★★☆☆(79点)


要約と感想レビュー


中国の情報戦

中国の情報戦が活発化しています。


立憲民主党の岡田克也議員が国会審議で高市早苗首相に「台湾有事」について質問し、朝日新聞が「認定なら武力行使も」などと角度をつけて報じ、中国の駐大阪総領事が朝日新聞の記事を引用し、高市首相の首を斬るしかないとSNSで発信するという流れです。


中国共産党の人民解放軍の法規「人民解放軍政治工作条例」では「世論戦、心理戦及び法律戦を展開し、敵軍の瓦解工作を展開」すると書かれてあるということなので、その一環なのでしょうか。


この本は、1941年に日本の内務省が発行した「防諜講演資料」を引用しながら、「参政党」の神谷代表の著者が情報戦へ注意喚起をしている一冊です。情報戦は武力を用いないで戦争に勝つ方法であり、安上がりなの、各国が情報戦に力を入れるのは当然としています。


例えば、ロシアとウクライナの戦争報道を見ていても、どちらが正しいことなのか非常にわりにくい。著者は日本のマスメディアのウクライナ報道は情報戦の一つであり、鵜呑みに出来ないと説明するのです。


そして中国は戦前から超限戦として、日本のマスコミ、経済界、政治家を媚中政治家に仕立てるなどしていたという。


北欧デンマークの中学校の公民の教科書では、まず初めに「マスコミを信じるな」と書かれている・・スポンサーの意向に沿った報道、政府に忖度した報道があります(p84)

政治家としての経験談

やはり面白いのは、政治家として神谷代表の経験談でしょう。著者が先輩から言われたのは、「軍事という危ない言葉は使うな」「「国防」」とか「安全保障」と言い換えなさい」と言われたという。


また、大政党の人から、「来ないか」「一緒にやればいいのに」「席は用意するぞ」などと耳元で囁かれたという。政治活動をしていると、地位やポジションで誘惑されたり、お金や過去の何かで脅されるというのです。


こうした誘惑や圧力に屈しない気概のある人が出てくると、みんなで足を引っ張って、潰されるのです。最悪の場合、暗殺されることになるという。


私は最初から、「こんなことを言ったら参政党叩かれますよ、潰されますよ」と言い続けてきました・・実際にそうなっています(p113)

世論戦の具体例

この本では世論戦の具体例を紹介しています。最近はSNSを使った世論誘導工作が盛んです。中国では「五毛党」というサイバー部隊が存在し、都合の悪い情報や団体を罵倒したりレッテルを貼ったりして攻撃してくるという。


米マイクロソフト社が2023年9月8日に「サイバー攻撃に関する調査報告書」を公表し、SNS上で中国の工作員とみられる偽アカウントが生成AI(人工知能)を使い、米国の世論を誘導しようとしている可能性があると指摘しています。


日本では、裁判官や弁護士の中に共産主義イデオロギーを持つ人がおかしな判決を出したり、「スパイ防止法」への反対活動をしているという。


一部の労働組合の中には、海外の工作員が入り込み企業の力を削ぐために、わざと経営者と労働者を乖離させて、会社を弱体化させることがあるという。


自衛隊においては、800人が外国人女性と結婚し、うち600人が中国人と「週刊ポスト」2013年4月19日号記事を紹介しています。防衛省でも、情報管理を委託している民間会社のエンジニアに中国人が入っており、斡旋したのが元国会議員と週刊誌の記事を紹介しています。


労働組合は、一見社員のため、働く人々のための組織と思われがちですが、弱った企業を乗っ取り、外資に売るための謀略の場合もあります(p95)

愛国心がなければ私利私欲に負けてしまう

神谷さんは、「防諜講演資料」を引用しながら、スパイ防止法だけでは防諜はできないと断言しています。防諜は国民各自の自覚からはじまるというのです。


そもそも各国の「ハンドラー」と呼ばれる情報機関員は、ビジネス・コンサルタント、シンクタンク研究員、雑誌編集者などの肩書でスパイをリクルートしています。結局、愛国心がなければ、私利私欲に負けてしまうというわけです。


国会議員や官僚の中には、賢いので強い側について、国民をだます側に回ったほうが、自分の身も安全だし、お金も儲かるじゃないかと思っている人たちが大勢いるというのです。


確かに「日本を売らない限り出国できない」と上海総領事館の通信担当官が自殺した事件がありましたが、ハインリッヒの法則を適用すれば、30人から300人の日本人が弱みを握られて自殺できずにスパイになっているとと考えられます。


ある程度、常識的な内容でしたので、★3つとします。神谷さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・先進国で本格的な情報機関が存在していないのは日本だけ(p9)


・わざと中国を批判し、中国に敵対する団体・・例えば日本の保守系団体、右翼団体、民主化団体などに接近し、内部情報を収集、組織を分断、撹乱する者や、最先端企業に潜入して、技術情報を盗む者がいる(p100)


・暴力団は一般的に政治家のゴシップ情報等をよく持っているので、情報機関にはとても都合がいい存在と言えます(p100)


・課外学習で「古事記」の読み聞かせを企画した人が、学校の先生に「それは宗教だから駄目」と言われた・・・それは誤解・・・学習指導要領に「ちゃんと神話を教えなさい」と追加された(p172)


▼引用は、この本からです
「情報戦の教科書-日本を建て直すため『防諜講演資料』を読む」神谷宗幣
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神谷宗幣 (著)、青林堂


【私の評価】★★★☆☆(79点)


目次


第1章 『防諜講演資料』から見る戦争の形
第2章 情報戦そして経済戦
第3章 国民の心構えこそが最大の防衛
第4章 教育こそが国の基本
第5章 防諜と国際社会


著者経歴


神谷宗幣(かみや そうへい)・・・参議院議員・参政党事務局長。1977年福井県生まれ。関西大学卒業後、29歳で吹田市議会議員に当選。2010年「龍馬プロジェクト全国会」を発足。2013年ネットチャンネル「CGS」を開設し、政治や歴史、経済をテーマに番組を配信。2020年、「参政党」を結党。2022年に参議院議員に当選。


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