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「「脱炭素」は嘘だらけ」杉山 大志

2021/09/15本のソムリエ メルマガ登録
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「「脱炭素」は嘘だらけ」杉山 大志


【私の評価】★★★★★(90点)


要約と感想レビュー

 菅総理は所信表明演説で2050年までに二酸化炭素排出量ゼロにすると宣言し、2021年4月の米国主催の気候サミットでは2030年に温室効果ガスを2013年から46-50%削減することを表明しました。


 著者の杉山氏は「2050年CO2ゼロ」は政治的にも科学的にも技術的にも、経済的にも間違っているとしています。そもそも日本が2030年に温室効果ガスを46%削減するとしたのは、50%削減とした米国に歩調を合わせたものです。


 著者の予想は、1997年に京都議定書での合意(米国7%削減、日本6%削減)、2015年のパリ協定での合意(米国、日本とも26%削減)を米国はいったん国際合意し、結局、議会で承認しないことで反故にしており、今回も日本は梯子を外されるだろうと予想しています。


 中国も「2060ゼロエミッション」と発表していますが、10年先送りしておくことで先進国の状況を見ながらということでしょう。


・中国の「2060ゼロエミッション」・・・先進国はどうせいつかは約束を反故にするだろうから、中国はそれを厳しく批判した後で、自身もひっそり反故にすればよいということだ(p49)


 「2050年CO2ゼロ」の問題を見てみましょう。まず、そもそも地球温暖化傾向にあることは確かですが、その主因がCO2にあるのかは不確かであり、気温上昇シミュレーションも過去の気候変動を説明できないいいかげんなものです。地球温暖化リスクが不確かであるとすれば、現在の対策はあくまでリスクを減らすための保険という位置づけになるのでしょう。


 その保険であるはずの温暖化対策ですが、すでに世界一の省エネ国家である日本は、菅直人元首相の置き土産である再エネ大量導入により毎年3兆円もの再エネ賦課金が電気料金に上乗せされています。消費税1%が2兆円ですから、再エネ賦課金がさらに増えていくことを考えれば景気に悪影響を与える可能性があります。


 「2050年CO2ゼロ」のコストは年間43兆円から72兆円と試算されており、税金が2倍になる計算です。日本は世界の3%しかCO2を排出しておらず、中国の1年のCO2排出量増加分が日本の排出量と同じくらいです。日本の排出量を減らすより、世界全体に日本の省エネ技術を広めたほうが削減量は多くなるという著者の主張はもっともなことだと思います。


・温暖化は人為的CO2にもよるが、それ以外の要因も大きく、よく分かっていない・・・シミュレーションは、一連の過去の変化をうまく再現できておらず、地球の気候の複雑さを表現できていない。したがって将来の予言も不確かである(p29)


 中国の勢力拡大を意識した記載もあり、その点を割り引いても、著者が言うとおり「脱炭素」は嘘だらけは事実に近いと思いました。シミュレーションは過去の気候変動を説明しきれていないこと、異常気象も統計上はばらつきの範囲内であることなど、科学者の目には危機を煽る情報やニュースに対して不信感があるのだと思いました。


 私達は現在の環境問題に対して、曇りなき眼(まなこ)で見定める必要があるのでしょう。杉山さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・温暖化対策投資をすれば、その事業を請け負う企業にとっては売り上げになる。だがそれはエネルギー税等の形で原資を負担する大多数の企業の競争力を削ぎ、家計を圧迫し、トータルでは国民経済を深く傷付ける(p22)


・「2050年ゼロ」・・・2050年におけるコストは年間43兆円から72兆円、と試算されている。コストに30兆円もの幅が出るのは、原子力の利用をするか否かによる・・・昨年度の一般会計、年間103兆円に匹敵する規模だ(p91)


・再生可能エネルギー賦課金単価は2019年には2.95円/kWhに達し・・・総額は2.4兆円となっている。事業者や家庭は毎年2.4兆円もの費用をすでに負担している。今後、再生可能エネルギーの導入がさらに拡大するならば、この賦課金はますます膨らむことになる(p102)


・気温上昇予測は結果を見ながらパラメーターをいじっている・・・「予測」を政策決定に利用するならば、それが気温上昇の結果を見ながらチューニングされている、という事実を念頭に置く必要がある(p159)


・台風は増えても強くなってもいない。台風の発生数は年間25個程度で一定している。「強い」以上に分類される台風の発生数も15個程度と横ばいで増加傾向はない(p140)


・NHKが煽る温暖化報道・・・NHKスペシャル『2030未来への分岐点(1)「暴走する温暖化"脱炭素"への挑戦」』・・・NHKは、仮説に仮説を重ねた不確実なものをあたかも確実な科学のように報道した(p180)


・レーニンはかつて「共産主義者ではないのに、本人も無自覚の内にコントロールされて共産主義者の役に立ってしまう者」のことを「使える愚か者」と言った(p53)


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▼引用は、この本からです
「「脱炭素」は嘘だらけ」杉山 大志
杉山 大志,産経新聞出版


【私の評価】★★★★★(90点)



目次

序章 グリーンバブルは崩壊する
第1章 「CO2ゼロ」は中国の超限戦だ
第2章 脱炭素は国民経済を破壊する
第3章 地球温暖化のファクト
第4章 気候危機はリベラルのプロパガンダ
第5章 脱炭素との付き合い方


著者紹介

 杉山大志(すぎやま たいし)・・・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。東京大学理学部物理学科卒、同大学院物理工学修士。電力中央研究所、国際応用システム解析研究所などを経て現職。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)、産業構造審議会、省エネルギー基準部会、NEDO技術委員等のメンバーを務める。


地球温暖化関係書籍

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「異常気象の正体」ジョン・D.・コックス
「地球温暖化「CO2犯人説」は世紀の大ウソ」
「「地球温暖化」の不都合な真実」マーク・モラノ
「地球温暖化への挑戦」薬師院 仁志
「「地球温暖化」狂騒曲 社会を壊す空騒ぎ」渡辺 正
「環境問題の嘘 令和版」池田 清彦
「CO2温暖化論は数学的誤りか」木本 協司


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