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地球温暖化のシミュレーションはいい加減だ「CO2温暖化論は数学的誤りか」木本協司

2020/09/17公開 更新
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「CO2温暖化論は数学的誤りか」木本協司


【私の評価】★★★★☆(81点)


要約と感想レビュー

 化学物質合成シミュレーション技術者である著者が、地球温暖化の気候モデルを調べたところ誤りが多く、まったく信用できないものであるとわかったという。気候モデルに数学的誤りがあるだけでなく、補正したり、怪しい仮定をしており、妥当性検証さえされていないのです。


 シミュレーションでは、モデルやパラメタが正しいのかどうか、実験データと比較します。地球温暖化論の基礎となっている真鍋ペア論文における「CO2の自然温室効果」、「気候感度」を実測値と比較すると数倍乖離しているというのです。2021年に眞鍋淑郎氏はノーベル賞を受賞しましたが、地球温暖化が止まったら困ったことになるでしょう。


・CO2の自然温室効果・・真鍋ペア論文/10度以上・・実測値/3.2~6.6度・・・気候感度・・・真鍋ペア論文/2.4度・・・実測値/0.5度・・・真鍋氏らは、実測値が先程のように簡単な算術計算により得られるのにもかかわらず、自分たちの計算値との比較検討を実施していない(p17)


 数値計算によるシミュレーションは、実験データを計算モデルで再現できるのか仮説、検証することで構築されます。しかし、実際にはエンジンの燃焼のような小さな現象だけでも正確な再現は難しく、最近になって透明なエンジンを作って燃焼を観察することまでして、やっと数値と現実が合ってきたくらいなのです。


 いわんや地球全体のモデルとなれば正確なデータがあるのかどうか、モデルが正しいのかどうか検証しつつ、正確なモデルを確立するのは困難です。つまり、精度の悪い地球シミュレーションの結果を根拠に、CO2が地球温暖化の原因であると断定し、政策に反映させるのは非合理的と言えるのです。


・自然科学は、「実験・観測データの集積と解析→物理メカニズムの解明→数式モデルによる予測」という三段階を踏んで発展してきた。ところが地球温暖化論は肝心の最初の二段階を十分行わないまま、第三段階のコンピュータシミュレーションに入っているのではないか(p4)


 著者の結論は、現在地球は温暖化していますが、温暖化ガスの排出による影響は小さく、自然な気候変動によるものと推定しています。なぜならば、地球は温暖化していますが、それはCO2排出が増える前から温暖化傾向にあり、CO2が増えたから温暖化が加速しているわけではないのです。


 地球は太古から温暖化、寒冷化を繰り返してきたのであり、過去には大気のCO2濃度の上下にかかわらず温暖化、寒冷化がおきているのです。それがどうしてCO2の濃度上昇だけで、地球が温暖化していると断言できるのでしょうか。


・図1.8は、温暖化による海水の膨張や氷河の融解に伴う海水位上昇を示しているが、CO2濃度が急激に増加し始めた1940年以降の加速は見られない。これから赤祖父俊一氏は、1800年頃から始まった小氷河期からの自然変動による温暖化が海水位の上昇の原因であると主張している(p20)


 「裸の王様」という童話を思い出しました。王様には「ばか者には見えない布地」が見えました。現代社会では環境活動家には「科学者には見えないCO2による地球温暖化」が見えているのです。


 データに基づき考える科学技術者は、「光学的に王様の布地は測定できません」、「工学的にCO2が地球温暖化の原因とは説明できません」と言う責任があります。こうした技術的ないいかげんさが明らかになっているのに、なぜ国際社会は地球温暖化を問題にし、脱炭素化を目指しているのか、よくよくその背景を考えてみる必要があるのではないでしょうか。


 木本さん、良い本をありがとうございました。



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この本で私が共感した名言

・R・コートニー氏によれば、英国における人為的温暖化論の始まりは、「石炭か原発か」というエネルギー問題と直接リンクしており、環境問題という捉えかたはむしろ後から生じた(p44)


・現代の気候モデルの理論的基礎である真鍋ペア論文では、地表気温は・・・大気側のエネルギー収支と鉛直温度減率のみで地表気温は決められ、最も重要な海の決定的役割はスッポリ抜け落ちている・・・人為的温暖化論の理論を作った学者は大気屋であり、海洋学者がいないことが海の役割を軽視する理由かもしれない(p87)


・物理学の原理によれば、海表面のスキン層に吸収された赤外エネルギーは、蒸発や反射により対流圏上空に逃げ去り、海表面の温度を上げるのにはほとんど使われないと考えられる。これに対して人為的温暖化論では、CO2倍増に伴う3.7W/平方メートルの赤外放射の増分は、すべて混合層と海表面の温度を上げるのに用いられる。これは海洋学者や物理学者が指摘している地球の現実に反している(p90)


・平安時代には熱帯性伝染病であるマラリアが流行していたので、現在よりも気温が高かったと想像されるが、その証拠として、源氏物語が書かれた頃は、今よりも大阪湾が深く入りこんで京都の南部近くまで内湾化していたと石井和子氏は指摘している(p131)


・地球は絶えず温暖化しては寒冷化する。この周期は否定しようがなく、はるか昔からあり、しばしば唐突で世界的に生じる。またこれは止めようがない。氷床コアや堆積物コアの同位体、古代の樹木の年輪、石筍(せきじゅん)などはすべて、それが太陽輻射の小さな変化に結びついていることを示している(p203)


・1877年、1827年には本州南端の鹿児島にも大雪が降ったことが分かった・・・1918年、1963年、2006年にも鹿児島地方に大雪が降っている・・・これから、ほぼ太陽黒点の周期である11年の4倍である44年の間隔をおいて、鹿児島にも大雪が降るような異常気象が生じていることがわかる(p211)


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▼引用は、この本からです
「CO2温暖化論は数学的誤りか」木本協司


【私の評価】★★★★☆(81点)


目次

第1章 モデル温暖化論の誕生
第2章 温暖化論の問題点
第3章 温暖化論は数学的誤りか?
第4章 中世温暖期と小氷河期―歴史的気候論
第5章 太陽活動と気候の自然変動の影響
第6章 日本の異常気象の四十四年周期と寒冷化
第7章 燃料電池とCO2回収・貯留技術
第8章 本書の結論
第9章 トリウム熔融塩核エネルギー協働システム



著者経歴

木本 協司(きもと きょうじ)・・・1943年満州で生まれる。1968年九州大学工学部卒業。1968年旭化成工業(株)に入社。アンモニア合成プラントのコンピュータシミュレーションに従事、食塩電解用パーフロロ陽イオン交換膜を開発。1985年旭化成工業(株)退社。現在、(有)ミレーヌコーポレーション取締役、燃料電池用プロトン伝導膜の開発、地球温暖化論の研究。


地球温暖化関係書籍

「「脱炭素」は嘘だらけ」杉山 大志
「地球温暖化「CO2犯人説」は世紀の大ウソ」
「「地球温暖化」の不都合な真実」マーク・モラノ
「地球温暖化への挑戦」薬師院 仁志
「「地球温暖化」狂騒曲 社会を壊す空騒ぎ」渡辺 正
「環境問題の嘘 令和版」池田 清彦
「CO2温暖化論は数学的誤りか」木本 協司


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