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「石炭火力が日本を救う―CO2神話の崩壊」木本 協司

(2020年10月16日)|本のソムリエ メルマガ登録
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【私の評価】★★★☆☆(77点)


内容と感想

■石油化学プラントのコンピュータ
 シミュレーションを本業とする著者の
 意見は、CO2による地球温暖化の
 シミュレーションは相当に
 いいかげんだ、ということです。


 なぜこうしたいいかげんな理論が
 国際社会の主流となったのか、
 著者は疑問を調べ始めました。


 著者は、原子力推進派が
 化石燃料を悪者にするために
 仕組んだのではないかと
 推測しています。


・原発推進のためのCO2温暖化論・・・1977年にワインバーグは原発推進を目的とするERDAの「CO2の地球規模の影響に関する研究グループ」の議長に就任したが、これがCO2を問題視することで原発推進を図るという現在の国際政治の端緒であった(p105)


■著者の仮説は、地球の気候変動は
 主に太陽の活動や宇宙線の量などと
 連動しているというもの。


 実際には、地球の気候は複雑であり、
 過去の歴史を見ればわかるとおり
 何が地球の気候を決定しているのか、
 誰も分かっていないのです。


 本書は2013年の本ですが、
 このままCO2温暖化論を正しいとして
 再生可能エネルギーの固定買取制度が
 続けば、賦課金は5兆円となると
 警鐘を鳴らしています
(2020年度再エネ賦課金は2兆円を超える)


 空気に流されやすい日本は、
 またも流されているのです。


・虚構科学の「CO2温暖化論」の罠・・・CO2排出規制は日本企業を苦しめる桎梏(しっこく)となっており、国と地方自治体の温暖化対策予算は3兆円・・・また再生可能エネルギーを本格導入するためには、毎年GDPの1%に当たる5兆円程度の資金投入が必要・・・IPCCのCO2温暖化論の偽りを暴き、太陽活動と気候変動の関連を明らかにする研究は、年間8兆円もの経済効果を生むことになる(p19)


■資源量が多く安価な石炭火力は
 CO2排出量が多いというだけで
 問題視されています。


 日本では熱効率の悪い石炭火力の廃止が
 議論されるほど、CO2温暖化理論は
 実態経済に影響を与えているのです。


 著者の思いに反し、
 この流れは変わらなかったし、
 変わることはないのでしょう。


 著者は2020年頃からの地球寒冷化を
 予想していますので、そうなれば
 石炭火力を焚いてCO2をたくさん
 排出しなくてはならなくなる
 可能性があります。


 効率の悪い石炭火力のフェードアウトは
 進めつつ、その時まで保管しておくのが
 妥当な判断なのでしょう。


 木本さん、
 良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・黒点サイクル長と気温の関係・・・17世紀のマウンダー極小期には11年周期が14年程度に伸びていた・・・2006年を寒冷期に転換する太陽活動のギアチェンジに対応すると考えると、時間差の12~13年を加えた2018~2019年頃から寒冷化が明らかになってくるのではないかというのが著者の予想である(p154)


・敗戦後の閉塞した状況の中で「エネルギー問題を国内で解決しなければならない」と内向き思考の官僚たちが強迫観念のように思い込んだことで核燃料サイクル研究は始まった(p20)


・東電は、「15メートル以上に達する想定外の津波が原因だった」と釈明しているが、全電源喪失の引き金になった送電塔の倒壊は津波とは関係なかったことが国会の質疑で明らかになっている・・・(p40)


・縄文時代が現在よりもずっと温暖だった証拠は幾つもある。海面は今より3~5メートルも高く、縄文海進と呼ばれるように海岸線は内陸部に大きく食い込んでいた。そのため縄文人が好んで食べた貝類の殻を捨てた貝塚は内陸部で見つかっている(p134)


・石油はかつて海底だった場所に泥とともに堆積した藻類やプランクトンなどの有機物が重合して生成するという、当時の学会で支配的だった「海成腐泥起源説」に阻まれて、満鉄は後の大慶油田群の真上で地質調査をやりながら石油を発見することができなかった。誤った学説に惑わされて石油を発見できなかった・・・(p15)


・大慶油田群の真上で地質調査を行っていた満鉄が石油を発見していたら、扶余油田群、遼河油田群も引き続いて発見され、当時の消費量から考えると満州国は「輝ける産油国」になっていたはずである(p19)


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▼引用は、この本からです

木本 協司、現代書館


【私の評価】★★★☆☆(77点)


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目次

第1章 「革新的エネルギー・環境戦略」批判
第2章 福島第一原発事故の惨状
第3章 原発を支える二つの柱
第4章 気候変動の主役は太陽活動
第5章 化石燃料時代の到来
第6章 今後の日本のために


著者紹介

 木本 協司(きもと きょうじ)・・・1943年、満州生まれ。九州大学工学部修士課程卒。大手化学会社で石油化学プラントのコンピュータシミュレーション、食塩電解用・燃料電池用フッ素化膜の研究開発に従事。現在、燃料電池膜の技術コンサルタント。


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