【書評】「ウソみたいな宇宙の話を大学の先生に解説してもらいました」平松正顕
2025/04/09公開 更新

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【私の評価】★★★☆☆(73点)
要約と感想レビュー
宇宙のモノサシ
本のソムリエは、実は物理化学に興味があります。小学生の頃は、ブルーバックスの相対性理論の本とかを読んでいました。学研の「体のひみつ」「宇宙のひみつ」など「ひみつ」シリーズはすべて読んでいたので、中学校までは物理・生物・化学は勉強しなくてもだいたい知っていました。
というわけで、この本では最新の研究の内容を教えてくれますが、個人的には、宇宙のモノサシに興味があったりします。
例えば、地球は赤道で一周約4万kmなので、一日24時間で一回転するから時速約1700kmです。秒速にすれば460mです。一方、地球は太陽のまわりを秒速30kmで回っています。秒速30000mです。軸が23.4度傾いているので、野球でいえばスイーパーのようなものでしょうか。
さらに太陽は天の川銀河の中を秒速230kmで進んでいます。天の川銀河を一周するのに2億年かかるという。もう訳がわかりません!
地球は、赤道付近で一周およそ4万kmあります。これが24時間で一回転するわけですから、時速約1700km(p98)
地球と月の関係
地球と月の関係も、興味深いものです。地球から月までの距離は、約38万kmです。地球の直径が1万3000kmくらいなので、地球30個分だけ離れています。月の自転はもっと早かったですが、地球と月の距離が近いせいか、潮汐力によって、長い時間をかけて月の自転と公転の周期が一致しました。だから地球からは、月の表面側しか見えないのです。
また、地球の自転は遅くなり、それに合わせて月の公転も遅くなり、地球と月の距離も長くなっているという。イメージとしては、潮汐力で連動している地球と月が、相互に引っ張り合うことで地球にはブレーキがかかり、それに合わせて月が地球から離れてバランスを取っているというかんじでしょうか。
地球と月を全体として見たときに回転の勢いが保たれるためには、スケーターが腕を広げるのと同じように、月が徐々に地球から離れていくほかないのです。これが、毎年4cmくらい月が遠ざかっていくメカニズムです(p54)
宇宙には謎が多い
2017年に宇宙からやってきたオウムアムアという恒星間天体が、地球から約2400万kmの場所を通過しました。宇宙のモノサシがあると、2400万kmというと地球と月の距離の60倍くらいですので、かなり近いとわかります。
それ以外にも、大型の銀河の中心には、巨大なブラックホールがあること、ブラックホールからジェットが噴き出すメカニズムは謎であることなど、宇宙には謎が多いのです。
きっと量子力学と宇宙の謎が統合して解ける時代が来ると期待しています。平松さん、良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・木星の赤い斑点の渦は・・徐々に小さくなっている・・大赤斑の平均風速は10%程度速くなっている(p120)
・火星には非常に薄い大気しかありませんが、これは火星の磁場が消えてしまったことで太陽風が大気を剥ぎ取ってしまったのだと考えられています(p48)
・オウムアムア・・7.3時間の周期で自転していること、半径約45m、厚さ約7.5mとパンケーキのような薄い円盤状の形をしていることが明らかになりました(p144)
▼引用は、この本からです
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平松正顕 (著)、秀和システム
【私の評価】★★★☆☆(73点)
目次
1章 宇宙はどんな世界なのか
2章 一番身近な天体・月と太陽
3章 太陽系惑星たちの知られざる姿
4章 まるでSF! 未知の天体たち
5章 ナゾに満ちた宇宙空間
著者経歴
平松正顕(ひらまつ まさあき)・・・国立天文台台長特別補佐、天文情報センター周波数資源保護室講師。総合研究大学院大学先端学術院天文科学コース講師(併任)。東京大学大学院理学系研究科天文学専攻博士課程修了。博士(理学)。専門は電波天文学、科学コミュニケーションなど。月刊『星ナビ』の連載や、講演、文部科学省「一家に1枚宇宙図」の作成など、宇宙の面白さを共有する活動を積極的に行っている。また、最近は暗い星空など天文観測に適した環境を守る仕事を進めている
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