「重力のからくり 相対論と量子論はなぜ「相容れない」のか」山田 克哉

【私の評価】★★★☆☆（76点）

要約と感想レビュー

反粒子とは

相対性理論と量子力学について、現在わかっていることをまとめた一冊になっています。

本のソムリエはアニメ「宇宙戦艦ヤマト」を見ながら、反物質なんてあるはずがない！と思っていましたが、現在は反物質の存在が証明されています。電子や陽子の反粒子が、実際に観測されており、粒子と反粒子が接触すると光となって消滅するというのです。

個人的には、パソコンとスマホと反物質の知見のある時代に生まれて、とてもうれしいと感じています。

粒子と反粒子がぶつかると、両者ともに完全に消滅し、その消滅地点には純粋なエネルギーからなる電磁波（光）が発生します（ｐ104）

プランク長とは

そして著者は、光（電磁波）のエネルギーには最小値があり、その最小値がプランク数hと周波数fの積であること（プランク放射の法則）を説明し、光は粒子として考える量子力学を紹介してくれます。

量子力学でさらに興味深いのは、空間は「プランク長さ」という最小単位があるということです。空間が「プランク長さ」という最小単位を持っており、時間にも「プランク時間」という最小単位を持っているというのです。（ほんまかいな！）

「プランク長さ」を「プランク時間」で移動すると光速になるというわけです。

量子力学によれば、空間をいくらでも小さく分割しつづけていくことはできず、「プランク長さ」という限界が立ちはだかる（ｐ147）

真空のエネルギーとは

さらに仏教では「色即是空、空即是色」と「物質は無であり、無は物質である」と唱えていますが、実は正しいのです。量子力学の不確定性原理によれば、真空では粒子と反粒子が生成し、消滅することを繰り返しているというのです。

この真空で粒子と反粒子が生まれるためのエネルギーを真空のエネルギーから借りているという仮説があるという。ここで真空のエネルギーは、ゼロ点エネルギーと呼ばれ、絶対ゼロ度（摂氏‐273.15度）で電磁波のエネルギーの半分の量だという。（ほんまかいな！）

ゼロ点エネルギー・・電磁波のエネルギーhf/2はT=0、すなわち絶対ゼロ度であっても消えることはありません・・真空のエネルギーを示しているのです（ｐ142）

ヒッグス粒子とは

「重力のからくり」については、質量が、なぜ重力を生み出すのか、重力がなぜ時空を曲げるのか、わかっていないという。

現在、ヒッグス粒子が、素粒子に質量を与え、素粒子たちが集まって、物質となり、星や銀河となったという仮説があるという。さらには、重力場を量子化する重力子（グラビトン）の存在も予想されているという。

私が生きている間に、どこまでわかってくるのでしょうか。山田さん、良い本をありがとうございました。

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この本で私が共感した名言

・宇宙で観測されるあらゆる電荷はすべて、この素電荷（e）の整数倍の値になっています・・電荷は量子化されている（ｐ112）

・光子自身は電気的に中性ですが、電磁波が粒子化（量子化）したものが光子なので、やはり当然のこととして、電子などの荷電粒子と反応します（ｐ139）

・4次元時空の曲がりを記述するためには「リーマン幾何学」とよばれる幾何学が必要となり、そのリーマン幾何学を構成する要素が「テンソル」なのです（ｐ237）

▼引用は、この本からです

山田 克哉 、講談社

【私の評価】★★★☆☆（76点）

目次

第１章　「質量」と「重さ」のからくり―「ｋｇ＝重さの単位」ではなかった！
第２章　「万有引力」のからくり―アリと地球が引き合う力はどちらが強い？
第３章　「質量保存の法則」とエネルギーのからくり―掟破りを許す"曲者"物理法則とは？
第４章　「見えない力」のからくり―物理学者も驚いた"万有斥力"の正体
第５章　「見えない質量」のからくり―宇宙初期から存在する「第二の重力源」
第６章　重力のからくり―相対論と量子論はなぜ「相容れない」のか

著者紹介

山田克哉(やまだ かつや)・・・1940年生まれ。東京電機大学工学部電子工学科卒業。米国テネシー大学工学部原子力工学科大学院修士課程(原子炉理論)、同大学理学部物理学科大学院博士課程(理論物理学)修了。Ph.D.。セントラル・アーカンソー大学物理学科助教授、カリフォルニア州立大学ドミンゲツヒル校物理学科助教授を経て、ロサンゼルス・ピアース大学物理学科教授に就任。2013年6月に退官。アメリカ物理学会会員。1999年には、講談社科学出版賞を受賞した。

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