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【書評】「ホモ・サピエンス30万年、栄光と破滅の物語 人類帝国衰亡史」ヘンリー・ジー

2026/02/19公開 更新
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「ホモ・サピエンス30万年、栄光と破滅の物語 人類帝国衰亡史」ヘンリー・ジー


【私の評価】★★★☆☆(77点)


要約と感想レビュー


ホモ・サピエンス誕生

私たちホモ・サピエンスがアフリカで誕生したのは、31万5000年前のことだと考えられています。ホモ・サピエンスは、熱帯に済む多くの人類(ホミニン)のうちのひとつにすぎませんでした。


それもホモ・サピエンスは一食食べ損ねれば飢え、ニ食抜けば動けなくなるようなきわめて珍しい種でした。


その祖先は約93万年前から81万年前に1280人の繁殖個体にまで減少し絶滅しそうになったことが、遺伝子の多様性が乏しさからわかっているのです。


およそ93万年前から81万3000年前までのあいだ、実に10万年以上にわたって人類は絶滅寸前の状態にあったとされる・・その数は常に1280人を超えることがなかった(p37)

アフリカから世界へ

氷河期の7万年にホモ・サピエンスは、アフリカから北上をはじめます。衣服を着るようになり、寒さを克服するようになったのです。衣服の中に住みつくコロモジラミは、同じ7年前に頭髪にしか寄生しないアタマジラミと分化したのとも、整合が取れいています。


当時ヨーロッパやアジアには氷期に強いネアンデルタール人が暮らしていましたが、約4万5000年前にホモ・サピエンスが進出してくると短期間にアンデルタール人は消滅するのです。


私たちホモ・サピエンスは、移動先にいたネアンデルタール人やデニソワ人などと交雑していたことがわかっています。その結果4万年前までには、他のすべての人類(ホミニン)を消し去り地球上に唯一のヒト属となり、世界に拡散しました。


そして4万年前から、ホモ・サピエンスはイヌを飼いならし、さらに大型動物を飼育し、肉や乳、繊維を得るようになっていったのです。


ホモ・サピエンスは、ほかの誰も足を踏み入れなかった場所へと果敢に進出していく、きわめて特異な「侵入型の種」なのである(p138)

狩猟生活から農耕生活へ

2万6000年前から1万年前のあいだに、狩猟によって体重40kgを超える大型動物のほとんどが絶滅して、狩猟生活そのものが難しくなってきました。大型動物が減りはじめる2万6000年前からホモ・サピエンスは、作物を育てるようになります。


そしてホモ・サピエンスは今から1万年前、農耕に適した場所に定住し始めるのです。1万年前といえば、ちょうど氷河期が終わり、現在のような比較的温暖な気候に落ち着いた時期でした。


農耕が始まると、虫歯の急増や、ミネラルの不足による骨の変形など、栄養素の欠乏に起因する病気が多く見られるようになりました。また、結核、寄生虫、糖尿病といった病気が増えたのです。


病気で死ぬ人が増えた一方で、農耕と定住により離乳の時期が早まり、妊娠の頻度も高くなり、より短いサイクルでより多くの子どもを生まれるようになり人口は急速に増えていったのです。


乳を飲めるという能力は、農耕によって人類の身体そのものが進化したことを物語っている(p162)

人口が減少していく人類

現在の私たち人類は、人口が縮小する時代に入っています。2034年には世界の合計特殊出生率が人口置換水準2.1を下回る見通しです。


著者はその原因を、女性の解放により教育を受ける機会が増え、避妊手段を利用しやすくなっているとしています。また、自分の意思で子どもを持つかどうかを決められるので、子どもを持つことを、経済的に難しく感じているのではないかと推定しています。


最後に著者は過剰人口が環境の悪化を招き、それが資源の枯渇につながるとし、気候変動、経済的・政治的な不安が、移民を増やす理由となっていると推定しているのです。


説明が無駄に長く、事実の説明はともかく将来の予測や推定が感覚的なものばかりで雑に感じました。ジーさん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言


・20世紀を通じて人間の精子数が大きく減少している・・その理由はいまだにはっきりしていない(p46)


・人類は「食べられるときに食べておく」という祖先譲りの本能・・デンプンや糖分に富んだ食事が続くと・・血液中のブドウ糖濃度をうまく調節できなくなり、2型糖尿病へとつながる(p163)


・チンパンジーと比べても、人間のほうが圧倒的に病気に弱い・・(人類の)遺伝的多様性は乏しかった。そのため人類は感染症への抵抗力が弱いまま今日に至っている(p43)


・創始者集団が小さいがゆえに・・近親交配が続くことは、小規模な社会ではよくあることだ・・・ペンシルベニアのアーミッシュでは双極性障害の発症率が一般より高く、東欧系ユダヤ人ではクローン病の発症率が高いことが知られている(p173)


▼引用は、この本からです
「ホモ・サピエンス30万年、栄光と破滅の物語 人類帝国衰亡史」ヘンリー・ジー
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ヘンリー・ジー (著)、ダイヤモンド社


【私の評価】★★★☆☆(77点)


目次


第1部 台頭
 1章 人類という家族
 2章 ヒト属
 3章 横並び、そして生き延びた者
 4章 最後に生き残った人類

第2部 凋落
 5章 農業―最初の犠牲
 6章 病弱で、寄生虫まみれ、感染症にも悩まされる
 7章 崖っぷち
 8章 崖っぷちを越えて
 9章 崩壊の先にあるもの

第3部 脱出
 10章 未来への鍵を握るのは...
 11章 新たな一歩を踏み出す
 12章 人類の生存領域を広げる


著者経歴


ヘンリー・ジー(Henry Gee)・・・1962年ロンドン生まれ。ケンブリッジ大学にて博士号取得。専門は古生物学および進化生物学。1987年より科学雑誌『ネイチャー』の編集に参加し、現在は生物学シニアエディター、元カリフォルニア大学指導教授。テレビやラジオなどに専門家として登場、BBC World Science Serviceという番組も製作。前作『超圧縮地球生物全史』(ダイヤモンド社)は王立協会科学図書賞を受賞。イギリスのノーフォーク郡クローマーに家族とたくさんのペットとともに暮らしている。


人類の進化関係書籍


「ホモ・サピエンス30万年、栄光と破滅の物語 人類帝国衰亡史」ヘンリー・ジー
人類進化の700万年」三井 誠
異常気象が変えた人類の歴史」田家 康
ヒトは食べられて進化した」ドナ・ハート ロバート W.サスマン
ホモ・デウス」ユヴァル・ノア・ハラリ


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