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「ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来」ユヴァル・ノア・ハラリ

本のソムリエ 2021/08/23メルマガ登録
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「ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来」ユヴァル・ノア・ハラリ


【私の評価】★★★★☆(82点)


要約と感想レビュー

 ホモ・デウスとは、ホモ・サピエンスである人類が、21世紀は神の領域に入っていくであろうということです。神の領域とは生物工学やロボット工学や人工知能が発展することで、寿命が伸びたり、新しい生物やロボットが創り出されると予想されます。


 最近人間型ロボットの開発を発表したイーロン・マスクも、ロボットの可能性が同じように見えているのでしょう。ちなみに、イーロン・マスクは、人類の将来に最も大きな影響を与える技術として「インターネット、持続可能なエネルギー、宇宙開発」をあげています。


・人間を神へとアップグレードするときに取りうる道は、次の三つのいずれかとなるだろう。生物工学、サイボーグ工学、非有機的な生き物を生み出す工学だ(p59)


 すでに人類は過去に問題であった、飢饉と疫病と戦争をかなりの部分を解決しています。飢饉と疫病と戦争で死ぬ人の数よりも食べ過ぎや老衰や自殺で死ぬ人のほうが多い時代なのです。


 かつて疫病に対しては、マスクや接触を減らすなどの感染症対策を取るしかありませんでしたが、今回の武漢ウイルスでは1年でワクチンが開発・接種されました。飢饉と疫病と戦争が無くなることはまだ先だとは思いますが、大きな歴史の振幅の中で、長期的には良い方向に向かっていくことは間違いないのでしょう。


・今日、食べ物が足りなくて死ぬ人の数を、食べ過ぎで死ぬ人の数が史上初めて上回っている・・・感染症の死者数よりも、老衰による死者のほうが多い。兵士やテロリストや犯罪者に殺害される人を全部合わせても、自ら命を絶つ人がそれを数で凌ぐ(p10)


 確かに人類はどんどん良い方向に向かって進化、改善してきていると思います。特に遺伝子工学を含む生物工学は、人の寿命を革命的に伸ばす可能性もあり、生物とは何なのか、という問題にも何らかの答えが出るかもしれません。


 ただ、著者がイスラエル人であり、エルサレムで歴史を教えながら、アラブ諸国と対立関係し、パレスチナ自治区を空爆したりしているイスラエルの現実をどの程度織り込んでいるのか下巻を読んでみたいと思います。


 ハラリさん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・コロンブスやコペルニクスやニュートンの時代のヨーロッパは、宗教的狂信者が世界で最も集中しており、寛容の水準がいちばん低かった・・・異端者を大量に火あぶりにし、猫を可愛がる高齢の女性はみな魔女と見なし、月が満ちるたびに新たな宗教戦争を始める社会に暮らしていた(p242)


・学校は、国のために忠実に尽くす、高い技能を持った従順な国民を生み出すために創立された・・・医療制度も同様だった(p45)


・紙の上に生きる・・・書字のおかげで、人々は抽象的なシンボルを介して現実を経験することに慣れた(p202)


・権力の大半は、虚構の信念を従順な現実に押しつける能力にかかっている。貨幣というものがその好例だ。政府がただの紙切れを発行し、それには価値があると宣言し、それからそれを使って他のあらゆるものの価値を計算する(p211)


・人は簡単に幸せになれないのだ・・・先進諸国のほうが繁栄していて、快適で、安全であるにもかかわらず、自殺率がずっと高いというのは不穏な兆候だ(p47)


・強力な虚構と全体主義的な宗教を生み出すだろう・・・虚構と現実、宗教と科学を区別するのはいよいよ難しくなる(p219)


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▼引用は、この本からです
「ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来」ユヴァル・ノア・ハラリ
ユヴァル・ノア・ハラリ 、河出書房新社


【私の評価】★★★★☆(82点)



目次

 第1章 人類が新たに取り組むべきこと
第1部 ホモ・サピエンスが世界を征服する
 第2章 人新世
 第3章 人間の輝き
第2部 ホモ・サピエンスが世界に意味を与える
 第4章 物語の語り手
 第5章 科学と宗教というおかしな夫婦


著者紹介

 ユヴァル・ノア・ハラリ(Yuval Noah Harari)・・・1976年生まれのイスラエル人歴史学者。オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻して博士号を取得し、現在、エルサレムのヘブライ大学で歴史学を教えている。軍事史や中世騎士文化についての著書がある。


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