「人類大移動 アフリカからイースター島へ」
2018/08/26公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★☆☆☆(67点)
要約と感想レビュー
複数の学者による人類の進化と南アフリカからの移動の推測です。遺伝子や土器、石器、人骨から人類がいかに進化してきたのか。どこに住んでいたのか類推するのが人類学なのです。人類学でわかるのは、気候変動が人類の繁栄と衰退に大きな影響を与えているということです。気候変動に柔軟に対応できた人類が生き残ってきたということです。
例えば、アフリカからヒトが世界へ移動していったのは、氷期で寒くなった7万~1万年前です。今よりも寒い気候の中で、ヒトは生き残るために食べ物を探して移動していったものと考えられます。そうした中で、ヒトに似たネアンデルタール人はヒトの遺伝子に数%の名残を残して、絶滅しています。ヒトは絶滅せずに現在生きていますが、いつ絶滅してもおかしくないと感じました。
印東さん、良い本をありがとうございました。
この本で私が共感した名言
・遺跡で発掘された人骨化石の分析から、8万~6万年前ごろの西アジア地域は、ネアンデルタール人によって占拠されていたことがうかんがえるのです。アフリカの出口が旧人によってふさがれていたのならば、新人の本格的なユーラシア拡散はその後の時代ということになります(p38)
・ポリネシアにはコウモリ以外の哺乳類はいなかったのですが、人間の移動に伴われて4種類の動物が持ち込まれました・・・イヌ、ブタ、ニワトリ、そしてネズミです・・・ネズミのDNAが示す人間の移動(p127)
・オーリナシアン・タイプの道具箱を携帯するクロマニョン人が、3万年前を境にして衰退に向かいます・・・彼らは新たな装備、グラヴェッティアン・タイプの道具箱を開発し、最寒冷期を迎えたヨーロッパ大陸の中に勢力圏を拡大し続けます(p189)
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【私の評価】★★☆☆☆(67点)
目次
1章 ホモ・モビリタス700万年の歩み―ホモ・モビリタスの歩み
2章 アジアへの人類移動―人類のアジア進出
3章 最初のアメリカ人の探究―最初のアメリカ人
4章 海を越えてオセアニアへ―人類のオセアニア進出
5章 DNAに刻まれたヒトの大移動史―遺伝学から何をさぐるか
6章 新人に見る移動と現代的行動―本格的な移動はどうやってはじまったか
7章 移動と出会い―異なる文化段階の集団はどんな出会いをしたのか
8章 ヒトはどのようにしてアフリカ大陸を出たのか?―ヒト科生態進化のルビコン
著者経歴
印東道子(いんとう みちこ)・・・東京都生まれ。ニュージーランド・オタゴ大学人類学部博士課程修了、Ph.D.(人類学、オタゴ大学)。国立民族学博物館民族社会研究部教授ならびに総合研究大学院大学教授。専門はオセアニア考古学・人類学。1973年以降ミクロネシアを中心に発掘調査を行っている
人類の進化関係書籍
「人類進化の700万年」三井 誠
「人類大移動 アフリカからイースター島へ」
「異常気象が変えた人類の歴史」田家 康
「ヒトは食べられて進化した」ドナ・ハート ロバート W.サスマン
「ホモ・デウス」ユヴァル・ノア・ハラリ
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