「「半導体」のことが一冊でまるごとわかる」井上伸雄,蔵本貴文
2023/03/12公開 更新本のソムリエ [PR]
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【私の評価】★★☆☆☆(69点)
要約と感想レビュー
「半導体」について書いた一冊です。物理や科学の教科書で勉強することとあまり変わらない印象です。
面白いのは、20世紀日本が元気な時代に、半導体の開発において日本人がいかに活躍しているのかということです。また、半導体の開発においては偶然、失敗から新しい発見がなされることもあったようです。
例えば、青色LEDの開発ではGaNの均一な単結晶を作ることが難しかったのですが、加熱炉の不調によって低温バッファー層を挟むことでGaN単結晶を作ることに成功したというのです。
また、ソニー社員の江崎玲於奈がトランジスタの高周波特性の改善に取り組んでいたところ、コレクタの不純物濃度を変化させる実験で、量子力学のトンネル効果を確認し、ノーベル物理学賞を受賞しています。
現在、半導体が不足していると言われますが、ほとんどすべてのものがコンピュータで制御される時代なので、当然のことなのだと感じました。良い本をありがとうございました。
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この本で私が共感した名言
・半導体結晶・・99.9999999999%(9が11子あるので「イレブン・ナイン」と呼ぶ)(p32)
・フラッシュメモリは、東芝の舛岡富士雄により、1984年に発明されました(p159)
・LSIの製造にはもっとも厳しい・・クリーンルームが使われます・・東京ドーム(容積124万m3)8万個分の中に、仁丹の粒が1個あるぐらいの清浄度(p174)
【私の評価】★★☆☆☆(69点)
目次
序章 半導体の世界
第1章 半導体とはなんだろう
第2章 トランジスタはこのようにして作られた
第3章 計算する半導体
第4章 記憶する半導体
第5章 光・無線・パワー半導体
著者経歴
井上伸雄(いのうえ のぶお)・・・1936年福岡市生まれ。 1959年名古屋大学工学部電気工学科卒業。同年日本電信電話公社(現NTT)入社。電気通信研究所にてデジタル伝送、デジタルネットワークの研究開発に従事。1989年多摩大学教授。同大学名誉教授。工学博士。 電気通信研究所では、わが国最初のデジタル伝送方式の実用化に取り組み、それ以降、高速デジタル伝送方式やデジタルネットワークの研究開発に従事するなど、日本のデジタル通信の始まりから25年以上にわたり、一貫してデジタル通信技術の研究に取り組んできた。 NTTを辞めた1989年ごろから、日経コミュニケーション誌(日経BP社)にネットワーク講座の連載を執筆したのをきっかけに、通信技術をやさしく解説した本を書くようになった。
蔵本貴文(くたもと たかふみ)・・・香川県丸亀市出身、1978年生まれ。関西学院大学理学部物理学科を卒業後、先端物理の実践と勉強の場を求め、大手半導体企業に就職。現在は微積分や三角関数、複素数などを駆使して、半導体素子の特性を数式で表現するモデリングという業務を専門に行なっている。さらに複業として、現役エンジニアのライター、エンジニアライターとしての一面も持つ。
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