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「ヒマワリはなぜ東を向くか: 植物の不思議な生活 」瀧本 敦

2024/08/02公開 更新
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「ヒマワリはなぜ東を向くか: 植物の不思議な生活 」瀧本 敦


【私の評価】★★☆☆☆(68点)


要約と感想レビュー

若いヒマワリは太陽を追う

古い本ですが、植物の不思議な生態を解説している一冊です。まず、タイトルのヒマワリ問題について、本当にヒマワリは東を向くのでしょうか。


太陽を追って動くのは花が開いていない若いヒマワリです。花が開いたマワリは、一日中同じ方を向いているという。そして、夕方に西を向いていた若いヒマワリは、夜になると、立ち上がり始め、明けがた前に東を向くというのです。


なぜ、若いヒマワリが太陽を追って動くのかといえば、葉の向きの関係から、光量の多い葉が成長ホルモンをつくり、これが茎に送られるため、光量の多い光と反対側の茎がよく伸び、太陽の方へ曲がるとしています。


ただし、若いヒマワリの向きを変えると、しばらく太陽の位置を無視して動くというので、成長ホルモンだけではなく、体内時計や習慣性も関連していることを示唆しています。


180度方向を変えたあとの数日間、ヒマワリは太陽の方向を無視して、あたかも自分がもとの位置にあったかのごとく動いたのだ・・生体時計が関与しているものと思われる(p30)

竹は120年に一度咲き枯れる

それ以外にも植物には素人なので、知らないことが多く感じました。


例えば、アサガオは、初夏には夜明けとともに開花しますが、秋になると開花は遅くなり夜中に開いてしまうという。実は、アサガオは日没から10時間後に開花するから、秋は日没が早いので、開花もどんどん早くなってしまうのです。


また、竹の花は60年あるいは120年に一度咲き、竹は枯れてしまうのです。前回、竹が開花したのが1963年ですから、次回は2083年頃となります。同じように花を咲かせたとたんに死んでしまう植物では、リュウゼツランを紹介しています。


わが国のマダケは1963年ごろから全面的に開花し、数多くの竹やぶが枯れてしまった・・・1844~46年にわが国のマダケが全国的に開花枯死し、竹不足を来したことを記録した子文書があるという(p87)

動物、植物の生態の多様性

古い本なので、2024年の現在では遺伝子レベルで植物の不思議な生態が解明されているかと思いましたが、ネットで検索してみたところ、それほど新しい発見はないようです。


植物の生態はどうやって進化し、どうやって遺伝し、伝えられていくのか興味深く思いました。動物、植物の生態の多様性と不思議さは研究の余地が大きいのでしょう。瀧本さん、良い本をありがとうございました。


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この本で私が共感した名言

・水気耕栽培(ハイポニカ)・・トマトは大きな木となり、一本に1万2000個もの実をつけさせることができる(p35)


・キクの花はたくさんの花びらをもっているように見えるが、実際には、それらの一つ一つが小さな花であり、花の中央部に一見おしべの集団であるかのごとく見えるのも小さな花の集団である(p61)


・線虫を接種したマツは2~3週間目には異常を呈し、その後つぎつぎと枯れていった・・まつくい虫によるものとばかり思われていたマツの枯死が、実は線虫のしわざによるものであることを示唆した(p146)


▼引用は、この本からです
「ヒマワリはなぜ東を向くか: 植物の不思議な生活 」瀧本 敦
瀧本 敦 、中央公論新社


【私の評価】★★☆☆☆(68点)


目次

第1章 植物の生活
第2章 不思議なしくみ
第3章 花の秘密
第4章 生きるために
第5章 なぜだろう


著者経歴

瀧本 敦(たきもと あつし)・・1927年山口県岩国市に生まれる。1950年京都大学農学部卒業。同大学教授を経て、現在、名誉教授。農学博士。


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